大阪府が2024年以降に所得制限無しの高校授業料無償化を実施したい旨を発表しました。
これに対して大阪私立中学校高等学校連合会が反発しています。大阪府が定める標準授業料(現在は年60万円)を越える授業料を学校が負担する「キャップ制」に対する不満です。
現行の、所得制限ありの制度では、大阪府は私立高校について年収800万円未満の世帯の生徒を対象に、国と府の補助金を合わせた上限額を年間60万円と定め、上限を超える授業料については学校が負担する「キャップ制」を適用しています。また、この授業料には、校舎の建て替え費用など施設整備費も含んでいます。
新たな制度でも、このキャップ制は適用されるため、私立高校は、全ての生徒の上限額を超える授業料を負担する必要があります。
大阪私立中学高等学校連合会は、新制度になれば、年間で2億円ほど支出が増える私立高校もあり、経営破綻や教育の質の低下を招くとして懸念を示していました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c953d8f92a4c6e517505d103713c6edb3a181823?page=1
大阪私立中学校高等学校連合会は25日、維新府議団と面会し、府の案について意見を交換した。会合後に取材に応じた連合会の草島葉子副会長(学校法人興国学園理事長)は「今の案で進めれば私学の経営を圧迫し、教育の質が低下しかねない。そうした懸念を伝えた」と話した。
連合会によると、キャップ制が全世帯に広がれば、授業料の大幅な減収が予想されるという。授業料が年間約70万円の学校が試算したところ、減収額は年1億9200万円に及んだという。ある学校法人理事長は「私学の支出は人件費と設備費が多くを占める。支出を絞ろうと思えば、専任の先生を減らすなどしなければならないかもしれない」と話した。
連合会の辻本賢会長(学校法人金蘭千里学園理事長)によると、案について事前の連絡はなく発表後に知ったという。「大阪の私学に激震が走ると驚愕(きょうがく)した」と語った。
草島副会長は「完全無償化の理念には賛成する。経営を圧迫せず、多様な教育を確保するための方法を相談したい」。今後、吉村氏とも意見交換し、制度の詳細について話し合いたいとした。
現在は概ね年収800万円までの世帯にキャップ制が適用されており、この世帯に対しては年間授業料60万円(ここから支援金等を差し引くので、実質負担額は小さくなる)までしか請求できません。
一方で概ね年収800万円以上の世帯にはキャップ制が適用されていないので、60万円を超える授業料を請求する事が出来ます。
高校授業料無償化から所得制限が撤廃されると、全生徒に対して授業料キャップ制が適用されます。全ての生徒に対して年間60万円の授業料までしか請求できない事となります。
これは60万円を超える授業料を設定していた高校にとっては大問題となります。現在はキャップ制が適用される生徒には授業料60万円しか請求できませんが、それ以外の生徒により高額の授業料を請求する事によって帳尻を合わせていました。
しかし、今後はこうした手法がとれなくなります。60万円を超える授業量を設定していた学校は、授業料収入の減収が避けられません。私立高校サイドが懸念を示すのも当然です。
一方で保護者目線としては、現行の私立高校授業料やその他の負担額が余りに重いと感じています。田舎の公立高校出身の私の感覚では「法外」です。
例えば興国高校(天王寺区)は学費等をウェブサイトに分かりやすく掲載しています。
授業料は年間61万円です。標準授業料をわずかに超過していますが、無視できる金額です。
問題はそれ以外の項目です。授業料以外に入学金・PTA会費・生徒会費・学級費・オリエンテーション参加費・学生保険料・研修旅行積立といった様々な費用が必要となります。
上記を基に試算した所、興国高校に3年間在籍した場合に学校へ納入する費用の合計額は2,857,300円となりました。ここから授業料支援金が差し引かれます。
一方、仮に年間60万円の授業料支援金が差し引かれたとしても、残額の1,057,300円は家庭が負担します。決して軽い金額ではありません。多くの方は授業料支援金がフルで受けられないので、負担額は更に重くなります。
我が家は子供に対して「公立高校へ進学して欲しい」と明確に伝えています。大学の学費さえ厳しいのに、私立高校の学費やその他経費を負担できる余裕は皆無です。子供1人ならまだしも、下にはまだ数人もいます。
今更ながら私立高校に通わせる家庭の負担額は非常に重いと感じています。高校授業料無償化が適用される世帯の割合は決して多くなく、少なくない世帯が一定額の授業料を負担しています。
ただ、公立高校と比べると、私立高校の設備の新しさは比較になりません。大阪府にはもう少し公立高校のテコ入れ(設備改善)も行って欲しいです。古くてぼろい公立高校と新しくて綺麗な私立高校(但し私費負担が高額)、どちらも極端すぎます。