5月市会へ提出された大阪市立幼稚園の民営化・廃止に係る条例案が否決される見通しとなっています。

大阪市は、市立幼稚園の民営化について、市議会の自民党などは反対姿勢を鮮明にしているものの公明党からは、理解を得られる可能性もあるとして、幼稚園の数をできる限り抑えて、働きかけを続ける方針です。
市立幼稚園をめぐって、大阪市では、再来年4月までに、5つを民営化・廃止することが決まっているほか、いまの市議会には、14の幼稚園を民営化・廃止する条例案が提出されています。
この条例案について、市議会では、自民党や民主党系の会派は、「子どもや保護者への影響は大きく、拙速に進めるべきではない」として、反対姿勢を鮮明にしています。
一方、公明党には、反対意見が根強くあるものの、「市立幼稚園が多いことは事実であり、1つだけの民営化なら認めるべきではないか」という意見も出ています。
このため、大阪市は、公明党からは、理解を得られる可能性もあるとして、14すべての民営化・廃止にはこだわらず、数をできる限り抑えて、働きかけを続ける方針です。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20140525/4680941.html

 ◇市議会 野党4会派、反対方針

 大阪市議会に提案されている14の市立幼稚園の廃園・民営化関連議案が、27日の本会議で、否決される見通しとなった。橋下市長が推進する施策で、市は昨秋否決された14園の議案を再提案していたが、過半数を占める自民、民主系、公明、共産の野党4会派が反対に回ることを決めた。4会派は「保護者の反対が強い」として態度を変えなかった。

 橋下市長は市立全59園のうち、まず19園について廃園・民営化する計画案を発表し、昨年11月の市議会に関連議案を提案した。

 しかし、市立幼稚園は私立園に比べて障害児を多く受け入れてきた実情があり、4会派は「受け入れ先がなくなる」と反発。結局、可決は5園にとどまった。

 これを受け、市は障害児を受け入れる私立園を支援する制度を考案。今回、同制度の関連予算も合わせて再提案したが、保護者から市立のまま存続するよう求める陳情が多数寄せられたことなどから、4会派とも反対の方針を決めた。

 野党市議の一人は「地域や保護者への説明が十分ではなく、もっと議論が必要」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20140525-OYTNT50440.html

市会の議席構成等が昨秋と変わらない以上、同様の改正案が再び否決されるのは十分に予想されていました。
一市民としては、何の為の民営化・廃止か、それによってどの様なメリットがあるのか、市立幼稚園がなくなる地域からの不安・不満にはどの様に応えるか、等がイマイチ見えてこなかった様に感じます。
未就学児を中心とする子育て支援・教育の推進の具体案がなかなか伝わってこなかったのです。

たとえば市立幼稚園を廃止し、私立保育所の運営を検討している民間事業者に敷地を貸与して待機児童問題の解消を図る、という案でしたら賛否両論があったでしょう。
市民感情レベルでは単なる民営化・廃止という表面が強く感じられ、結果として数多くの反対陳情が寄せられた気がしてなりません。

来春の統一地方選までに再提案されるかもしれませんが、似た様な案ならば再び否決されるだけでしょう。