もうすぐ4月です。「小1の壁」という声が聞こえてくる季節です。

「小1の壁」で退職する母親たち。学童の待機児童だけじゃない複雑な背景
https://news.yahoo.co.jp/articles/306870fb72043f8c2bf7a91f73fbd668374e42c0

実は「小1の壁」問題は地域差が非常に大きなものです。

制度を柔軟に運用して対処している学校や学区もあれば、旧態依然として運用を行っている学校・学区もあります。学童保育に入るのが難しい地域もあれば、深刻な児童不足が生じて閉鎖に追い込まれる地域もあります。

コラムで指摘されている問題は、私の身の上でも起きた事ばかりでした。どうやって対応したかを簡単に書き記します。

旗振り当番

月に1~2回回ってくる旗振り当番(旗当番)です。早朝に指定された横断歩道に立ち、児童の安全を見守る活動のことで、免除は認められません。(中略)

2人の子どもを自転車の前後に乗せて連れ、月曜日には昼寝布団やおむつバケツも持参します。

見守りが終わった時点で、下の子ども達をそのまま保育園に送迎するしかありませんでした。

職場からの理解は得られたものの、PTAとしては「子連れ禁止」のルールがあったため、注意されてしまいます。

小学校の子供を育てている家庭は、同時に未就学児も育てている家庭が非常に多いです(当たり前ですが)。

一般的に朝の旗振り当番は登校する時間に合わせて行われます。大阪市内だと朝は8時前後という学区が多いでしょう。しかし、この時間帯は保育園や幼稚園へ登園準備する時間帯と完全に重なってしまいます。また、下校時間に合わせた旗振り当番を行っている学区もあります。

旗振り当番の時間までに準備を終えて一緒に外出するのも、旗振りを終えた後に自宅へ戻って準備を行うのも、著しい負担が掛かります。

「子連れ禁止」というルールは理解できます。旗振り当番を行うのは、交通量が多かったり見通しが悪いといった場所です。小さな子にとっては危険な場所です。「危ないから連れてこないで欲しい」というのが本音でしょう。旗振り当番中は、どうしても親の目が離れてしまいます。

私が至った結論は「未就学児を育てている共働き家庭が、旗振り当番を行うのは著しく困難」でした。行おうとすると重い負担がのし掛かってしまいます。

そもそもこうした制度が今も残っているのは、祖父母と同居している専業主婦世帯が多かった時代の名残でしょう。しかし今は違います。周囲は核家族が専らです。

お世話になっている学校(正式には学校を経由した町内会)からは、毎年4月に「旗振り当番募集のお知らせ」というプリントが配布されています。ここには「仕事や家庭の事情を理由とした拒否は出来ません」といった文言が記載されています。

ある年、思い切って「○○という事情でできません」と書いて出しました。「思い直すように」と説得はされていません。陰ではあれこれ言われている様子ですが。

学童保育

まず、住んでいた地域では学童保育の待機児童が深刻で、各自の得点で審査されます。パートの場合は正社員よりも点数が低く、不利なことがわかりました。

しかし正社員としてフルタイムになれば、今度は学童の送迎に間に合いません。

そのためパート勤めのまま応募しようとしましたが、その料金の高さにも驚きました。翌年に下の子どもも入れようとすると、パート月給の半分以上が学童保育代で消えてしまいます。

授業終了後の学童保育に関しては、大阪市は非常に恵まれています。学童保育ではありませんが、全ての小学校で児童いきいき放課後事業(いきいき)が行われています。

 大阪市では、市内の市立小学校において、平日の放課後、土曜日・長期休業日に小学生の健全育成を図るため、遊びやスポーツ、主体的な学習などを活動内容とする「児童いきいき放課後事業」(愛称:「いきいき」活動)を実施しています。

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000002468.html

学校の空き教室を利用し、平日や土曜日に18時まで開所しています(希望者が多ければ19時までも可)。人数が多い際は体育館・図書館・運動場を使っても活動しています。

原則として定員はありません。利用者は低学年(特に1-2年生)が中心です。保育所との延長線的な存在です。そして料金は年500円(保険料)だけです。

いきいきには本当に助けられています。これがなければ小学校入学後の生活は成り立ちませんでした。

こうした事情がある事から、「学童保育の待機児童が深刻」「3年生以上は入れない」「料金が高い」といった悩みとは全く無縁です。

中には「18時まででは短い」という方もいます。中にはいきいきと学童保育を併用している方もいます。18時まではいきいき、18時から20時までは学童保育という過ごし方です。

帰宅後のフォロー・学校行事

新たな生活習慣に慣れるまでは、宿題や持ち物のフォローが必須です。仕事帰りにこれらをこなすのは、正直骨が折れる家庭も多いでしょう。

加えて、小学校では平日の行事もたくさんあります。もしPTAの役員が当たれば、そちらの活動が平日に加わることも。

宿題や持ち物のフォローは大変です。1年生の1学期は毎日の準備に付きっきりでした。必要な物が全てランドセルに入っているかを毎日の様に確認していました。

長期化するのは宿題のフォローですね。特に教科書の音読を親が聞いたり、解いたドリルやプリントの丸付けを親が行うタイプの宿題は大変です。子供1人で完結する物では無く、親の関与を必要とする宿題です。

余りに多かった際は、先生に「子供に宿題を出すのは理解できますが、まるで親にも宿題を出している様に感じます。」と苦言を呈した事があります(翌日から大幅に減りました)。

保育所との大きな違いは帰宅後の過ごし方です。保育所から帰宅した後の子供は自由時間です。一方、小学生は翌日の準備や宿題、自宅学習などを行います。帰宅するのは余りに遅くなると、これらを行う時間が足りません。

保育園児の19時帰宅と小学生の19時帰宅では、その意味合いが全く違います。学童保育で宿題等を行う事もありますが、音読は聞かなければなりません。

コロナ禍で大幅に中止されましたが、それ以前は月1回弱程度はありました。これにPTA本部役員が重なったら、仕事と両立するのは非常に難しいです。早々に休めません。

この2年間はPTA活動が大幅に縮小されました。が、親は特に困っていません。子供は楽しめる行事が殆ど無くなってしまって不満気でした。

前例踏襲は止めて欲しい

旗振り・宿題・PTA活動・行事といい、学校関係の諸活動は昭和の時代に取り残されている物が少なくありません。時代に応じて変わって欲しいですが、そうした動きは極めて弱いです。殆どが「前例踏襲」「昨年通り」です。

痛感しているのは「子育て世帯の発言力・発言機会の貧弱さ」です。学校でも地域関係でも下請け同然に扱われており、意思決定に関与できる機会はほぼ皆無です。親が無償労働として扱われています。

時代は動いています。子育て世帯の余力は乏しいです。コロナ禍前の様な活動には戻りたくありません。