愛知県三河地方(県東部)にあった外国人向けの認可外保育施設にて、当時1歳5ヶ月の男児がパンを喉に詰まらせて死亡する事故が起きました。

愛知の保育施設で1歳死亡…パンで窒息か

 愛知県三河地方の認可外保育施設で昨年6月、当時1歳5か月の外国籍の男児がパンをのどに詰まらせたことが原因とみられる事故で死亡していたことが、県などへの取材で分かった。施設は県への設置の届け出を怠っており、事故直後に、設置と同時に廃止を届け出て閉所した。

 県の検証委員会の報告書などによると、事故は昨年6月23日に発生。男児は、他の園児から渡された棒状のパンのかけらを口に入れたとみられる。異変に気づいた園長は「救急車を呼ぶより早い」と自家用車で男児を搬送したが、病院で死亡した。事故の原因は特定されていないが、検証委は施設内の状況などから「パンの誤嚥による窒息の可能性が高い」と結論づけた。

 国の認可外保育施設の指導監督基準では、6人以上を保育する際には複数の保育従事者を配置することが必要だと定めているが、事故時は外国出身の園長1人で幼児7人を見ていたという。また同基準では保育士や看護師の資格を持つ人を施設に配置することも求めているが、2012年から施設を運営していた園長は日本でも母国でもこれらに相当する資格を取得しておらず、事故が起きるまで県に施設開設の届け出もしていなかった。(以下省略)

https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/news/20220507-OYTNT50000/

事故の検証報告書は愛知県ウェブサイトに掲載されています。

愛知県認可外保育施設等における重大事故に関する検証委員会報告書
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/411503.pdf

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報告書を読んだ感想は「起こるべくして起きた事故だった」に尽きます。杜撰な保育以前の問題です。「外国人の友人知人の子供を預かっていた」だけの施設(自宅)でした。保育施設ですらありません(後日に認可外保育施設としての届出を提出)。いわば闇保育です。

愛知県三河地方はトヨタ系企業やその関連業種・取引先で働く外国人やその家族が非常に多い地域です。中には児童の半数を外国籍が占めている学校もあります。

以前は日系ブラジル人が多かったのですが、最近はインドネシア人・ベトナム人・ミャンマー人・ネパール人が増えていると聞きます。

その為、外国人を対象とした様々なサービスが提供されています。本保育施設もその一つです。

園児募集のチラシはなく、利用児は全て口コミで集まっていた。外国籍の人々のコミュニティのSNSで「子どもを預けられる場所はないのか」という相談をきっかけに本施設を知るようであった。

外国籍の人々は、認可保育所に入れる人でも、言葉や文化の問題で日本の認可保育所になじみにくく、また認可保育所以上に長時間預けられるため、主に外国籍の人々が利用する認可外保育施設に入れる事例があるというのは聞いたことがある。

我が家がお世話になっている保育所でも、外国籍の保護者や子供が在籍しています。親と日本語でコミュニケーションが取れれば良いのですが、中には殆ど日本語を解さない保護者もいます。英語でしたら一部保護者が手助けできるのですが、東南アジア系の言語はお手上げです。

同施設の存在を愛知県は知るよしもありませんでした。

外国人の子供向けの預かり保育が行われているという話は市町村の保育担当者レベルでは聞いていたでしょうが、具体的な所在地等を掴むのは難しいです。ましてや外国人住民との距離が更に遠い愛知県なら尚更です。

箇所時間は6時から19時半、児童数は1-3歳児の7人、当時の職員数は園長1人のみでした。園長1人では物理的に保育ができない人数です。

園長は「通常は5人、当日はたまたま親の都合で返せなかった1人と、自分の孫もいた」と話しています。恐らくはその通りだったのでしょう。

喉に詰まらせたのは、長さ18センチ・幅3センチ・高さ1.5センチ程度のチョコチップスティックパンでした。

このパンを持っていた他の児童に要求して受け取った本児童が食べたところ、喉が詰まりました。

保育施設での事故の多くは、「保育従事者の不足」が原因・遠因となって発生しています。本件も例外ではありません。事故当時は園長は少し離れた場所で調理作業を行っており、パンを食べた瞬間は目撃していません。

報告書では様々な検討すべき問題・課題や提言等が記載されています。しかし、本事故の教訓はシンプルです。「外国人社会へのアプローチ」です。まずは闇保育を認知する事です。

提言書を作成した委員会の構成も気掛かりです。医療・法律・福祉の専門家で構成されていますが、外国人政策や社会等に精通している人間がいません。詳しい人間にヒアリング等は行っているでしょうが、軽視されている気がしてなりません。