新たに策定された「大阪市教育振興基本計画」(素案)につき、大阪市が市民からの意見を募集しています。

「大阪市教育振興基本計画」(素案)について

 「大阪市教育振興基本計画」とは、大阪市における教育の振興のための施策に関する基本的な計画であり、今後4年間でめざすべき目標や、その達成のために取り組むための取り組むべき施策の概要などを定めるものです。

 現行の計画は、平成23年3月に策定した後、平成29年3月に2次改訂として、令和2年度までを施行期間とする計画とし、令和3年3月に新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、その期間を1年間延長することとしました。そして今回、延長期間の満了に伴って、同計画を新たに策定することとなり、総合教育会議等を通して学識経験者や学校現場からご意見を伺ったうえで、大阪市とてしての素案を取りまとめました。

 このたび、素案を広く公表し、市民の皆さんからご意見を募集します。

https://www.city.osaka.lg.jp/templates/jorei_boshu/kyoiku/0000545505.html

新たな素案では、以前から目標に掲げられてた「安全・安心な教育の推進」と「未来を切り拓く学力・体力の向上」に加え、GIGAスクール構想等に対応した「学びを支える教育環境の充実」が加えられています。

下記が各目標を具体化した物です。

以下、素案内で目に止まった箇所を取り上げます。

不登校特例校の設置

以前から少なくなった不登校児が、コロナ禍によって更に増加しています。不登校児の学習機会を確保する為、大阪市は「不登校特例校の設置」を検討しています。

不登校児童生徒については、全国と同様に大阪市においても増加傾向にあり、大きな課題となっていることから、さらなる家庭との連携、教育支援センターの設置や不登校特例校の設置検討(令和6(2024)年度開校予定)、ICTの活用等の充実を図り、児童生徒一人一人に寄り添った不登校要因への対応を行うとともに、不登校児童生徒の学習機会の確保に向けた取組を行っていきます。

現在は不登校児の学習支援等を行う適応指導教室が、教育支援センター新大阪(むくのき学園内)・教育支援センター花園(もと弘治小学校)・教育支援センター桃谷(もと鶴橋中学校)の3箇所に設置されています。

こうした支援センターが特例校の母体となるのでしょう。

不登校であったとしても、どこかで社会生会に必要な知識等を身につける必要があります。適切な支援を望みたいです。

豊かな心の育成

自己肯定感・自己有用感については、全国平均と比べ改善が図られていない状況です。児童生徒が将来の夢や希望をもてるような道徳教育・キャリア教育の充実を図ることで、自己肯定感・自己有用感の改善に取り組んでいきます。

道徳教育やキャリア教育で将来の夢や希望が持てるとは考えにくいです。個別個別の話を聞く限りでは、家庭事情による制約が大きいと感じています。

将来の夢や希望が持てるには、それを現実化できる機会や能力が必要です。観念論で対応するのは難しいです。家庭への支援も必要です。

幼児教育の推進と質の向上

最重要目標の「未来を切り拓く学力・体力の向上」の土台には、乳幼児期の発達の特性を踏まえた教育・保育の実践が不可欠です。乳幼児期の子どもが、身近な環境に主体的に関わりながら、遊びや生活を通して生涯にわたる人格形成の基礎や小学校以降の教育の基礎を培えるよう取り組んでいきます。

就学前教育はどこまで行うべきなのでしょうか。私自身も分かっていません。

あくまで個人的な経験に過ぎませんが、うちの子は保育所の卒園直前に自分の名前+αしかひらがなを書けませんでした。ただ、今は学年毎に配当された漢字を概ね正確に書けています。

決して教育には力を入れていない保育所でしたが、今となってはそれで十分でした。就学前教育が詰め込み教育になるのは反対です。小学校受験も一切考えませんでした。

誰一人取り残さない学力の向上

大阪市が最重要視している項目の一つです。

全国学力・学習状況調査の結果における平成29(2017)年から令和3(2021)年度までの経年比較を見ると、大阪市の平均正答率は、全国平均との比較において全体的な改善傾向にあるものの、依然として全国水準には達していない状況です。

こうした状況を踏まえ、GIGAスクール構想等により整備されたICT環境も最大限に活用しつつ、子どもたちが生き抜くための基本となる学力を全ての児童生徒に身に付けさせていくことが求められています。

このため、児童生徒の発達段階を考慮しながら、読解力・言語能力、数理能力、論理的思考力、情報活用能力、課題発見・解決能力等、学習の基盤となる資質・能力や現代的諸課題に対応して求められる資質・能力等を育成していきます。

既に小学校では様々な対策が行われています。一方で中途半端な印象も感じます。

例えば小学校の学習内容を容易に理解できる子にとっては、学校での学習や指導は物足りません。授業中も早々に課題を解いてしまい、時間を持て余す事もあるそうです。

反対に勉強が苦手な子にとっては、指導は不十分です。家庭でも十分な指導が行えない事が少なくありません。得意な子との差が年々開くばかりです。

また、小中学校でのテストが多すぎるのは気になっています。単元毎に行われるテストに加え、全国学力・学習状況調査、小学校学力経年調査、中学生チャレンジテスト等が行われています。

