結婚新生活支援事業(内閣府より)
内閣府が「結婚新生活支援事業」の拡充を打ち出しています。歓迎されそうですが、強い批判の声が湧き起こっています。
内閣府は20日、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針を固めた。現行額から倍増し、対象年齢や年収条件を緩和する。経済的理由で結婚を諦めることがないよう後押しする狙い。
対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦。現行は(1)婚姻日の年齢が夫婦とも34歳以下(2)世帯年収が約480万円未満―などの条件に当てはまれば、30万円を上限に補助を受けることができる。
年齢の条件を39歳以下に緩和し、世帯年収も約540万円未満に拡大する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/36de52f8cfa25b14a8b61f53a43cd66850e39d0e
最たる物は「この制度を利用できるのは一部自治体に限られる」という点でしょう。「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に在住しているのが要件です。
地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業) 交付決定状況
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/hojokin/h30/pdf/chirashi.pdf
内閣府が行っている事業なので全国民が利用出来ると思いきや、それは大間違いです。
大阪府では枚方市・泉佐野市・寝屋川市・和泉市・藤井寺市・岬町・太子町だけです。大阪市等の殆どの自治体では、この制度を利用出来ません。
少子化対策になる?
更に疑問なのは、本事業は果たして少子化対策に資するのでしょうか。
さんざん言われている事ですが、少子化が進展した最大の理由は「若年世代の経済難」です。不安定な雇用と低収入で結婚できず、、高すぎる教育費や生活費によって子供の数が抑制されます。
また、大阪等の都市部特有の事情として「不動産価格が高すぎて、理想的な子供の数に見合った広さの住居に居住するのが難しい」という点も指摘できます。
確かに60万円が支給されれば、新婚生活をスタートさせるのが楽になります。私なら引っ越し代や電化製品(特に冷蔵庫や洗濯機)の購入費に充てたでしょう。
しかし、結婚や交際に辿り着くのが難しい人にはアプローチできません。
また、20年前後を要する子育て期間に対して1回のみの支給では不均衡です。長い期間を要する子育てに対しては、その期間に見合う支給額・支給期間が必要です。児童手当では足りません。
子育てには本当にお金(と時間)が掛かります。幼児教育・保育の無償化や大阪市学校給食費の無償化等により、子供が小さい時期の経済的負担は幾分軽減されました。
しかし、中学校・高等学校等へと進学するにつれ、莫大な教育費が掛かってしまいます。粗い試算でも目がくらむ様な金額となってしまいました。
高等学校までは何とかしたとしても、大学での生活費や学費(特に一人暮らしや私立理系)はメドが立ちません。奨学金は借りさせたくないです(実は私自身がまだ返済中です)。
大学の学費は本当に上がりましたね。その反面、現役世代の収入は上がるどころか下がる始末です。高等教育費の負担感が顕著に上昇しています。
ただ、本制度には結婚を検討しているカップルの背中を少しだけ後押しする効果はあるでしょう。
内閣府が大手を振って宣伝する制度であれば、全ての自治体で利用出来る様にして欲しいですね。