全国初のコロナ専門病院となった大阪市立十三市民病院が追い詰められています。専門病院化で医師・看護師・患者が離れ、病院運営の危機を迎えています。

大阪市コロナ専門病院「もたない」 看護師14人が退職

新型コロナウイルス感染者の急増で、大阪市内の医療体制が逼迫(ひっぱく)している。全国初のコロナ専門病院となった大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(同市淀川区)では、医師や看護師の相次ぐ退職でコロナ患者を計画通り受け入れられず、他の市立病院などから医師や看護師の応援派遣を受けて急場をしのぐことになった。ただ人手不足は常態化し、現場からは「さらに職員が減ればもたない」とコロナ専門病院の返上を求める声も上がる。

 十三市民病院は元々、18の診療科を持つ総合病院だった。緊急事態宣言下の4月14日、松井一郎市長が十三市民病院をコロナ専門病院にすると表明。当時は、重症者の治療に必要な体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))がある医療機関で中等症患者も抱え、重症者の受け入れを難しくしていた。中等症専門となった十三市民病院は、「医療崩壊させないためのとりで」(松井市長)と位置づけられた。

 だが、コロナ専門病院化は痛みを伴った。4月16日から外来診療や救急診療、手術を順次休止させ、約200人いた入院患者全員を転退院させた。元々あった結核病棟で20人近くのコロナ患者を受け入れていたが、他のフロアで感染防止の仕切りや床の張り替えなどの工事を進め、5月から90床での受け入れを始めた。

 だが、コロナ患者が一時的に減った6月ごろから、医師や看護師らが次々と辞めていった。10月までに医師4人、看護師14人を含む25人ほどの病院職員が病院を離れた。職員全体の7%を占めた。背景には本来の専門分野の患者を診られなくなったことへの戸惑いなどがあり、分娩(ぶんべん)に立ち会えなくなった産科の看護師も辞めた。

 病院では、離職を防ごうと、7月から産科以外の外来を再開したが、利用者はコロナ禍前の半分程度にとどまる。新型コロナ以外の入院患者も以前の2割に満たず、退職者が続いた。

 また、コロナに感染した入院患者の約半数は80代で、食事や排泄(はいせつ)の介助が必要な人が多く、看護師不足に拍車をかけた。他の医療機関からの医師や看護師の応援もなく、11月に入って感染者が増加しても、コロナ患者の受け入れは60人程度が限界だった。

 病院を運営する地方独立行政法人大阪市民病院機構や市などは11月26日、市立総合医療センターなどから、看護師や医師を十三市民病院に派遣することを決めた。計画通り90人の受け入れを可能にするためだが、この影響で、同センターのがんなどを患うAYA(思春期と若年成人)世代の専用病棟が一時閉鎖されることになった。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/ASND233XJND1PPTB004.html

 「まさかうちがと、びっくりした」。西口幸雄院長は、松井市長が4月14日に専門病院化を表明した当時のことを振り返る。

 病院を運営する地方独立行政法人大阪市民病院機構や大阪大の幹部、松井市長らが出席したコロナ関係の会合で「大阪市で感染者が多い」「民間では難しい」との理由で、十三市民病院をコロナ専門病院にする案が浮上。松井市長が賛同したという。その直後、機構の幹部から西口院長に「新型コロナの専門病院になることを承認した」と電話で告げられたという。

 方針決定の2日後には、外来診療や手術をストップ。約200人いた入院患者の転院先の確保を急いだ。医師や看護師らは、市立大から派遣された感染症の専門医から感染防止対策に関する指導を受けた。防護服の着脱の仕方は毎週のように訓練を重ねた。
 特に、出産予定の280人の受け入れ先探しには苦労したという。患者やその家族から「なんで松井市長の言うこと聞かなあかんの」などと不満をぶつけられた。慣れない病院で出産することへの不安があったと推し量る。

 ある医師は、自宅マンションの住民から「エレベーターに乗るな」と言われた。自身の専門分野での診療や手術ができず、今後のキャリアへの不安から職を辞する医師が相次いだ。それでも、これまでに520人を超える新型コロナ患者を受け入れた。

