教員の長時間労働や過労死が問題になっています。根底には過大な業務量・残業手当の不支給(代わりに4パーセントの手当が上乗せ)があると指摘されています。

先の臨時国会では、変形労働時間制の導入を可能とする教職員給与特別措置法(給特法)改正案が可決・成立しました。

しかし、過大な業務量の削減が行われない限り、学校の先生は疲弊し、優秀な人材が教員以外の道を選択し、結果的に子供の不利益へ繋がってしまいます。

大阪市も同様です。教員の平均的な残業時間は30~40時間/月に達しています。

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中でも約1割の教員は毎月の残業時間が60時間を越え、更に副校長・教頭は63時間に達しています(学校園における働き方改革推進プランより)。

そこで大阪市は「学校園における働き方改革」を進め、教員の労働時間・残業時間を削減しようとしています。

学校園における働き方改革

 全国的に教員の勤務が長時間になっており、本市においても同様の状況であり、その解消に向けて取り組んでいますが、依然として長時間勤務の状況にあります。

 学校園での教育活動が円滑に推進されるためには、まず教員が健康で元気でなければなりません。長時間の勤務で教員が疲弊していくのであれば、それは「子どものため」にはならず、学校園における働き方改革は非常に重要な取組であると考えています。 

 このような状況を踏まえ、大阪市教育委員会においては勤務時間の上限に関する基準や達成目標、目標達成に向けた取組を示すため、「学校園における働き方改革推進プラン」を、令和元年12月10日に策定しました。今後、速やかにできることから取組を進めて参ります。

現在、学校園は、様々な教育課題への対応が求められており、学校園現場を取り巻く環境は複雑化・困難化するとともに、学校園に求められる役割は拡大・多様化しています。

 このような状況の中、全国的に教員の勤務が長時間となっていることが大きな問題となっており、本市もまた同様の状況にあります。

  国においても学校における働き方改革に関する検討や取組が進められており、中央教育審議会から学校における働き方改革に関する方策をまとめた答申(以下「中教審答申」という。)が発出され、文部科学省からは「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」(以下「文科省ガイドライン」という。)が発出されたところです。

 本市においては、教員の勤務時間の短縮を図ることを目的として、平成30年度に調査研究業務委託を実施しました。このたび、中教審答申や調査研究業務委託で示された長時間勤務の要因とその解消に向けた取組の方向性も踏まえ、文科省ガイドラインを踏まえた勤務時間の上限に関する方針及びその達成目標並びに目標達成に向けた取組を示すため、本プランを策定しました。

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000488857.html

■学校園における働き方改革にご理解・ご協力をお願いします

◆教員の勤務が長時間となっていることが全国的に大きな問題となっている。本市もまた同様であり、その解消に向けて取り組んできたが、今なお長時間勤務の状況にある。

◆教員の勤務時間は通常、午前8時30分から午後5時までとなっているが、本市において、教員の時間外勤務時間は、平成30年度の平均で年間約439時間(月平均約37時間)となっており、年間360時間(月平均30時間)を超えている教員が約57%、年間720時間(月平均60時間)を超えている教員が約15%もいる。

◆学校園での教育活動が円滑に推進されるためには、まず教員が健康で元気でなければならない。長時間の勤務で教員が疲弊していくのであれば、それは「子どものため」にはならず、学校園における働き方改革の推進は非常に重要な取組であると考えている。

◆このような状況を踏まえ、教育委員会においては勤務時間の上限に関する基準や達成目標、目標達成に向けた取組を示すため、「学校園における働き方改革推進プラン」を、令和元年12月10日に策定した。今後、速やかにできることから取組を進めていく。

◆教員を支援するスクールサポートスタッフなどの専門スタッフの拡充や、複数の学校事務を集中処理する「共同学校事務室」の導入などによる事務負担の軽減、部活動指導員の拡充などを検討していく。