きめ細かい指導の為には必要かもしれませんが、子供や親にとっては過剰な負担となっています。また、テスト対策としての授業や宿題が行われているとの話も聞きます。

健やかな体の育成

大阪市の子どもが都市部に暮らし、社会環境や生活様式の変化によって身体を動かして遊ぶ機会が減少している現状を踏まえ、児童生徒一人一人の状況を把握しながら学校園における体力向上に向けた取組を進めます。また、区や関係局等が協力し、運動やスポーツに親しむ機会の確保に努めていきます。

大阪市内は「遊ぶ場所」が本当にありません。公園は狭く、子供が身体を力一杯動かせる広さがありません。

学校からは「家庭でもしっかり身体を動かす様に指導して下さい」という旨がお願いされていますが、なかなか難しいのが実情です。

多くの子供は広い場所と道具があったら勝手に遊びます。大人があれこれ言うまでもありません。大阪市へは「子供が自由に遊べる広い場所の整備」を強く要望したいです。

教育DXの推進

ICTを活用した教育については、1人1台端末の環境を生かし、デジタルドリルや協働学習支援ツールを活用することで、子どもの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向け取り組みます。なお、教育の質の向上のために、発達段階や学習場面等により、視覚・聴覚的情報を組み合わせた学習が効果的な場面ではデジタル教材を活用したり、纏まった文章を読み解く学習に取り組む場面では紙の教材を活用するなど、デジタルと紙それぞれの良さを活かしながら適切に組み合わせていくことを基本とします。

お世話になっている学校でも、徐々にGIGA端末を利用した授業や学習が行われています。

それでも狭い画面・操作指導に掛かる時間・教員が児童生徒のノート確認できないといったデメリットがあり、対面授業を全面的に代替できるものではありません。

一方でコミュニケーションを図る道具としては非常に有効です。臨時休業中に授業動画を流したり、以前は校内で行われていた説明会等がオンラインで開催される様になりました。助かっています。

急速なDX化を図るのでは無く、適した場面で徐々に使っていくのが無難でしょう。好事例を水平展開して欲しいですね。

人材の確保・育成としなやかな組織づくり

深刻化する教員のなり手不足に対応するとともに、多様性を備えたしなやかな教職員組織を整備し、社会に開かれた教育課程の実現に取り組むため、特別免許状の積極的な活用により教職課程履修者以外の専門性や社会人経験を有する人材を教員として登用する採用選考の新たな特例措置等について検討・実施し、多様な人材の採用を進めます。特に、「総合的読解力育成カリキュラム」(仮称)による総合的読解力育成の時間(「小中学生からのリベラルアーツ教育(仮称)」)及び先端的な理数教育の担い手については、特別免許状による被採用者を含む多様な人材の確保を図ります。また、教員を採用前から育成する観点から現場実習の受入れを推進します。

大阪市の学校で最も深刻な問題の一つです。教員志望者の激減です。真偽不明ですが「大阪市で先生になるのはやめておけ」という話を何度も見聞きしました。

様々な手法が取り上げられていますが、根本的な対策が抜けています。「労働環境の向上」です。業務量の削減や効率化、待遇の改善等、すべき事はいくらでもあります。

このままだと新卒者から敬遠され、社会人経験者が多くを占めかねません。それはそれで良いのかもしれませんが。

人材の確保・育成としなやかな組織づくり

教育委員会が所管する全ての市立学校園に、保護者や区民等の学校運営への参画を目的とした学校協議会を設置するとともに、積極的な情報発信を行い、開かれた学校づくりを進めるなど教育改革を推進してきました。各区役所が学校協議会の運営状況を把握するとともに運営の補佐の役割を果たし、各区での保護者・区民等の参画のための会議との有機的な連携を図るなど、地域に根差した取組を進めてきました。

学校協議会は本当に役立っているのでしょうか。

お世話になっている学校では、PTA会長・地域団体の主催者・PTA会長OB・地域の有力者で構成されています。ありきたりの意見しか出ず、形骸化していると聞きました。

それ以前の話として、普通の保護者が学校へ意見を届ける機会が余りに少ないです。発言力や声が大きい保護者等の意見ばかりが届き、それ以外の大多数の声はなかなか届きません。

現状のままであれば、学校協議会は不要です。

11/1まで意見募集中

大阪市は本素案に対する意見を11月1日まで募集しています。寄せられた意見に対しては、担当部署からしっかりした回答が行われます。

意見が素案に反映される可能性は高くないでしょうが、意見に対する見解が公表される意義は大きいです。

興味や関心がある方はぜひお送り下さい。