大阪市立学校の臨時休業が長期化している背景には、保健所業務の逼迫が挙げられます。

学校等での調査は各区役所の保健福祉センターが担っていますが、そこに至るフローの一つに保健所があり、そこで目詰まりを起こしてしまっていました。

自民党・市民クラブ大阪市会議員団が大阪市や市教委へ働きかけを行った結果、保健所を迂回する形で学校の疫学調査を行うルートが確立されました。

大阪市会議員の北野妙子氏がフェイスブックに投稿しています。

学校園に1人でも新規感染者が出ると、「医師→保健所→区保健福祉センター」というまどろっこしい順序を経て、初めて疫学調査が入ることになっていたため濃厚接触者の特定が非常に遅い。これになんと3~7日間もかかっていたものが、この度、大幅に短縮されることになった!

「新規感染→学校園→区保健福祉センター」というルートだと、ひっ迫している保健所を経由しないため、本人からの聞き取り調査(保健所様式)をもとに地元で濃厚接触者を特定できるため、積極的疫学調査の早期終了がみこまれるという取り扱いが可能となった。これで1~2日で濃厚接触者が特定され、出席停止や学級閉鎖などの措置がなされる。

あくまで本日9月2日から適用され、緊急事態宣言期間限定ではあるものの、自民党・市民クラブ大阪市会議員団の提言を受けて、いち早く教育委員会・健康局が対応してくれた。(以下省略)

https://www.facebook.com/100003589416601/posts/4079022995560641/?d=n

保健所との連携を強化する為なのか、市教委は8月1日付で学校運営支援センター担当係長へ保健所との兼務辞令を出していました。

https://www.city.osaka.lg.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000531/531551/R03.08.01print.pdf

保健所を通じた疫学調査で対応出来ると見込んでいた様子ですが、臨時休業する学校園が想定を遙かに上回る規模となり、保健所の手に負えない事態となりました。

これはすなわち、学校におけるコロナ感染を過少に想定している恐れがあります。今日は80校以上の学校園が臨時休業しています。もっと少なくて済む、と考えていたのでしょうか。

運動会クラスターに要注意

今後の学校においてリスクが高まるのは運動会の準備です。6月の東京では運動会や練習中にクラスターが発生したと強く推測される事例が発生しました。

【コロナ・7/3更新】都内で10代の感染が急増…変異ウイルス流行、小学校で47人感染クラスターも

各校とも密を避け、一定程度の距離を保って練習等を行うでしょう。しかし時として密になってしまったり、近距離で大きな声を出してしまう事もあります。

最もリスクが低いのは運動会を中止にする事ですが、それこそ今年度の学校行事が全て中止になってしまいかねません。

また、運動会は子供達の様子を保護者・親族や近隣住民等が目にする事ができる重要な機会です。近所の保育所や幼稚園の職員も元教え子の様子を見にやってきます。

今年の運動会について、学校からは「現時点では延長して実施する予定です。が、感染状況次第では中止、見学を大幅に制限する場合もあります。」との連絡がありました。

総選挙はお祭り騒ぎ

秋の感染爆発を引き起こしかねないイベントは総選挙ですね。昨年11月に行われた大阪都構想住民投票でも、その後から感染者が急増し始めました。

選挙は国内最大級のイベントの一つです。お祭りの一種です。候補者が当選する為には、朝から晩まで精一杯活動するしかありません。

選挙活動に集中する余り、適切な感染予防策が蔑ろにされてしまう事もあるでしょう。密になって行動したり、複数人で会食する機会も増えます。

総選挙は秋の学校行事と重なる可能性が強くなっています。早めにワクチンを接種した方は抗体値が落ちる時期です。悩みの種は尽きません。

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(追記)
調査には学校も主体的に関わるそうです。

このため大阪市は、調査に必要な児童生徒への聞き取りを保健所ではなく学校が行うことにし、発症日や接触した人などを聞き取って、それを元に区の保健福祉センターが濃厚接触者の特定などを行うことにしました。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210903/2000050869.html

ただ、コロナ感染者の発生で動揺する学校が、しかも教職員にも感染者が生じる可能性が有る中、果たして適切な聞き取り等を行えるのでしょうか。