大阪市は必ず採用すると感じていました。保育所等での「濃厚接触者の特定」を取りやめます。極めて大きな方針変更です。

大阪市は保育所など計800施設で『濃厚接触者の特定』取りやめ 現場の業務負担軽減へ

大阪市では8月1日から、市内の保育所などで「濃厚接触者の特定」を取りやめることになりました。(中略)

 そんな中、大阪市は8月1日から、保育施設などで濃厚接触者の特定を取りやめました。対象となるのは市内の保育所・認定こども園・地域型保育事業の計800施設です。保護者が仕事を休まないで済むようにするのが狙いです。

 (大阪市 松井一郎市長 8月1日)
 「保育所での濃厚接触者の判断というものはやめようということにしました。保育士さん含めて濃厚接触者の方々が仕事ができなければ社会に与えるデメリットが大きい」(中略)

 これまで施設内でコロナ陽性者が出た場合、専用の聞き取り票に職員が情報を記入し、保健所に連絡。その内容を受けて保健所から返事が来るという仕組みになっていました。濃厚接触者を特定しないとなると、こういった作業自体がなくなり業務の負担は軽減されることになります。(以下省略)

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20220802/GE00045100.shtml

同様の措置は既に東京都や千葉県が採用しています。感染抑制に非常に後ろ向きな大阪市が今まで採用していなかったのが不思議なぐらいでした。

我が家がお世話になっている保育所からも同様の連絡がありました。真っ先に感じたのは「本当に大丈夫だろうか」という不安でした。

具体的な運用等について訊ねました。

返答は「保育所は濃厚接触者の特定作業を行わない」「園児等が感染しても、園は発表しない」「クラスターが発生したら調査を行う」「明らかに濃厚接触している園児にも、登園自粛は要請しない」「園児や家族がコロナに感染したら、確実に園に伝えて欲しい」との事でした。

松井市長の発言も含めて考えると、大阪市は保育所等における濃厚接触者という考えを撤廃し、感染者・(風邪疾患等の)体調不良者・元気な人間の3分類にするとしています。濃厚接触者というグレーゾーンを撤廃した形です。

これにより、「濃厚接触の疑いがあるから○日間は登園せずにお休みして欲しい、出勤を控えて欲しい」といった話はなくなります。より多くの保育士が出勤できます。子供を預けられない日も減り、保護者が出勤できる日が増えます。

しかしながら、園内での感染拡大リスクは跳ね上がります。特に大半の園児はマスクを着用できません。

従来は濃厚接触者と判断されるにも関わらずに登園し、ノーマスクで活発に活動し、実際はコロナに感染していたのであれば、園内での感染拡大は避けられません。園児や職員が少しずつ減る姿が思い浮かびます。

しかも4歳以下の園児はワクチンを接種できません。大阪府は5歳~11歳のワクチン接種率はわずか7%です。ワクチンを接種した園児はほんの一握りです。

職員にとっても不安でしょう。どの園児がコロナに感染したか、その園児と一緒に遊んでいたのは誰かといった情報は頭にある筈です(少なくとも担任クラスの園児の感染情報は伝わっている)。

コロナ感染した園児とずっと一緒に遊んでいた園児に対し、保育士は従来通りに密に接する事ができるのでしょうか。心のどこかで「感染している可能性が高いから、ちょっと距離を取ろうか・・・・」と感じてしまわないでしょうか。

保護者としても非常に心配です。園内感染リスクの更なる悪化は甘受できません。

松井市長は「保護者が出勤し続けられる為だ」と説明しています。しかし、子供がコロナに感染してしまったら、保護者は出勤できません。仮に保護者が感染せずに住んだとしても、感染して苦しむ子供を放置して出勤できません。親も自動的に10日~2週間程度は休まざるを得ません。

保護者や保育士が出勤し続けられる為に最も必要なのは、「社会全体での感染抑制」です。ハイリスク行動の抑制が必要です。が、非常に乏しいのが実情です。

しまいには「コロナは風邪です。感染しても登園、出勤して構わない。」と言われかねません。

大阪市に住んでいると実感しにくいですが、大阪市は日本最悪のコロナ感染地域です。

8月1日までに大阪市民490,036人がコロナに感染しました。大阪市の人口は2,667,823人です。率にすると約18.4%、およそ5人に1人でコロナ感染した経験があります。

新型コロナウイルス感染症にかかる大阪市内の発生状況及び大阪府モニタリング指標に関する大阪市の算定値について
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000502869.html