ある日の事です。地下鉄の車内にて大学生が「大阪市の部活動指導員はバグってる。時給2,500円だって。こんなに美味しいバイトは無い。他のバイトが馬鹿らしい。」と話していました。時給2,500円の学生バイトは破格です。半信半疑で調べた所、本当でした。

大阪市教委ウェブサイト及び城東区教職員等人材バンクより、任期付職員として大阪市教委が募集を行っている職種・業務内容・報酬を抜き出しました。

職種名業務内容報酬
常勤講師授業等の準備・実施等月額約250,800円(大卒新卒)、他に期末勤勉手当等あり
非常勤講師授業1時間につき2,920円
学校事務職員学校事務に係る業務等月額188,732円
部活動指導員部活動に関する各種指導、校外活動の引率等時給2,597円
学力向上支援サポーター(学びサポーター)学習支援、学習教材の準備等時給1,218円~1,369円
学力向上支援サポーター(理科補助員)理科授業の観察・実験の準備・支援等時給1,218円~1,369円
特別支援教育サポーター特別支援教育の支援等時給1,218円~1,369円(月額勤務も有)
スクールサポートスタッフ学習プリント配布・授業・採点業務・学校行事等の補助時給1,218円~1,369円(月額勤務も有)
日本語指導員日本語や学校文化の指導時給2,500円

大学生が「バグってる」と指摘して部活動指導員の報酬は時給2,597円でした。こんな高額バイトは親世代でもなかなか見つけられません。万博関連の各種高額バイトより高いぐらいです。

我が家がお世話になっている中学校でも、複数の大学生等が部活動指導員として勤務しています。子供からは「教え方が分かりやすい」と好評であり、先生方も「部活動の指導に要すう時間が減った。授業準備や採点業務に時間を充てたり、早く帰宅できる様になった。」と話していました。

しかしながら、学校園で募集している様々な職種と比べて報酬の高さが際立っています。各種サポーターは時給1,218円~1,369円です。部活動指導員の約半額です。

「勤務時間が短いから、総報酬額は決して高くない。」という声もあるかもしれません。1日の勤務時間の上限は平日3時間、土日が4時間、月あたり60時間とされています。上限まで働くと月額155,820円となります。特定扶養控除(年額103万円から増額予定?)を7カ月で突破します。有給休暇も付与されます。

何より理不尽なのは、学校業務の中核である授業を受け持つ常勤講師との比較です。基本給与として月額250,800円(大卒新卒)から月額385,000円(学校勤務の上限額)とされています。大卒新卒の月額給与を160時間で割ると1,567円となります。期末手当等を含めて計算しても、時間あたりの単価は部活動指導員が上回っています。

若手の先生からは「僕よりも部活動指導員を務めている大学生の方が高時給なのはもどかしい」というやるせない話も聞きました(但し指導員の働きぶりや貢献度は高く評価している)。

他の自治体も調べました。堺市(部活動外部指導者)は1回あたり2,400円、神戸市部活動指導員が時給1,335円~2,210円、大阪府立学校部活動指導員バンクは時給1,600円となっています。ここでも大阪市部活動指導員の高時給が際立っています。

子供の成長を支える部活動に優秀な人材を招く為に高い報酬を設定するのは望ましいものです。しかし、学校の中核業務は授業です。授業を実施したり支えたりする人材との大きな報酬差は不合理です。何らかの調整が必要でしょう。