決して多数ではありませんが、都市部を中心に社内保育所を整備し、社員の育児を支援・求人の確保を図っている企業・学校・病院等があります。

あってよかった 社内保育所、女性復職の助けに
2014/9/30 6:30 日本経済新聞

子育てをしながら、しっかり職場でも力を発揮したい。事業所内保育施設が、そんな女性たちの支えになっている。特に、年度途中に復帰する場合は地域の認可保育園に入るのが極めて難しいだけに、大きな助けだ。早期の復職が可能になり、女性がキャリアを築く後押しになっている。

「この施設があって本当によかった。なければ復職のめどが立たなかった」。ローソンのホームCVS事業推進部で働く佐伯奈美さん(29)は胸をなで下ろす。

(以下省略)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFE25H0J_V20C14A9NNMP00/

記事ではローソンの他、伊藤忠商事や化粧品メーカーのアルビオンが取り上げられています。
こうした施設は固定的に発生する運営費が大きく、負担余力のあって効率的な運営を図れる児童が集まる規模の企業でなければ運営は難しいと推測されます。
具体的には子育てを行っている女性従業員の絶対数が多く、財政面である程度のゆとりがある大企業です。

こうした企業で働いている方はフルタイム就業というケースが比較的多いでしょう。
認可保育所への入所審査においても高いポイントとなり、超激戦区でもない限り事業所内保育施設でなく認可保育所へ入所できるケースも多いと考えられます。
両方の施設を選べるのは羨ましい半面、勤務先が保育所を整備しているのであればそちらへ入所して認可保育所の入所枠を少しでも空けて欲しいという考えもあります。

一方で逆の発想が来春から始まります。
平成27年4月から始まる子ども・子育て新支援制度においては、事業所内保育においても地域の子どもの保育を実施する事によって公費の給付対象事業(特定地域型保育事業)とされます。
つまり、とある企業が従業員向けに運営している保育施設であっても、中には近隣住民の子どもが入所できる施設もあります。

大阪市では見つかりませんでしたが、隣の堺市HPには事業所内保育施設及び地域児童の受入可否が表形式で掲載されています。

施設名所在地・電話番号開所時間設置者名定員受け入れ児童
大阪府立大学
つばさ保育園
〒599-8531
中区学園町1番1号
電話:072-252-1161
午前8時から
午後7時
公立大学法人
大阪府立大学
10従業員の子ども
地域の就学前児童(0歳から5歳)不可
ハーモニー保育園〒599-8124
東区南野田33番地
電話:072-239-0011

午前7時30分から
午後6時30分
社会福祉法人
野田福祉会
12従業員の子ども
地域の就学前児童(0歳から5歳)
ゆららちびっこルーム〒599-8124
東区南野田454番2
電話:072-289-1100
24時間社会福祉法人
ラポール会
13従業員の子ども
地域の就学前児童(0歳から5歳)

ハーモニー保育園、ゆららちびっこルームは、定員の半数まで地域の就学前児童を受け入れています。

事業所内保育施設(堺市事業所内保育施設一覧)

地域の児童を受け入れる事により、事業所内保育の運営による企業負担が軽減されます。
ただ、顔見知りの身内である従業員の子弟のみを受け入れていた従来の雰囲気からは大きな変化が生じる恐れがあります。
制度開始当初は導入する企業は決して多く無さそうですが、徐々に広まっていくのではないでしょうか。