3年前(2019年)、いじめをうかがわせるメモを残して自殺した大阪市内の小学5年生の女子児童について、大阪市が設置した第三者委員会は、複数のいじめがあったとする報告書をまとめました。
3年前の令和元年の9月、大阪市立の小学校に通う5年生の女子児童は、いじめをうかがわせるメモを残して自宅のマンションから飛び降りて亡くなり、市は弁護士らで作る第三者委員会を設置して調査を進めていました。
調査報告書は27日公表され、第三者委員会は、女子児童が他の男子児童たちから「死ね」と言われたり、貸した金を繰り返し催促しても返してもらえないなどのいじめを受けていたと認定しました。
こうしたいじめを受けたのは亡くなった時期と近く、遺書とみられるメモにも書かれていて、報告書では「自殺と関係ないとは判断できず何らかの影響はあったものと考えられる」としています。
一方で、女子児童は加害児童たちとは友人関係とみられることやいじめの以前から、「学校がいや」とか「死にたい」と話していたことなどから、金銭問題や男子児童たちの発言のみが原因になったとは考えにくいとしています。
また、小学校の対応については、いじめの可能性があったのに学校をあげての十分な調査が全然できておらず、文部科学省が規定している自殺の背景調査も行われなかったことが遺族の不信感を招いたと指摘しました。
本事件は以前に当ウェブサイトで2年前に取り上げました。
「学校で死ねって言われた」と書かれた遺書を残したものの、学校からの返答は「いじめはなかった」とするものでした。報告書を読む限り、その後も学校・市教委と遺族とのやりとりは行き違いが多かったという印象を受けました。
本日公表された調査報告書は、大阪市ウェブサイトに掲載されています。
報告書には遺書が掲載されています。
当該児童の母が自殺直前の朝に見つけ、学校と情報共有を行いました。しかし、残念ながら自殺は防げませんでした。
報告書をざっと読みましたが、「自殺を決意した明白な原因ははっきりしない」のが率直な感想です。
ただ、自殺に至った原因は強く示唆されています。「楽しくない学校生活」「いじめ」「学校からの指導」です。
楽しくない学校生活やいじめが長期に渡って続き、自殺直前には校長と担任による指導が行われました。
児童は死を意識する発言や文章も残していました。
これは生命の危機に関するシグナルです。危険な言動です。一部の教職員は更なる事態を危惧していましたが、それで終わってしまいました。
児童の訴えに耳を傾け、死から遠ざけるタイミングは幾つもありました。しかし、その機会を逸し続けたと感じました。