大阪市における待機児童(2023年4月1日時点)が「4人」となりました。昨年同時期と同じく過去最少です。ただ、その内実は昨年と異なります。

大阪市における令和5年4月1日現在の待機児童数が確定し、4人となりました。

 大阪市では、待機児童を含む利用保留児童の解消を最重要施策のひとつとして、認可保育所、認定こども園や小規模保育事業の整備等の取り組みを行うとともに、保育の担い手を確保するための保育人材確保対策等により、利用枠(注)の確保に努めてまいりました。
 その結果、令和4年度においては、1,070人分の入所枠(注)を確保し、保育所等在籍児童数は55,093人となりました。

 今後も、引き続き利用枠(注)の拡大に努めるとともに、様々な保育資源を有効に活用しながら、子育て世代の視点に立ったサービスを展開し、待機児童の解消をめざします。

(注)入所枠とは、保育所等の整備により確保した定員数をいい、利用枠とは、確保した入所枠のうち、保育士等の確保により実際に受け入れ可能な枠をいいます。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000600348.html

詳しい資料も掲載されています。

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待機児童等の内訳です。

最下段の数字(待機児童数)は2022年も2023年も「4人」ですが、そこに至る過程は大きく違います。2022年の利用保留児童数(入所申込したが保留となった)は2,089人でしたが、2023年は252人も多い2,341人となりました。保留率は16.7%となります。

事由の多くは特定保育所希望等です。他に利用可能な保育所等があっても、特定の保育所等を希望している方です。が、きょうだいが通っている、利用可能と言っても遠すぎる・勤務先とは逆方向、6年保育の保育所等を希望している等、様々な理由があるのが実情です。

こうした実態から、保育所等への入所しやすさを考えるに当たり、待機児童数より入所保留児童数の方が実態を正しく反映しています。その観点から考えると、2023年度の大阪市保育所等一斉入所は、2022年度より入所しにくくなったと考えられます。

区毎の数字はより鮮明です。特定保育所希望が最も多かったのは北区(131人)でした。2番目に多かった東淀川区(80人)の倍近い数字です。しかし、この両区の利用保留数はほぼ同水準です。

大きな要因は1歳児です。昨年11月の時点で北区の1歳児第1希望が一部保育所等へ集中している事態に警鐘を鳴らしました。

1歳児は更に倍率が高くなります。2倍を超えたのは大阪主婦之会保育園・長柄保育園・同心保育園・音色つばさ保育園・認定こども園中之島ちどり保育園・金蘭会保育園・えがおの森保育園どうしん・明の守なかざき園・あいあい保育園大淀中園・天音つばさ保育園・トレジャーキッズほんじょう保育園です。非常に多いです。

特に入所倍率が3倍を超える保育所等では、何らかの加点が無ければ入所するのは著しく困難でしょう。音色つばさ保育園は入所倍率14倍に達しており、きょうだい加点があっても入所できるか確証が持てません。金蘭会保育園・長柄保育園・大阪主婦之会保育園・明の守なかざき園も同様です。

https://yodokikaku.net/?p=52203

北区東部にあって6年保育を行う保育所等が大半です。こうした保育所等のみを希望し、それ以外は検討しなかった方が少なくないと考えられます。

同区では1歳児のマッチングが上手く機能していません。5月1日時点であっても、約50人の1歳児保育枠が空いています。

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特定保育所希望等が多いという事は、子育て世帯のニーズと保育所等の設置・整備が食い違っている事を物語っています。今後は保育所等の新設よりも、子育て世帯の希望に適う保育所等をきめ細かく整備する事が求められます。

今回の報道発表には各保育所等毎の点数別新規利用状況も掲載されています。これを見ると各保育所等に入所するにはどの程度の点数が必要かが推測できます。

この資料で注目して欲しいのは、保育士等の入所者数です。保育士という保育のプロが選択した保育所等が分かります。保育所等選びは非常に難しいのですが、保育の現場に精通した保育士が見学・比較し、第1希望とした保育所等は非常に説得力があります。

資料には様々な数字が掲載されています。保育所等に入所しやすい/しにくい地域、保育所等への入所に必要な点数、未就学児の増減等がほぼ判明します。非常に重要な資料なので、ぜひご覧下さい。

また、「見方が分からない」「○○についてはどう思うか」といった質問等がありましたら、お問い合わせやコメント欄からお寄せ下さい。