H31保育所等一斉入所結果分析、4回目は各区毎の入所保留率(1歳児)を見ていきます。なお、昨年の分析記事はこちらからご覧下さい。


大阪市の保育所入所待機児童数について(平成31年4月1日現在)より作成(以下同じ)

1歳児保留率は22.7%、北区は34.8%

大阪市(に限らず全国)で待機児童問題が最も深刻なのは1歳児です。

大阪市全体の1歳児保留率は22.7%です。昨年の21.4%より上昇しました。

一斉入所で申し込んだ1歳児の内、4人に1人は入所できなかった計算です。

最も高かったのは北区(34.8%)でした。最終申込者348人に対し、入所内定したのは227人のみでした。3人に1人以上が入所できませんでした。

こうした結果は、昨年に掲載した分析記事でも予想していました。

原因は保育所等の不足です。北区は子育て世帯の転入が大阪市、そして西日本で最も盛んな地域です。

職住近接を求める共働き世帯が多い事から、保育需要も高まっているのが特徴的です。

こうした流れを受けて大阪市も積極的に保育所等を新設しようとしていますが、作っても作っても追いつかないのが実情です。

特に厳しかったのは、長柄保育園同心保育園音色つばさ保育園中之島ちどり保育園えがおの森保育園どうしんでした。北区東部地域ですね。

淀川区・住吉区・住之江区が30%超

市内で最も多い143人もの1歳児保留者が発生したのは淀川区です。保留率は34.5%と非常に高い値となりました。

同区は新大阪駅北西部(三国・宮原等)で再開発が行われており、こうした地域への転入が盛んです。

再開発やその周辺地域(鉄道駅近く)にある保育所等には、多くの第1希望申込者が集中しています。

1歳児入所が特に厳しかったのは、ふたばこども保育園ふたば未来園ポラリスこども園愛光保育園十三保育園塚本くすのき保育園明の守保育園みくにひじり保育園クオリスキッズ三国本町保育園あい保育園西三国でした。

住吉区では、市内で3番目に多い117人もの1歳児入所保留者が生じました。保留率も31.6%に達しました。(詳細はこちら

同区は1歳児募集数が決定的に不足しています。多くの保育所等で1歳児第1希望倍率が2倍を超えました。

市内中心部にある他区と比べ、住吉区は保育所の新設に消極的でした。

ただ、ここ数年、住吉区は一貫して保育所が不足していました。保育施設の整備を余りに軽視しているのでは無いでしょうか。

住之江区の1歳児で何かが起きた?

H31一斉入所において急激に厳しくなったのは、住之江区です。

H30一斉入所での1歳児申込数は232人でしたが、H31一斉入所では305人へと急増しました。

その中で第1希望者が著しく増加したのは、きのみむすび保育園認定こども園愛和学園粉浜学園新北島保育所グレースこども園みさきようちえんです。

グレースこども園以外は、地下鉄住之江公園駅・北加賀屋駅へアクセスできる地域ですね。

ただ、1歳児以外の申込者数等は昨年と同水準です。この地域の1歳児の申込数を急増させた、何かが起きたのでしょうか。

これら以外の区でも、入所保留となってしまった1歳児は少なくありません。1歳児申込みには細心の注意が必要でしょう。

港区・西淀川区・旭区では4人に1人が入所できず

待機児童問題というと、多くのタワーマンション等が立ち並ぶ地域を想定しがちです。

しかし、大阪市での1歳児待機児童問題は、タワーマンションとは無縁の地域でも生じています。

港区・西淀川区・旭区の1歳児保留率は約25%前後でした。4人に1人が入所できなかった計算です。

港区や旭区は1歳児保留率が高止まりし続けています。保育所はあまり新設されず、あたかも少子化による申込者減を待っている様にすら見えます。

深刻なのは西淀川区です。1歳児申込者は年々増加しています。H29が183人、H30が199人、H31が221人(いずれも中間発表ベース)となっています。

港区や旭区とは異なり、西淀川区では定期的に保育所が新設されています。

同区は梅田等へのアクセスに優れており、子育て世帯の転入が増えると予想されます。より多くの保育所が求められます。

それ以外の区でも、1歳児保留率は高い数字を示しています。入所を考えている方は、こうした現実にご注意下さい。

次回は2歳児の入所保留率

次回は2歳児の入所保留率を掘り下げていきます。

ざっと見た限り、2歳児は昨年よりやや入所しづらくなっています。昨年より悪化していると感じました。