「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」及び「大阪市子どものための教育・保育給付認定に関する事務取扱要綱」の改正案が公表されています。8月6日までパブリックコメントを行っています。

 これまで本市では、「大阪市子どものための教育・保育給付認定に関する事務取扱要綱」において子どものための教育・保育給付に係る保育必要量や有効期間、申込等について定め、これらに基づき教育・保育給付認定に関する事務を行うことにより、認定事務における透明性を確保してきたところです。

 また、「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」(平成26年度以前は「大阪市保育所入所に関する事務取扱要綱」)において、保育の優先度や保育の実施の申込み等について定め、これらに基づき保育の利用に関する事務を行うことにより、わかりやすい利用調整を実現し、利用調整事務における公平性及び透明性を確保してきたところです。

 このたび、これまでの認定事務及び利用調整の結果等を踏まえ、認定及び保育利用調整基準が利用申込み世帯の状況をよりきめ細かく、的確に反映するものとなるよう、必要な改正を行うため、市民の皆さまから幅広く意見を募集することとします。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/kisoku_boshu/kodomo/0000627657.html

大阪市での保育所等への入所を左右するのは「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」です。実質的な改正部分を取り上げていきます。

利用調整後の取消(第5条第3項)

第5条第3項「利用調整の実施後の状態変化等により、児童福祉法その他法令の規定に基づき当該保育施設等において児童の受入が困難と判断される場合には、利用調整結果を取消すことができる。」との文言が付加されています。

改正趣旨は「利用調整後の状態変化において受入が困難と判断された場合、受入を拒否する正当な理由に該当するため、その取消しについて新たに規定する。」とされています。

利用調整を取り消さざるを得ない「利用調整後の状態変化」とは、どういった物が想定にあるのでしょうか。施設側の事情(新規開設が延期された、保育士不足、唐突な閉園など?)でしょうか、それとも児童側の事情(体調の変化、保護者の就労状況の変化?)でしょうか。

保育士優先利用枠対象者の変更(第7条の2)

優先枠の対象者として幼稚園型認定こども園で働く保健師・看護師・准看護師が追加(除外対象から外れた)されると共に、小規模型事業所内保育事業B型で働く幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭が除外されました。

やや影響があるのは、幼稚園型認定こども園で働く看護師等も優先枠対象者に加えられた点でしょう。優先枠の利用者は一定数があります。特に募集人数が少ない保育所等・年齢に申込があると、それ以外の申込者の入所枠が著しく減少します。

生後6か月未満でも申込可能に(第10条)

従来規定にある「ただし、当該利用調整申請にかかる児童が翌年度4月1日において生後6か月に達していない場合は、原則として利用調整申請を行うことができない。」との文言が削除されています。法的根拠に欠けるそうです。

一方で改正趣旨には「利用調整を行ったうえで保留とする」とされています。「申込はできるが、保留となる」と解釈すべきなのでしょうか。

大阪市内で生後6か月以内の保育を行っている保育所等は極一部に限られています。上記文言が削除されても、こうした状況に変化はないでしょう。「生後6か月以内で入所できる保育所等は殆ど無い」という現状を説明しなければ、無用な混乱を招いてしまいそうです。

生後6か月未満でも申込可能に(基本点数表 9.ひとり親)

ひとり親世帯等で、職業訓練校、専門学校、大学等への就学を予定している保護者について、新たに基本点数(60点)が設定されます。

現在は通学中のひとり親に基本点数(70点)が設けられています。これを就学予定者に拡張するものです。

育児短時間勤務制度等の解釈明示(基本点数表 備考)

「育児時短勤務者は短時間、それとも通常の就労時間のどちらで判断されるのか」という問い合わせが非常に多かったのでしょう。

基本点数表に「育児のための短時間勤務制度等を利用している場合であっても、労働契約上の本来の就労時間等により判断する。」と明記されます。従来の解釈通りです。

障害を有する保護者の手帳加点(調整指数表 備考)

保護者が身体障がい者手帳1~2級、精神障がい者保健福祉手帳1級、療育手帳Aの交付を受けている場合には「5点」が加点されています。但し、複数の手帳を有していても加点は「5点」のみとするものです。10点や15点は加点されません。

きょうだい加点の基準日を明示(調整指数表 きょうだいの状況)

きょうだいが入所している保育所等へ入所を希望すると、7点~10点が加点されます。では、いつの時点できょうだいが入所(在籍)している必要があるのでしょうか。入所申込後にきょうだいが退所した場合はどういった取り扱いになるのでしょうか。

そうした疑問に答える為の改正となります。基準日を「利用調整時点」とします。

では具体的にいつになるのでしょうか。利用開始希望日が4月1日となる一斉入所では「別途定める日時点」と定められています。より具体的かつ分かりやすく表した方が丁寧ですね。

8月6日までパブコメ受付中

大阪市も把握できていない不具合や不都合等もあるかもしれません。これらの改正案に意見がある方は、ぜひとも大阪市へ意見(パブリックコメント)を送って下さい。各意見に対する回答がネット上に掲載されます。