不妊治療によって産まれる子供は年々増えています。
2018年に産まれた子供の内、約16人に1人が体外受精児だったそうです。小学校1クラスに2人強という割合ですね。
2018年に体外受精で生まれた子どもは過去最多の5万6979人だったことが、日本産科婦人科学会が1日に公表した調査でわかった。体外受精で生まれる子どもは年々増え、17年より362人多い。厚生労働省の統計では18年の総出生数は91万8400人で、16・1人に1人が体外受精で生まれた計算になる。
体外受精は精子と卵子を体外にとりだして受精させ、子宮に戻して妊娠させる不妊治療。この治療で生まれる子どもは、08年には50・2人に1人だったが、17年には16・7人に1人となり、増え続けている。
18年の体外受精の総治療件数は45万4893件(前年比6683件増)で最多を更新。年齢別では40歳の治療件数が最も多かった。(以下省略)
詳しい数字はARTデータブック2018年版に掲載されています。
体外受精(IVF:青)や顕微受精(ICSI:赤)が減少し、凍結胚移植(FET:緑)が飛躍的に増加していますね。治療技術の進歩を感じます。
治療年齢のピークは39歳~41歳ですね(総治療周期数による)。33歳~34歳、37歳~39歳で傾きが急になっています。
シビアなデータも掲載されています。年齢別の妊娠率・生産率・流産率です。年齢を重ねるに従って妊娠率は下がり、反対に流産率は上昇していきます。
「不妊治療を行うなら早い方が良い」とは本当なのですね。グラフを見てゾッとします。
不妊治療に260万円・400万円・2000万円
体外受精でネックになるのは治療に要する時間、そして多額の費用だと聞きます。
朝日新聞に寄せられた声には「260万円」「400万円」「2000万円」という、目を疑う様な金額が並んでいます。
妻が23歳から治療を始め、3年半かかり現在授かりました。助成金は全然足りず、合計で260万円が治療費に消えました。不妊治療が保険適用になるのならば、かなり経済的負担が軽減され、第2子も考えたいです。育児面でのサポートも強化してほしいです。
授かるまでに400万円、不妊治療に使いました。世帯年収は700万円ぐらいです。金銭的にかなりきつく、借金して不妊治療をしていました。借金返済はしばらく続きます。金銭的な理由で不妊治療を諦めた方もいますし、金銭的な理由でステップアップをためらう方もいます。不妊治療をしている人=子どもが欲しい人なのだから、少子化対策として保険適用や助成金の大幅増額を充実させるのは、とてもありがたいと思います。
不妊治療を6年行い、2千万円を費やした。2度の流産を経て心身ともに疲れ果て、今年で治療を諦めた。仕事を辞めたら体調が整って妊娠できるかもしれない、でも治療を続けるには稼がなくては……。そんな思いに苦しみながら仕事を続けた。
これだけの費用を捻出するのは本当に大変です。しかし、治療を受けても結果に結びつくか定かではありません。
子供を授かれるか否かには「運」という要素が無視できないと感じています。であれば、子供が欲しい家庭に対し、何らかの補助を行うのは適切でしょう。
ただ、現在は不妊治療の助成について「夫婦合算で730万円未満」という所得制限が設けられています。夫婦が共に正社員として働いたら、容易に越えてしまう水準です。
新年度からは所得制限を撤廃し、助成額や助成回数等も引き上げる方向で調整が行われています。
政府は少子化対策のため、不妊治療助成の拡充策について本格調整に入る。現在は夫婦合算で730万円未満とする所得制限を撤廃する方針だ。原則1回15万円としている助成額や、最大通算6回までとしている助成回数も増やす考え。2020年度第3次補正予算案に盛り込む方向で、今後は具体的な額や回数が焦点となる。
菅義偉首相は不妊治療の保険適用の早期実現を目指している。厚生労働省はそれに先立ち、現行の助成制度を拡充する考えだ。
1回の助成額は、与党が将来的な保険適用を見据え、原則30万円(初回は40万円)を提案。回数は40歳未満の場合、現行で最大通算6回だが、35歳以下なら無制限とし、第2子以降を望む夫婦のため36歳以上も1子ごとに最大6回とするよう求めている。政府はこうした提案を踏まえ、検討を進める。
男性の治療には現在、精巣内などから精子を人工的に取り出す手術に原則1回15万円を助成している。この助成額についても、女性と同じ額に引き上げる方向だ。
政府は与党の提言を受け、法律婚の夫婦に加え、事実婚のカップルも含めるかどうか検討する。年齢は現行通り、治療開始時点の妻の年齢が「43歳未満」を維持する方針だ。(以下省略)
うちの子は自然妊娠で産まれました。が、状況によっては不妊治療を選択したかもしれません。
不確実性が高く、そして多額の費用を要する不妊治療については、社会全体で費用を分かち合うべき分野ですね。
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