学校から遠足等で大阪・関西万博へ出掛ける際に懸念されている点の一つが「大阪メトロの乗り換え・混雑」でした。
大阪メトロ中央線は普段から混んでおり、万博開催時は通勤ラッシュ時並みの混雑が予想されています。こうした車両に大勢の児童・生徒が一度に乗車するのは難しいと指摘されています。
指摘に対して検討されているのは「子ども専用・優先列車の運行」です。
計画案によると、専用列車は通勤時間帯を避けて午前9~10時台の運行を想定。中央線森ノ宮駅で専用ホームから児童らを乗せて出発後、編成上の問題から万博会場と逆方向の長田駅で折り返し、会場最寄り駅で来年1月開業予定の夢洲(ゆめしま)駅へ向かう。長田-夢洲間を直通するほか、各駅停車で乗車できる優先列車も検討している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a549cd77bb61cd765a6a05114e5358c29adf7023
こちらのポンチ図が分かりやすいです。
https://www.iza.ne.jp/article/20240807-EZFHWUDMFBO5XHP3VG6S7LFSJI/photo/6AOLNZ3THBPRLDQPUPEKGBVWIM/
森ノ宮から夢洲へ行くのに、わざわざ長田(東大阪市)へ逆戻りするのは不思議です。配線略図を見てみましょう。
専用ホームとして想定しているのは、森ノ宮駅で最も北(図では一番上)にあるホームです。普段は使われていないか、もしくは電車が留置されている記憶があります。
しかし問題があります。配線略図の通り、専用ホームからは夢洲とは反対方向となる東方面(下り)、もしくは森ノ宮検車場へしか向かえません。同駅から下り方向へ向かった電車が上り方向へと折り返すには、長田駅東にある折り返し線を使用する必要があります。
(物理的には森ノ宮検車場を経由して折り返す事も可能でしょうが、保安上の問題等から採用できなかったのでしょう。)
森ノ宮駅から夢洲駅までは約25分で到着します。しかし、反対方向の長田駅から折り返す事により、倍の50分も掛かってしまいます。児童生徒にとっては大きな負担となります。トイレが我慢できない児童もいるでしょう。
分刻みの予定となる学校行事に於いて、25分の違いは致命的です。見学時間・朝の集合時間・夕方の帰校時間等に直接影響します。多くは見学時間を削らざるを得ないでしょう。目的であるパビリオンの見学時間を削らざるを得ないとは、まさしく本末転倒です。
森ノ宮駅へ向かう方法にも問題があります。わざわざ地下鉄を使って森ノ宮駅まで向かうには手間が掛かります。御堂筋線沿線の学校は本町駅から森ノ宮駅へと戻るのでしょうか?
更に大阪メトロがバスを運行して森ノ宮駅まで移動する暗に対しては、そのバスで万博会場まで直行すべきです。再び本末転倒です。
仮に児童生徒専用列車を走らせる場合、それ以外の列車にしわ寄せが行きます。万博開催中の大阪メトロ中央線は通勤ラッシュ並みの混雑が予想されるので、専用列車以外の車両の混雑率が上昇してしまいます。
学校サイドが不安に感じているのは、通勤客や観光客等で混雑している地下鉄へ多くの児童生徒を一度に乗車させる事です。特に外国人観光客と混在してしまうと、想定しきれない様々なトラブルが起こりかねません。一般客も乗降できる「優先列車」はメリットがありません。
各校へのアンケート等を経て、どの日のどの時間帯に何人の児童生徒が大阪メトロ中央線を利用するかは概ね把握、もしくは調整が可能です。
であれば、通常編成の列車の一部を「団体専用車両」とする事により、多くの不安等は解消可能です。関係者以外をシャットアウトする「学校関係者専用車両」です。たとえ混んでいても、限られた学校の児童生徒しか乗車しない号車であれば問題ありません。修学旅行の専用車両と近い考えです。
概ね午前9時から10時台に運行される列車の(万博会場から最も遠い)西側車両(1~2両)を団体専用車両とする事により、児童生徒は運送できる計算となりました。対象を小学生に限るという考えもあります(中学生は一般客と同乗しても大丈夫との経験則から)。
万博で最も強く懸念されているのは「輸送力不足」です。「学校専用列車」の運行は輸送力不足を助長します。児童生徒の移動時間も長くなります。