一夜が過ぎ、犯行時の様子が徐々に明らかになってきました。小学校の正門から下校する児童の列に、ゆっくりと走行する自動車で背後から突っ込んだと見られています。
響く子供の泣き声、散乱するランドセル 大阪・西成の小学生7人負傷事件
https://news.yahoo.co.jp/articles/2beb2b4a12a1e42d96079aff4aa433af00139777大阪・西成で児童7人はねた車、向きを変え下校の列に突っ込む…教員らが血だらけの児童救出
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b39be01a4d03b41d77ecf80c0c4a2d5bf9a7330
「西成」と聞くと、いわゆるドヤ街(あいりん地区)を想像する方もいるでしょう(特に大阪や関西以外に住んでいる方)。
しかし、そうした地域は西成区北部の限られた場所だけです。それ以外の殆どの地域は古い住宅街が広がっています。千本小学校も古い住宅街や市営住宅が建ち並んでいる学区にあります。
凶行を防ぐのは困難か
私自身も子供と一緒に小学校へ登校したり、子供達が登校する様子を見守った経験があります。
もしも何らかの悪意を持った自動車が児童の列に突っ込もうとした場合、果たして見守り活動等を行っている保護者や地域住民が防げるでしょうか。答えは「不可能」でした。
継続的に見守り活動を行っていると、住宅街を通行する自動車は自然と覚えてしまいます。概ね決まった時間に決まった車種が通過していきます。児童が登校する時間帯と重複しているのに運転手も気づいているのか、最徐行で通過してくれます。
一方で時にはやや早い速度で通行しようとする車もあります。児童に声を掛けて注意を喚起する事もあります。
これらの車はいずれも故意に児童と衝突しようとは考えていません。万が一にも運転ミスをしてしまったり、児童が車道に飛び出したりして接触する可能性があるに過ぎません。児童や見守り活動の従事者が注意を払う事により、事故はある程度防げます。
しかし、反対に故意に児童へ接触しようとする車を防ぐ術はありません。不審車があれば気に留め、児童の列に向けて突っ込んでくる気配があれば、大声や笛を鳴らして児童を避難させるぐらいしか思い浮かびません。
今回の事故は衝突車があまり速度を上げておらず(ふらふら運転していた)、より重大な事態はは免れました。
もしも高速度で勢いよく突っ込んでいたら、多くの児童が激しく跳ね飛ばされていたでしょう。大惨事と紙一重でした。
ガードレールがなく、側溝にも蓋がない
千本小学校の周辺で気になった箇所があります。ガードレールと側溝です。千本小学校の正門に接する道路にはガードレールが無く、側溝に蓋はありません。
児童が通るべき場所に緑色のラインが引かれていますが、楽しく帰宅する児童ははみ出ししてしまう時もあるでしょう。蓋がない側溝部分は歩きにくいので、なおさら車道へ出てしまいます。
ガードレールもありません。通行する自動車は極力注意しているでしょうが、児童と接触し掛けてしまう事故も発生していたでしょう。傘を差している児童の列の横を通り過ぎられる幅員はありません。正門の向かい側にはワンボックスタイプの大型車両も停車しており、日常的に道路を行き来しているものと考えられます。
多くの児童がこの狭い道路を登下校するのであれば、是非ともガードレールは設置して欲しいです。設置されていないのが不思議なぐらいです。
千本通に面した敷地南側にある通用門や南門を利用するのも一つの方法です。千本通にはガードレールが設置されています。見通しも良いです。校内の動線を工夫し、ここから児童を行き来させるのも可能でしょう。
学校や地域等は通学路の危険箇所を把握しています。我が家がお世話になっている小学校では、毎年4月に「通学路危険箇所マップ(仮題)」が配布されています。保護者から見た危険箇所とも一致しています。
今日は普段とは異なる光景もありました。朝夕の登下校時間帯に何度も警察車両や警察官の姿を見かけました。同種事案の発生を警戒し、巡回しているのでしょう。
事件当日は夜遅くまで千本小学校の職員室に明かりが灯っていました。被害に遭った児童達が1日でも早く回復し、元気に登校できるのを願ってやみません。