社会福祉法人や保育所における横領・私的流用が相次いでいます。東大阪市の社会福祉法人篤雅音会(あつがねかい)が運営するみるく保育園(岡田忠彦園長)にて、園長・副園長夫婦が数千万円を私的流用していた事が明らかになりました。
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(2/25追記)
私的流用額は約1億1000万円になると明らかになりました。
【ニュース】みるく保育園(東大阪市)の元園長・元副園長夫婦が1億円超を私的流用か
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不正経理:東大阪の保育園4600万円で懇親や高級車購入
毎日新聞 2015年11月04日 21時59分(最終更新 11月04日 22時46分)
東大阪市は4日、社会福祉法人「篤雅音(あつがね)会」が運営する「みるく保育園」(同市角田3)で、2011年度からの4年半に約4600万円の私的流用や使途不明金があったと発表した。男性園長(58)と妻の副園長(57)、会計担当の女性保育士(52)が、運営費を職員との懇親会や高級車の購入に充てていた。市は園長らを業務上横領や背任容疑で大阪府警河内署に刑事告発する。
同市指導監査室法人指導課によると、同園では、副園長が「職員との親睦」名目ですし屋や焼き肉店で開いた約160回の食事会の費用1153万円を保育園の会計から支出。園長の国産高級車(約600万円)も園で購入していた。他にも使途不明金が約2500万円あり、「修繕費」など架空の経費を計上して処理していた。
園長は市の監査に「副園長がほとんど使った」などと説明しているという。篤雅音会は4日、臨時の理事会を開き、園長と副園長を解任、保育士を懲戒解雇した。
同園には現在0〜5歳の107人が通っているが、園の老朽化が進み修繕費も残っていないことから、来年度から新規の募集を停止する。
http://mainichi.jp/select/news/20151105k0000m040121000c.html
他紙でも掲載されています。
・保育園長夫婦、4600万円私的流用か 市が告発へ(朝日新聞)
・高級車購入や飲食1100万円-社会福祉法人で約4600万の私的流用 東大阪市が園長ら3人を業横で刑事告発へ(産経新聞)
みるく保育園とは
みるく保育園は大阪府東大阪市角田3-7-27にあります。昭和41年に設立された、ごく普通の私立保育所でしょう。園児定員は90名とされていますが、弾力化措置等によって現在は107名が登園しているそうです。
横領内容
各紙によると、横領内容は下記の通りです。
・副園長のマンション家賃等へ222万円
・副園長と職員との親睦会としての食事会へ1153万円
・園長の高級車の購入費用として600万円
・他にも使途不明金として2500万円
・判明している私的流用は約4600万円
・修繕費等として架空計上して処理した
典型的な私的流用&架空計上パターンです。適当な工事名目として修繕費を計上・出金し、実際には飲食費等に宛てていたのではないでしょうか。修繕費の領収証に記載されている相手方を反面調査すればすぐに判明するでしょう。
決算書の中身は?
同保育園を運営する社会福祉法人篤雅音会の決算書が東大阪市ウェブサイトに公開されています。同法人が運営するのは同保育園のみなので、法人の決算書は保育園の決算書と読み替えられます。
決算書で真っ先に引っかかったのは給食費勘定です。2012年度では約609万円が支出されていましたが、2013年度には何と約1407万円へ倍増しています。また、2012年度決算において保育材料費が前年度より約240万円も増加し、2013年度も高水準となっています。修繕費は2011年度決算にて約1430万円、2012年度には約553万円、2013年度には約330万円が計上されています。
使途不明金とされている2500万円は、貸借対照表で仮払清算金として計上されている約2544万円と近似しています。相応する負債勘定もありません。資産の半分以上を仮払清算金が占めており、誰が見ても内訳が気になるところです。何らかの業務名目として仮払いで出金したままになっているのでしょう。不明となっている使途は住居関連費ではないでしょうか。600万円以上の未収金も引っかかります。その為か、期末の現金預金残高が100万円を切っています。
園長と副園長は夫婦
東大阪市ウェブサイトには篤雅音会の現況報告書も掲載されています。理事長(園長)と同姓の理事の氏名が掲載されています。理事長・理事を務めている園長・副園長夫婦は、11月4日に開催された理事会にて解任されたそうです。なお、園長・副園長夫婦は東大阪市内に居住しているそうです。
私的流用等の問題が発生する社会福祉法人・保育所等の多くに共通しているのは、理事や園長等の幹部職員の多くを身内が占めている点です。法人や保育所の財布と自分の財布を同一視してしまい、相互牽制や監査も十分に機能しなくなるのでしょう。
保育所職員や園児を放り投げて大けがを負わせた京都市の事件では、理事長・園長・放り投げた職員等が親族関係にあり、保育園を事実上私物化していまいした。
来年度から園児の新規募集を停止
本件で特に重要なのは「来年度から新規の募集を停止する」という部分です。東大阪市での平成28年度一斉募集の受付は10月30日で終了しています(但し新生児は平成28年2月18日まで)。仮に来年度が平成28年度を示すのであれば、同保育所を希望保育所として入所を申し込んだ方に与える影響は極めて甚大でしょう。
新規入所希望者に留まらず、既に在園している園児からの転所希望者も発生するでしょう。周辺にある中新開さつきこども園・くすのき保育園・本庄保育園・愛保育園等が候補となるでしょう。周辺他保育所へ入所を検討していた方にも間接的な影響が及びます。
可哀想なのは園児達です。園児の充実した保育に充てられる筈だった資金が、園長や副園長の贅沢な生活に使われていました。多くの保育所で求められている耐震補強工事も行われていなかったのでしょう。また、日々の給食が貧弱に、おもちゃや絵本等が思う様に購入できなかった可能性もあります。
東大阪市は府内で保育所入所が最も困難
実は東大阪市は大阪府内で最も保育所へ入所しにくい自治体です。
大阪府内の自治体・年齢別の待機児童率(平成26年10月1日)によると、東大阪市の待機率(待機児童/入所希望者)は8.4%と府内ワーストです。特に0歳児は42.4%、1歳児は23.2%と極めて高くなっています。分子は待機児童なので、実際に入所できていない児童は更に多いと考えられます。保育所の少なさと放漫経営、全くの無関係ではないでしょう。
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(追記)
今晩(5日夜)、保護者向けの臨時説明会が行われるそうです。
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(11/9追記)
続報を掲載しました。
【ニュース】みるく保育園(東大阪市)の副園長、補助金でホストクラブ豪遊か
園児の為の補助金は、寿司や焼肉・セカンドハウスの家賃・高級車・ブランド品に化けました。