 同病院は、がん治療や分娩など地域医療の拠点としての役割があった。7月に産科以外の外来を再開したが、本来の役割を果たせないことに、「住民に迷惑をかけている」との思いを抱える職員もいるという。

 コロナ専門病院になったことに、西口院長は「どこかがやらないといけない状況だった」と理解しつつも、「総合病院をそっくりそのまま専門病院にするのは非常にコストがかかり、職員をそろえることも難しい」と指摘。感染症対策を整えた専用施設を新設する方が現実的だとみる。

 府は11月末、大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)の敷地内に「大阪コロナ重症センター」を新設。30床の運用を目指す。西口院長は市幹部に中等症用施設も新設すべきだと提案したが、府や市にこうした計画はないという。

 十三市民病院には、他の市立の医療機関の看護師らが応援派遣される予定だ。だが、職員の精神的なストレスは限界に近づいており、さらに辞めてしまうことへの懸念は消えないという。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/ASND23449ND1PPTB009.html

大阪市立十三市民病院は、主に大阪市(淀川以北の3区)を診療圏とした総合病院です。

梅田から阪急神戸線で移動する最中、十三を過ぎて神崎川・神崎川駅の手前右手に病院が見えてきます。

現在、同病院は8階病棟(結核病床)と7階病棟(計60床)を新型コロナウイルス専門病床として利用しているそうです。

入院患者は高水準を保っています。11月16日の入院患者数は50人、11月30日は38人だそうです。

大阪市淀川区の十三市民病院では、中等症患者のための病床を90床確保していますが、11月16日時点で入院患者は過去最多の50人となっています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9db8cc3b39a476b1189377cd97fb09f4192c2024?page=2

大阪市立十三市民病院では60床を運用しているがきょうの時点で38床が埋まっている。

https://datazoo.jp/tv/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%819/1421328

実は5-6階病棟も専門病床として利用する予定でしたが、第2波以降の患者数の減少や看護師の不足によって使用されていません。


http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/37375/00365119/11shiryo3-1.pdf

今週月曜以降、関西ローカルのニュース番組では何度も十三市民病院が取り上げられました。いずれの番組にも共通していたのは「看護師の離職」です。

コロナ患者を専門に治療する十三市民病院で、4月以降、医師や看護師など、約30人がやめてしまったというのです。
https://www.ktv.jp/news/articles/fc2ce47d_baa0_4ee9_80d9_44cb3004c0aa.html

大阪市立総合医療センターの一部病棟を閉鎖して看護師を十三市民病院へ異動させるのは、看護師不足を補って6階病棟をオープンさせる為です。

 しかし、最近の新型コロナ感染者の急増で医療体制が逼迫(ひっぱく)。重症者を診る同センターや中等症対応のコロナ専門病院の市立十三(じゅうそう)市民病院(大阪市淀川区)で、新型コロナ病床を拡大することになったが看護師が足りないため、同センターを運営する大阪市民病院機構では26日、AYA世代専用病棟を一時閉鎖し、その看護師をあてることにしたという。

https://digital.asahi.com/articles/ASNCZ7K5GNCZPTIL01K.html

毎日阪急神戸線を利用して通勤している知人は、「先週あたりから十三市民病院へ通勤する人間の数が急増した」「病院の裏入口に(検査用の)仮設テントが設置されている」「夜でも明かりが点いている部屋が増えた」「救急車を見かける頻度が増えた」と話していました。

大阪の医療現場は本当に逼迫しています。特に半年以上もコロナ対応に奔走している医療従事者の疲労感は限界を迎えようとしています。

経済も大切ですが、より重要なのは医療です。一納税者としては旅行や外食で遊びに行く人へ税金で補助するのではなく、医療現場へ十分な資金を投じて欲しいです。

実質的にGoToによる補助を受けられず、精神や肉体を極限まで疲労させ、でも賞与がカットされるとは言葉がありません。

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