以前にみるく保育園(東大阪市・社会福祉法人篤雅音会)にて、園長・副園長夫婦が数千万円を私的流用していた件をお伝えしました。
【ニュース】みるく保育園(東大阪市)の園長・副園長夫婦が数千万円を私的流用か
【ニュース】みるく保育園(東大阪市)の副園長、補助金でホスト遊びか
東大阪市の調査により、流用金額や具体的な内容が明らかになりました。私的流用が疑われる金額は約1億1000万円という巨額です。
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(4/28追記)
4月26日付で東大阪市が刑事告発しました。時間が掛かりました。
東大阪市の社会福祉法人「篤雅音(あつがね)会」が運営する「みるく保育園」(同市角田3)で不適切な会計処理があった問題で、市は27日、元園長(58)と妻の元副園長(57)を業務上横領容疑で大阪府警河内署に刑事告発したと発表した。告発は26日付。
市によると、不適切な会計処理は2006〜15年の間、架空の職員給与(4039万円)や修繕実績のない園舎の修繕費(1939万円)など計1億1125万円に上る。
野田義和市長は「誠に遺憾。保育が適切になされていたかも疑問だ。きっちり指導、監査していく」と話した。
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東大阪市の認可保育所で、元園長とその妻が実際には働いていない職員の給与や不適切な飲食費などの会計処理を繰り返し、1億円以上の運営費を私的流用した疑いがあることがわかりました。
東大阪市によりますと、社会福祉法人「篤雅音会」が運営する「みるく保育園」の元男性園長と妻の元副園長は、2006年度からの10年間で約1億1千万円を私的に流用していた疑いがあるということです。
会計処理の中で、実際には働いていない職員の給料として4000万円、実態がない修繕費の名目で2000万円、焼肉などの飲食費に1200万円が充てられるなどしていて、不正発覚の後、保護者は不満を募らせていました。
「園の中の修繕も全くやし。(Q.保育園の中は?)ぼろぼろです」(保護者・去年11月)
東大阪市の調査に対し、2人は私的流用を認めたということで、市は業務上横領などの疑いで刑事告発する方針です。
http://www.mbs.jp/news/kansai/20160224/00000063.shtml (リンク先に動画あり)
上記リンク先の動画にて「社会福祉法人篤雅音会みるく保育園の不正・不適切会計について」という資料が放映されていました。各項目や金額を拾い出しました。
項目 | 金額 |
使途不明金 | 1478万円 |
架空の職員給与(7人分) | 4040万円 |
不正な修繕費 | 1940万円 |
不適切な飲食費 | 1193万円 |
前副園長の居住用不動産賃料 | 222万円 |
前副園長個人名義の生命保険(保険金額1億円)に掛かる使途不明の貸付金 | 607万円 |
架空のスポーツ指導料 | 124万円 |
一時保育に係る使途不明の徴収金 | 268万円 |
前副園長の自家用車に係る任意保険料・前園長のゴルファー保険料 | 186万円 |
前副園長個人名義の生保契約の解約による損金 | 262万円 |
私的使用した法人所有の軽自動車に係る自動車保険の保険料 | 726万円 |
不正・不適切な会計処理の結果生じた税・社会保険料の延滞金等の支出 | 645万円 |
給与規程に基づかない前副園長に対する特殊業務手当 | 89万円 |
その他(過大給料、法人所有の自動車の私的利用やガソリン代・修理費等の支出、私的な携帯電話の利用、規程に基づかない慶弔費支出、私的なタクシー利用、購入品目の不明な領収書を用いた会計処理 | |
合計 | 1億1126万円 |
保育園の運営の為に自治体から交付された補助金等が、巨額の規模・項目で私的流用されています。保育園の運営費と個人の財布を混同するに留まらず、保育園や園児の為に必要な支出を行わずに自らの贅沢三昧の為に利用していました。
初めは給与面の流用(架空の職員給与の計上・規程外の特殊手当の支給)から始まった様子です。次に私的な飲食費・車輌費・保険費のつけ回しが行われ、不動産関係費用(居住用マンション賃料・不正な修繕費支出)へと拡大していったと考えられます。
最大の被害者は園児とその保護者
不正流用額は1年あたりで1100万となります。約100名強の園児が所属しているので、園児1人あたり年間10万円ものお金が元園長・元副園長の私腹へと消えてしまいました。
最大の被害者は園児とその保護者でしょう。ぼろぼろの園舎等、十分な保育が行われていなかったと疑われる証言は多数行われています。保育士の入れ替わりも激しかったのではないでしょうか。
実はこれらはよくある不正の手口です。適切に監査を行っていれば、即座に判明したと推測されます。園の内部監査や自治体等による外部監査が形骸化していたのではないかと疑われます。これらも検証されるべきでしょう。
なお、報道では「元園長」「元副園長」とされています。しかし、最新の法人登記簿では未だに元園長が理事として登記されています。依然として理事(理事長)として残っているのか、登記懈怠かは不明です。
少し気になるのは東大阪市の対応です。同市役所ウェブサイトにはみるく保育園の私的流用に関する情報は何ら掲載されていません。議会議事録で検索しても出てきません(録画放映までは見ていません)。
また、元園長が所有している不動産に対して、東大阪市は少なくとも3回に渡って差押えを実行・解除しています。保育園に対する多くの苦情等も市に寄せられていたはずです。市が不正流用に関する何らかの兆候を掴んでいた、掴めていた可能性はないのでしょうか。
東大阪市が刑事告発することに関して疑問があります。
平成24年から監査の指摘をしていたが、金額が多額なのに同じ指摘を繰り返すだけで
何も処置しなかった。
東大阪市は被害者ではなく、加害者ではないのか。
これは、故意的にしている可能性も否定できない。
東大阪市の福祉部長と子供すこやか部長が説明会で説明しているが、
ほとんど納得できる内容ではない。
東大阪市に責任を取らせることはできないのだろうか。
コメントありがとうございます。
報道されている限りにおいて、東大阪市に大きな過失があったのは否めないという感想を持っています。
責任問題への発展とその内容については見通しがもてません。
自治体・保護者・保育園という三者が関係するので、やや難しい部分があります。