産休や育休がより使いやすくなりそうです。
厚生労働省が育児・介護休業法の改正案をまとめました。主な内容は「雇用期間が1年未満でも育休取得」「男性産休の分割取得」です。2022年度からの実施が検討されています。
1年未満の非正規、育休可能に 「男性産休」は分割OK
(中略)
「男性産休」は、子どもが生後8週までの間に、最大4週間取得できる。分割も可能で、たとえば出産時と退院後などに分けて取得できる。働き手が望めば、休業中に一定の仕事をすることもできる柔軟な制度設計とした。取得を促すために、通常の育休よりも休業中の給付金の額を引き上げるかも論点になったが、見送られた。女性を含めた通常の育休制度も見直す。いまは契約社員やパートタイマーなど有期契約の働き手の場合、育休を取るためには、1年以上継続して働いている必要がある。この条件をなくし、働いて1年未満の非正規雇用の働き手でも育休を取れるようにする。また、共働きの夫婦が交互に育休を取るニーズなどに対応するため、2回まで分割して取れるようにする。(以下省略)
これらの改正内容は労働政策審議会雇用環境・均等分科会で話し合われました。
現行法で育児休業が取得できるのは「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者」とされています。
(育児休業の申出)
第五条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
二 その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
1年未満の有期雇用では「雇用された期間が一年以上」とみなされないのでしょう。
正規雇用だと給付金を受給しながら育児を行って復職できます。1年未満の有期雇用との格差が歴然としています。
実は保育所では育休を取得したかという話は話題に出てきません。育休取得の可否による差が非常に大きく、一種のタブー視されている様に感じています。
有期雇用であるが故に様々な社会保障制度の対象から外れてしまうのは、「職業生活と家庭生活との両立」という制度の目的に反してしまいます。
男性の育児休業取得促進策等について
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000705286.pdf
「男性産休」は同会議の資料に詳しく掲載されています。対象期間は男性育休の主な取得期間に、取得可能日数は年次有給休暇の年間最長付与日数に合わせたそうです。
○ 対象期間、取得可能日数等
・対象期間については、現在育児休業をしている男性の半数近くが子の出生後8週以内に取得していること、出産した女性労働者の産後休業が産後8週であることを踏まえ、子の出生後8週としてはどうか。
・取得可能日数については、年次有給休暇が年間最長20労働日であること等を参考に、4週間としてはどうか。
※ 各企業の既存の育児目的のための休暇(法定の休暇を除く。)が、新制度の取得日数以外の要件を満たすものであれば、当該休暇の日数も含めて4週間の取得が確保されればよい。
また、分割取得や休業中の就労も提唱されました。仕事への便宜を図り、男性産休をより取得しやすくなる為の制度ですね。
(分割)
・分割して2回取得可能としてはどうか。(休業中の就労)
・出生後8週間以内は、女性の産後休業期間中であり、労働者本人以外にも育児をすることができる者が存在する場合もあるため、現行の育児休業では認められていない、あらかじめ予定した就労を認めることとしてはどうか。
1年未満の有期雇用者による育休取得や男性産休制度は良い制度ですが、「制度があるけど使えない」となったら困ります。
「育休取得を申し出たら契約終了を言い渡された」「男性産休を申し出たら渋い顔をされた」「産休後に復職したら、単身赴任を前提とした異動を指示された」という嫌がらせが目に浮かびます。
希望する誰もが気兼ねなく利用出来る制度が必要ですね。