◆また、教員が地域行事に参加する際の時間や人数の見直し、家庭訪問の希望制の導入や、学校行事の日数や時間の見直しなど、各学校園の状況に応じて様々な取組を実施する。

◆教員の長時間勤務を解消することで、教員が子どもたちの前で生き生きと働くことができ、子どもたち一人ひとりに寄り添うための時間を確保することができるよう、教育委員会において、今後も随時プランを更新していく予定である。ついては、保護者・地域のみなさまにも、教員の長時間勤務の実態や学校園における働き方改革にご理解・ご協力をお願いしたい。

https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000466985.html

具体的な数字や行動計画等は、学校園における働き方改革推進プランに記載されています。

学校園における働き方改革推進プラン
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000488/488823/hatarakikatasuisinplan.pdf

学校行事等の見直し・地域行事への参加

子育て世帯に直結するのは、「学校行事等の見直し」と「地域行事への参加」でしょう。

イ 学校行事等の見直し

学校園において独自に取り組んでいただいている学校行事等の見直しの事例として、次のようなものが挙げられます。これらの事例も含め、各学校園の実情に応じて積極的に学校行事等の見直しを行っていただくことを通じて、教員の負担軽減に努めてください。

・運動会の開催について、熱中症対策のため半日開催としたが、運動会の準備に要する時間の削減となった。
・家庭訪問について、1年生を除き、保護者の希望制とすることや、終了時刻を原則として午後5時までとすることなどとした。
・保護者との懇談の時間を従前より短くした。
・通知票の所見欄への記載を3学期のみとし、1学期及び2学期については保護者との懇談の際に子どもの様子等を伝えることとした。
・夏休みのプール開放や、2学期以降のプール授業を行わないこととした。
・小学校において、林間学校を2泊3日から1泊2日とした。
・中学校において、1学期の中間テストを行わないこととした。

(3)地域行事への参加

最終報告書において、教員の地域行事への参加について一部の小中学校に調査を行ったところ、平日夜間・休日の地域行事への参加が1校当たり、1年間で延べ約500時間となっていることが示されています。

つきましては、各校園長のマネジメントのもと、各学校園の実情を踏まえた上で、保護者・地域のみなさまのご理解を得ながら、例えば、参加する地域行事の精選や参加する場合であっても参加時間を短くする、参加する教員を最小限にするなど、地域行事への参加に係る教員の負担軽減に努めてください。

なお、本プランの公表とあわせて、教育委員会として保護者・地域のみなさまへ教員の地域行事への参加に係る学校園における取組にご理解・ご協力いただきたい旨、発信しますので、各校園長からも、発信を行い、保護者・地域のみなさまの理解・促進に努めてください。

また、この取組につきましては、各区長を通じて地域のみなさまへご理解・ご協力を呼び掛けていただくよう、教育委員会事務局から各区長あて、依頼しておりますので、各区・各学校園の状況に応じ、区と連携してご対応くださいますよう、よろしくお願いいたします。

各学校園によって、どの様な対策を行うかに違いがあるでしょう。

ただ、あくまで推測となりますが、まずは学校のみの判断で変更できる授業や学内行事等を縮小再編するのが先行されるのではないでしょうか。

その際には、何らかの形で保護者の意見等を吸い上げて欲しいですね。学校は重要だと感じていても、保護者としては非重要・不要と感じている物は少なくないでしょう。

地域行事への参加を削減するには、町会・連合振興町会等との調整が必要となり、相手方の反応によっては難航する学校もあるでしょう。学校のみの判断で参加を見合わせるのは、両者の関係を踏まえると非現実的でしょう。

とは言え、例えば懇談会や家庭訪問の時間といった保護者と直接接する時間を減らす一方、地域の盆踊り等には従前通りに参加するのであれば、一保護者としては「何かおかしいなあ」と感じざるを得ません。

身体と心を痛める長時間労働

長時間労働は身体や心を痛めます。私自身も以前は毎月100時間を優に超えるブラック労働を強いられ、身体と心を壊してしまいました。今でも電話が苦手です。

当時は「これぐらい働いて当たり前」と感じていましたが、今となっては「何の益も無い労働だった」と後悔しています。

また、教員の働き方改革の趣旨は、是非公立・私立保育所でも取り入れてもらいたいですね。業務の効率化と不要な業務を削減できれば、保育士の待遇改善にも繋がるでしょう。