幼稚園や保育所等が急に臨時休業を行い、多くの保護者が仕事等に支障を来しています。NHKニュースよりご紹介します。

山口県内に単身赴任中だという大阪市の36歳の会社員の男性は、6歳と4歳の2人の子どもが近くの幼稚園に通っていますが、先週月曜日に新型コロナの感染者が出たため休園になりました。
妻も会社員として働いていて仕事を休むことができず、男性は急きょ、単身赴任先から戻り、オンラインや半休を活用して子どもたちの世話をしていました。
男性は、「突然の対応で困っています。もっと子育てが対応しやすい社会になってほしいです」と話していました。

また、大阪市内で飲食店を経営する36歳の男性は、5歳と2歳の子どもが通う保育園で新型コロナの陽性者が出たとして、急きょ、休園を告げられ、子どもたちを迎えに行ったといいます。
店はスタッフに任せて、何とか切り盛りしてもらいましたが、今後、急な休園が続くと店の営業にも支障が出かねないと懸念しています。
男性は、「ランチやディナーの時間だと、急に迎えに行けなかったりすることも考えられますし、この先が心配です」と話していました。

幼い子どもたちへの感染急拡大で、保育園や幼稚園が急きょ休園となり、子どもを預けられず、仕事を休まざるをえなくなったという人が増えています。
このうち、大阪・吹田市内の会社で経理の仕事をしている大阪・西区の南里沙さん(36)は、1歳半の娘を近くの保育園に預け正社員として働いています。
しかし、保育園に通う子どもたちや園の職員に感染者が相次ぎ、保育園は今月だけで、すでに3回休園と再開を繰り返しているということです。
3回の休園のうち2回は、仕事中に保育園からすぐに迎えに来るよう連絡があり、急きょ、仕事を切り上げざるをえませんでした。

南さんは「リモートワークができない職種なので、休園になると仕事を休まざるをえず困っています。オミクロン株が流行してからは、保育園も子どもが鼻水やせきの症状があるだけで預かってくれなくなり、育児の緊張感と負担が増しています」と話しています。
そのうえで「国や自治体は子どもの保育園が休園になったとき、保護者が休みを取りやすいようにしたり、給与面でも不利にならないよう支援してほしいです」と訴えていました。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220131/2000057198.htmlより引用

上記の3例は全て大阪市内の話です。いずれも「幼稚園や保育所等が臨時休業し、出勤できない。困っている。」という話です。

ほぼ全ての子育て世帯は、幼稚園や保育所等が開所しているのを前提とした働き方や生活を組み立てています。臨時休業による影響は甚大です。

一方、保護者の意見には納得・賛同できるものもあれば、少し違うと感じる意見もあります。

「もっと子育てが対応しやすい社会とになってほしいです」という声は、余りに贅沢な意見だと感じました。

ここ数年は子育て環境が目に見えて向上し、保育所等にも随分と入所しやすくなりました。街中のバリアフリー化が進み、子供が遊べる場所等の拡充も図られています。

陽性者の発生によって幼稚園や保育所等が臨時休園しても子供を継続して預かって欲しいというニーズに応じるには、膨大な社会的資源を必要とします。無理な要求です。

「ランチやディナーの時間だと、急に迎えに行けなかったりすることも考えられます」という声は納得できます。ピークタイムに仕事を抜け出し、子供を迎えにいくのは難しいです。

一般論となりますが、止むに止まれぬ事情があれば、緊急降園後も(少しの時間は)継続して預かって頂く事は可能でしょう。

「今すぐに迎えに来て下さい」と言われても、無理なものは無理です。朝から段取りを付けて休むのと急に仕事を切り上げるのとでは、事情が全く違います。緊急降園よりも、朝から休園の方が楽です。

「休園になったとき、保護者が休みを取りやすいようにしたり、給与面でも不利にならないよう支援してほしい」という意見は同感です。幼稚園や保育所等が臨時休業を行うのは仕方ないとしても、休みを取るのに膨大な労力や精神的負担が掛かるのは理不尽です。

リモートワークや有給休暇が利用できるなら未だ幸せです。有給休暇を使い切ってしまった、勤務先に使用を拒否される(労基法違反の疑いも)、フリーランス(制度の対象外)等、臨時休業によって収入が減少してしまう労働者は少なくありません。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金制度もありますが、使い勝手はよくありません。事務作業や行政手続等に慣れていなければ、個人が申請するのは難しいと感じました。

オミクロン株による第6波は、学校・幼稚園・保育所等を利用している子育て世帯を直撃しています。命の危険からは遠いものの、毎日の暮らしへの影響は甚大です。

しかも比較的所得が高い世帯はリモートワーク・充実した有給制度等によって影響が軽い反面、低い世帯はリモートワーク出来ない対面労働・有給制度の不備・給与減に直結する出勤減によって大きな影響が出ます。

第6波は子育て世帯間の格差を助長しています。このままでは、子供の成長や学習に取り返しが使えない影響が出ます。いや、既に出ています。