殆どの子育て家庭では、一度は「はらぺこあおむし」に触れた経験があるでしょう。我が家も自宅に絵本があり、保育所の学習発表会ではこれをモチーフとした劇を発表しました。
つい先日に作者のエリック・カールさんが亡くなったばかりです。ニュースを見て「えっ」と声が出てしまいました。
その「はらぺこあおむし」が物議を醸しています。
毎日新聞が6月5日付け朝刊の「経世済民術」に掲載した風刺漫画「はらぺこIOC 食べまくる物語」に対し、批判が殺到しています。
当該風刺漫画がこれなんだけど、確かに版元がブチ切れたくなるのもわかる。
風刺漫画のあり方について | 偕成社 | 児童書出版社 https://t.co/KA1HqWoq6Jhttps://t.co/KA1HqWoq6J pic.twitter.com/Z95LwtCl00
— ワイバーン (@wyvern_from8sq) June 9, 2021
「はらぺこあおむし」を出版した偕成社が、社長名で「風刺漫画のあり方について」と題する意見書を掲載しています。
最も強く主張したいのはこの部分でしょう。
『はらぺこあおむし』の楽しさは、あおむしのどこまでも健康的な食欲と、それに共感する子どもたち自身の「食べたい、成長したい」という欲求にあると思っています。金銭的な利権への欲望を風刺するにはまったく不適当と言わざるを得ません。
同書のあらすじは偕成社ウェブサイトに掲載されています。
『はらぺこあおむし』はどんなおはなし?
日曜日の朝、ぽん! とたまごから、ちいさなあおむしが生まれました。あおむしはおなかがぺこぺこです。
月曜日には、りんごをひとつ。火曜日には、なしをふたつ。水曜日には、すももをみっつ食べました。あおむしは毎日たくさんたくさん食べ、気づけば、おおきくふとっちょになっていました。
さなぎになり、何日もねむったあおむしは、最後はうつくしいちょうちょになります。
この風刺画はIOC(いわゆるぼったくり男爵やぼったくりファミリー)が放映権というゴリンの実を食べまくっているものです。これは「健康的な食欲」ではなく「金銭欲」です。
しかし、風刺画にはらぺこあおむしを用いてしまうと、「放映権」が「健康的な食欲(の対象)」となってしまいます。また、食べ尽くした結果、ぼったくりファミリーは美しいちょうちょになってしまいます。
これらは毎日新聞が意図する趣旨でしょうか。IOCの貪欲さを指摘したいが為に、同書を誤って解釈して利用してしまった様に感じます。
詳しい経緯等は東京新聞に掲載されています。五大紙と異なり、東京新聞は五輪スポンサーではありません。客観的な立場から、五輪に対して厳しい主張を掲載しています。
今村さんは「ことを荒立てたかったわけじゃない。『猛省を』という言葉を使ったが、抗議文ではなく意見書です。毎日新聞さんの意見もお聞きしたい」と話し合いを希望する。今後、毎日新聞の担当者と会う予定だという。
「抗議では無く意見」「表現の自由の点から異議を申し立てる筋合いではありません」というのは、老舗出版社の矜持をですね。
とのところ、様々な場で言論を封じ込めたり、全く噛み合わない主張を延々と展開する場面が目立ちます。
子供から「どうして○○さんは、あんな返事にもならない様な返事をテレビでしているの?」と訊かれたのですが、答えに窮してしまいました。
毎日新聞社はこの意見書や偕成社とのやりとり等を紙面に掲載し、社としての考え方を明示して頂けたら嬉しいですね。
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コメントするかどうか迷いましたが、
「はらぺこあおむし」が好きですし、子供も毎日寝室に持って行って一緒に寝ています。
もともと絵本には読み手によって色々な受け取りがあって良いと考えています。
作者のエリック・カールさんが意図しない読み方もあると思います。
なので日本の出版元社長が、絵本の楽しさ、読み方を意見することに少し違和感を感じます
(批判をする材料に「はらぺこあおむし」を使われたく無い気持ちは凄く良く分かります)
あおむしがお腹が痛くなって泣く場面があって、毎回食べ過ぎたからだよーとツッコみます。
健康的な食欲、共感する子供自身の欲求、満腹の末に美しい蝶に変身って説明は
センス無いなーと感じます。