昨日5月24日に文部科学省の末松大臣が行った会見では、「登下校の会話に注意し、マスクを外すこと、これについて周知する。感染対策と学びの継続もあるが、熱中症対策も重要」「屋外の運動場に限らず、屋内のプールや体育館もマスクの着用は必要ない」等の発言がありました。

登下校・体育はマスク不要、文部科学省が事務連絡へ

これを受け、文部科学省は都道府県教育委員会等へ「学校生活における児童生徒等のマスクの着用について」との事務連絡を発しました。

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一通り目を通したのですが、大臣の発言のニュアンスとやや異なっていました。事務連絡は熱中症対策の重要性を主張すると共に、現在の学校衛生管理マニュアル等を変更するものではないとも強調しています。

どうも文部科学省は「学校現場等は児童生徒へ過剰なマスク着用を指示しており、熱中症のリスクを軽視している」と疑っている様子です。従来からの対策を徹底する旨の事務連絡です。

その一方でマスク着用を禁ずるものではないともしています。どっちつかずと言いますか、マニュアル等を示した上で最終的な責任は現場や家庭へ押しつけているかの様な印象を受けました。熱中症が発生してもクラスターが発生しても、文科省は「学校や児童生徒の衛生対策が十分ではなかった」と言える内容です。

体育

体育の授業では「マスクの着用は必要ありません」と明言する一方、その後に続く文章で様々な条件を付加しています。

屋外の運動場に限らず、プールや屋内の体育館等を含め、体育の授業の際には、マスクの着用は必要ありません。その際、地域の感染状況等を踏まえつつ、児童生徒の間隔を十分に確保する、屋内で実施する場合には、呼気が激しくなるような運動を行うことは避ける、こまめに換気を行う等に御留意ください。

この文章は前後関係が歪です。地域の感染状況が落ち着いている、児童生徒の間隔が十分に確保できる、屋内で実施する際は呼気が激しい運動は避ける、小まめに換気を行うという条件が全て満たされるのであれば、マスクの着用は必要ないと読み取るべきです。

大阪の感染者は少しずつ減少しつつあり、感染状況は一時期よりは落ち着いています。間隔が十分に確保できる運動場、もしくは十分な換気を行える体育館等で静かな運動(器械体操等?)を行うのであれば、マスクを着用する必要はないのでしょう。これなら納得できます。

「プールや屋内の体育館等を含め、体育の授業の際には、マスクの着用は必要ありません。」だけに注目してしまうと、たとえば体育館でのバスケットボールもノーマスクで行えると判断してしまいます。「その際」以降の方が重要です。

登下校

熱中症リスクが高い夏場においては、登下校時にマスクを外すよう指導するなど、熱中症対策を優先し、マスクの着用は必要ありません。
特に小学生など、自分でマスクを外してよいかどうか判断が難しい年齢の子供へは、登下校時には屋外でマスクを外すよう、積極的に声をかけるなどの指導が必要です。その際、人と十分な距離を確保し、会話を控えることについても併せて指導してください。

ここでも重要なのは後半部分です。「人と十分な距離を確保し、会話を控えることについても併せて指導してください。」です。この条件が満たされるのであれば、登下校時はノーマスクでも大丈夫と読み取るべきです。

学校へ向かう子供が「(ノーマスクでは)人と十分な距離を確保し、会話を控える」なんて到底無理です。現状でも学校内でマスクを外して近距離をお友達と大声で話をし、先生から注意されるケースが生じていると聞きます。

昨晩、子供に「お友達と十分な距離を取って、お喋りしないで学校まで行ける?」と訊ねました。答えは「できない」でした。当然です。

熱中症対策を強調するのであれば、マスクを外す以外に様々な効果的な方法があります。水分補給、日傘、帽子、日光を吸収しにくい色の着衣等、様々な研究が為されています。

なお、より厳重な熱中症対策が求められるのは、日中に置ける学校内外での活動です。登下校時より気温が高く、リスクは跳ね上がります。これらの活動ではマスク着用を求める一方、登下校時はノーマスクを強調するのは明らかに矛盾します。

幼稚園児

幼稚園児は保育園児と同じ扱いとなります。マスク着用を市立には求めず、無理に着用させない方針です。

幼児のマスクの着用については、これまでも無理して着用させる必要はないこととしておりましたが、今般の基本的対処方針の変更において、2歳以上の小学校就学前の幼児には、マスクの着用を一律には求めず、無理に着用させないとされたことも踏まえ、幼稚園においても、同様の対応であることについて改めて周知いたします。

お世話になっている保育所の幼児クラス(3-5歳児)のマスク着用率は1割~2割程度でした。こんなものです。小学生とは異なり、幼稚園児や保育園児の感染対策には限界があります。

我が家の方針

場面毎の判断を子供に求めるのは酷です。我が家はシンプルに「屋外で人との距離が十分(2メートル以上)取れてお喋りをしないのであれば、マスクを外してもよい。それ以外は着ける。」としています。

マスク着用と学校活動・経済活動は両立します。熱中症対策と感染症対策も両立します。前者を強調する余り、後者を軽視するのは許容できません。