大阪市立学校に勤務する先生も「外部業者から委託される宣伝や広告等の配布物が多すぎる」と悩んでいるそうです。

大阪市教委は市の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策「教育振興基本計画」を定めています。

大阪市教育振興基本計画(令和4(2022)年度~令和7(2025)年度)を策定しました
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000553208.html

これに関連して学校現場の声を聞く仕組みを導入しています。教職員から市教委へ寄せられた意見等とその回答が公開されています。

教育政策の更なる充実を図るための教職員からの意見・提案、及びそれに対する対応策

令和4年4月分(PDF形式, 142.86KB)
令和4年1学期分(5月以降)(PDF形式, 237.80KB)
令和4年2学期分(PDF形式, 182.49KB)
令和4年3学期分(PDF形式, 992.03KB)
令和5年度1学期分(PDF形式, 718.05KB)
令和4年度1学期~3学期進捗状況(PDF形式, 429.77KB)

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000553208.html

この内容が実に興味深いのです。教職員の問題意識や市教委や保護者等に対して有している不満が噴出しています。中には人事制度に対する不満を爆発させている意見もあります。

そうした中で「チラシ等を受け取る子育て世帯も大変です」と共感した意見があります。冒頭に記した「過剰な配布物」問題です。

宣伝、広告等の配布物が多すぎます。特に、入学式や夏季休業前など、ここぞとばかりに多数のチラシ等が送られてきます。それにより、以下の問題が発生しています。

・学級ごとの仕分けに時間を割かれる
・学校から保護者への重要な手紙が紛れてしまう
・低学年は手紙の配布に時間を割かれ、学習の時間が減ってしまう(特に、入学直後の1年生が新聞を後ろに回すのは大変です。バラバラになってしまいます。一度、現場を見に来てほしいです。)

鑑文に校長会で事前に承認されている旨の記載があったり、配布依頼が事前に文書連絡で来ていたりすると、現場は断れません。その結果、上記のような問題が発生しています。安易に許可しないでいただきたいです。また、鑑文等もなく、いきなり段ボールに詰めて広告等を送ってくる企業もあり、それを破棄するだけでも時間を取られてしまいます。

(中略)宣伝や広告の対応で、教職員の勤務時間、そして、子どもたちの学習時間が奪われる現状を改善するためにも、対応を強く要請します。

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000553/553208/ikenteian1.pdf

全くの同感です。本当に多いです。特に夏期休業前は夏休み中の各種イベント(キャンプ・ボランティア・スポーツ等)が10枚近くも配られた日がありました。ここ1-2カ月はバスケットボール関係のチラシ(割引チケット)を何度も受け取りました。

こうしたチラシ類のほぼ全ては、軽く目を通すだけで廃品処理に回しています。郵便受けに無差別に投函されている、様々なチラシと同じ扱いです。

確かに中には子供にとって有益であり、実際に参加したイベントもあります。しかし、それは本当にごく一部です。それ以外の99.99%のチラシはゴミ扱いです。滑りやすい紙や両面印刷が行われているので、子供の計算用紙にすら使えません。

こうしたチラシ類を配布するには、学校で膨大な手間暇が発生しています。引用した通り、ただでさえ忙しい教職員の業務を圧迫しているのは間違いありません。

保護者宛の重要な手紙がチラシに紛れてしまうのも問題です。複数のチラシの間に挟まっていて、見落としそうになった経験は何度もあります。

学校へこうしたチラシ類の配布する業者は、学校や教職員のマンパワーを自組織の営業活動等に利用しているのに等しいです。学校へ手間賃等を支払って欲しいぐらいです。

この意見に対する大阪市教委の見解等は冷酷です。

 本市の機関及び法人その他の団体が実施する事業・行事等に関するビラなどの周知文書の学校園を通じた配付に係る作業等が学校園の大きな負担となっており、負担軽減を図る観点から、「教育委員会所管の学校における周知文書等の配付に関する要綱」を制定し、令和2年9月に「学校園における周知文書の配付について(通知)により、取扱いについて、各所属に周知しております。

周知内容が教育活動に資するものであることなどの条件を満たした場合にのみ、学校園に配付依頼ができることとしております。また、配布を依頼する際の手続きについても、周知文書等を20部ごとに結束する等の措置を講じるように指示しております。

同要綱では配布基準として「保護者等への周知文書等の配付は団体等が行うものとし、配付することが困難な場合に、団体等は周知内容が教育活動に資するものであること、また、学校を通じて配付することでより効果が見込める場合に配付の依頼を学校に対し、行うことができるものとする。」(同要綱第2条第1項)と定められています。

「保護者等への周知文書等の配付は団体等が行うもの」とあるので、この文言をより厳格に適用してもらいたいです。

特に営業活動的なニュアンスが強いチラシは、適切な費用を支払った上で各区役所が配布している広報誌に掲載すべきでしょう。学校を営業活動に利用するのは不適切です。

最近は学校から「ミメモルメをより積極的に利用し、配布するお手紙類を減らします」といった連絡がありました。まだ試行段階(一部の家庭がミメモルメを導入しておらず、全面切替は未だ困難)ですが、少しずつプリント類が減少していると感じています。

業者等の宣伝・広告チラシは、こうした動きに逆行するものです。学校の手間暇のみならず、家庭における処理負担にも目を配って欲しいです。