(5/19追記)
書類送検されました。監査を妨害したのは理事長・施設長の息子でした。

警視庁は18日、同園の保育士だった男(36)を子ども・子育て支援法違反の疑いで書類送検し、発表した。園を運営する社会福祉法人「吹上会」(同市)も同容疑で書類送検した。同法違反での摘発は全国初という。

 少年育成課によると、男は昨年11月10日午前10時ごろ、同法に基づき立ち入りに訪れた市職員に対し、約17分間にわたって園の出入り口に立ちふさがり、監査を忌避した疑いがある。男は「監査は拒否していない」と容疑を否認しているという。

 同園では、別の保育士が園児に馬乗りになって激しく揺さぶるなどの暴行を加えたとして、2月に警視庁に傷害容疑で逮捕された。この保育士は書類送検された男の弟で、事件当時の吹上会の理事長は兄弟の母親という。

https://digital.asahi.com/articles/ASR5L6HCZR5LUTIL01S.html

当時は少なくとも母親と息子2人が同園に勤務していました。他の保育士等が声を上げるのは困難でした。

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日野市による監査を拒んだとして、保育園及び職員が書類送検される見通しです。

 園児への虐待について調べようとした東京都日野市の立ち入り監査を拒んだとして、警視庁は近く、同市にある認可保育所「吹上多摩平保育園」の運営法人と職員の男(36)を、子ども・子育て支援法違反の疑いで書類送検する方針を固めた。同法違反での摘発は全国初とみられる。

同庁は、虐待を隠蔽(いんぺい)する意図があった疑いがあり、悪質性が高いと判断して同法を適用するという。

捜査関係者によると、市が昨年11月10日に監査を実施した際、男は園を訪れた市職員の前に約17分間にわたって立ちふさがり、「弁護士を呼ぶのは午後になるかも知れない」などと告げて立ち入りを忌避した疑いがある。市には園での虐待の情報が寄せられていた。

市職員はこの妨害行為で園の敷地に入れず、この日は監査できなかった。男は任意聴取に「(自分の行為は)忌避には当たらない」と話しているという。(中略)

この保育士は、園児に馬乗りになって激しく揺さぶるなどの暴行を加えたなどとして今年2月、警視庁に傷害容疑で逮捕された。監査忌避容疑で書類送検される方針の男は、逮捕された保育士の兄という。

https://digital.asahi.com/articles/ASR5K6V99R5KUTIL034.html

適用される条文は下記の箇所です。法人と個人の双方に刑を科す、両罰規定も適用される見通しです。非常に珍しいケースです。

(報告等)
第三十八条 市町村長は、必要があると認めるときは、(中略)特定教育・保育施設の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第七十九条 第三十八条第一項、第五十条第一項若しくは第五十八条の八第一項の規定による報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第八十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=424AC0000000065

吹上多摩平保育園では異常な運営が続いていました。一連の経緯は下記の通りです。

年月日出来事
2021年~同園の職員(保育士)1人が虐待行為(暴力・威圧的言動・女児に対する過剰な身体接触・園児放置)を繰り返した。
2022年1月17日保護者等から相談を受けた日野市が、同園へ指導監査を行った。
2月~5月日野市が書類検査及び職員ヒアリングを実施した
5月9日日野市が文書指摘を行った。が理事長兼施設長は虐待行為等を否認、受け取りを拒否した。
6月~7月法人が改善上局報告書を提出したが、虐待行為を否認する等、不十分な内容だった。
6月24日家庭内虐待に関する園内研修を行ったが、日野市には「施設職員による虐待防止研修」と報告した。
7月22日児童虐待防止措置及び人権・人格に配慮した保育を行う事を求め、、日野市は改善勧告を行った。
7ガチ29日職員会議にて意識向上を図ったとしたが、吉冨弘敏容疑者が虐待行為等を否認する発言を行っていた。
7月~12月吉冨弘敏容疑者は虐待行為を継続した。同園は指導・対策等を行わなかった。
8月同園は再び虐待行為を否認
9月3日保護者向け説明会を行ったが、ここでも虐待行為を否認した。
10月5日日野市が監査を実施した。が、理事長兼施設著は立入調査を遅延させた。
11月10日事前通知なしでの監査を実施したが、職員(理事長の親族・吉冨弘敏容疑者の兄)が妨害し、立入を拒否した。
11月24日事前通知を行った上で調査を行ったが、職員ヒアリングに必要な書類が提出されなかった。
12月16日改善勧告に従わなかったとして、吹上多摩平保育園(施設長吉富和枝)・社会福祉法人吹上会(理事長吉富和枝)を公表した。
12月20日吉冨弘敏容疑者が同法人・同園を退職した。
12月31日吉富和枝施設長が辞任し、主任保育士が園長代行を務めた。が、主任保育士は担任業務を継続しており、延長業務を代行していない。日野市は吉富和枝が施設長を務めていると認識している。
1月6日同法人が日野市へ弁明書を提出した。
1月26日新理事長(高木順一)が就任した。が、その後も実質的には従前の体制が継続している。
2月24日同園の保育士だった吉冨弘敏容疑者(理事長の親族)が園児への傷害容疑で逮捕された。
3月16日吉冨弘敏容疑者が再逮捕された。
3月23日改善勧告に係る措置がとられていないとして、日野市は同園へ改善命令を行った。期日までに改善されなければ確認取消も辞さない構え。なお、3月1日時点で定員120名・在籍93名。同園・姉妹園は突出して空きが多い。
5月18日警視庁は同園及び監査を妨害した職員を子ども・子育て支援法違反の疑いで書類送検する方針。

一連の流れを読んで感じたのは、日野市に対する反社会的とも取れる対応です。監督官庁にここまで強硬な姿勢を取れるのが不思議でなりません。

保育士による虐待行為は数多くの証言が日野市等へ寄せられています。保護者のみならず、保育士等からも情報が寄せられていると読み取れます。しかし、法人や園は虐待行為自体を否定しています。話が噛み合っていません。

虐待行為が継続してしまったのは、同法人・同園の閉鎖性が関係しています。少なくとも理事長兼園長、同園の保育士(逮捕)・職員(書類送検見込み)、姉妹園の園長はいずれも吉富姓です。いずれも親族とされています。

同族による保育所等の運営には様々な問題が付きまといます。特に内部牽制が働きにくいのが致命的です。経営者一族の発言力が極めて大きく、これに異を唱えるのは事実上困難です。

中には刑事事件化された事案もあります。京都では理事長の娘が園児を放り投げて書類送検、兵庫県では理事長一族が数億円を横領しました。いずれも後に理事長一族は法人・園の運営から完全に除外されました。

【ニュース・春日野園】「冷静になれず…」男児放り投げた容疑 保育園元職員の女を書類送検 京都府警

【夢工房】理事長等を解任・保育所にバーカウンター

吹上多摩平保育園及び姉妹園が今後も保育所等として存続するには、吉富一族が法人・園運営から完全に遮断されるのは不可欠です。勤務し続ける事は勿論、何らかの事実上の影響力を持ち続ける事も許されません。

一方、仮に同園の業務を停止させた場合、登園している多くの子供から保育の場が無くなってしまいます。周辺他園で受け入れるにも限度があります。特に保育需要が多い首都圏ではより難しいです。

法人・園が改善命令に従わなければ、日野市は更に踏み込んだ措置を行う構えです。法人や園が保育士による虐待行為を認めなければ、より厳しい対応をせざるを得ないでしょう。