2020年度保育所等一斉入所申込状況分析、第1回は大阪市各区(北区~浪速区)の数字をざっと見ていきます。

市全体や各区毎のざっくりとした状況、具体的には入所しづらい区・年齢や前年からの変化を見ていきます。

※10月25日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。


昨年と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。

大阪市全体は申込増・募集減、2-3歳児倍率が急上昇、1歳児は高止まり

2020年度一斉入所への申込数は前年より539人も増え、15,931人となりました。前年比約3%増、過去最高の人数です。今年は減少するかもと見ていましたが、予想は完全に外れてしまいました。

特に大きく増えたのは、0歳児(183人増)、1歳児(117人増)、そして3歳児(172人増)です。申込率が急上昇しているのでは無いか、と感じています。

一方、募集数は前年より833人も減少し、15,110人に留まりました。保育所等の新設ペースがやや低下したのが大きな理由の一つでしょう。

募集数が大きく減少したのは、2歳児(154人減)と3歳児(172人減)です。

結果、2-3歳児の申込倍率が急上昇しています。2歳児は1.21倍から1.35倍へ、3歳児は1.04倍から1.26倍になりました。

昨年と比べ、2020年度の一斉入所は「2-3歳児の入所が急激に難しくなりそうだ」という見通しです。

1歳児入所倍率も1.39倍と高止まりしています。1歳児入所も決して容易ではありません。

幼保無償化が影響か、0-1歳児・3歳児申込が急増

実は大阪市内の未就学児人口は横ばいないし減少基調を辿っています。平成30年度と平成31年度一斉入所において、申込数はほぼ同じ数字でした。

しかしながら、今年は申込数が大きく増加しました。昨年と今年で大きく異なっているのは、「幼児教育・保育の無償化」です。

大阪市は数年前から「幼児教育無償化」を導入し、直近では3-5歳児の教育費相当分(幼稚園は保育料全額、保育所等は保育料の半額強)が無償化されていました。

そして、今年10月からは幼保無償化が導入されました。これにより、大阪市でも3-5歳児及び低所得世帯の0-2歳児の保育所保育料が無償化されました。

従来、殆ど全ての4-5歳児は幼稚園や保育所等に登園していました。幼保無償化が新たな需要を掘り起こす事はなかったでしょう。

その反面、0-3歳児は新たな需要を掘り起こした構図が見受けられます。

とりわけ保育所利用率が低かった0-1歳児、そして全世帯が無償化される3歳児が顕著です。

ただ、0-1歳児無償化の対象となる低所得世帯は、就労時間等に基づいて算出される入所調整点数は決して高くないでしょう。

市内中心部を中心に入所できない0-1歳児・3歳児が相次ぎ、「無償化は絵に描いた餅だ」との声が相次ぎそうです。

北区は最難区、1歳児1.86倍・2歳児2.47倍・3歳児2.85倍

北区は昨年より更に入所しづらくなっています。北区全体の入所倍率が1.19倍→1.50倍(市内ワースト)へ上昇しています(但し、4-5歳児募集数が急減した要因が大きい)。

0-3歳児募集数は昨年と同程度です。北区は新設保育所等の予定がなく、募集数が増加する要因がありません(反対に減少しかねなかった)。

その反面、0-3歳児申込数は著しく増加しました。特に0歳児は24人増、1歳児は40人増、そして3歳児は15人も増えました。

結果、1歳児入所倍率は1.86倍、2歳児は2.47倍、3歳児は2.85倍に達しました。2-3歳児は半数以上が入所できない見通しです。

1-3歳児は市内ワーストの倍率です。昨年の危機的な倍率から更に上昇しました。

都島区も1-3歳児申込数が増加

都島区は1-3歳児申込数が増加し、倍率も上昇しました。

1歳児が1.30倍→1.43倍、2歳児が1.18倍→1.36倍、3歳児が1.15倍→1.22倍です。保育所等が新設されなかった地域は要注意ですね。

福島区は3歳児倍率が2倍超

福島区で心配なのは3歳児です。

申込数が96人から111人へ増加した反面、募集数は81人から55人へと急減しました。2箇所の新設保育所の開所が5月以降に延期され、一斉入所の募集数に反映されなかった為でしょう。

結果、3歳児の入所倍率は1.19倍から2.02倍へと倍増しました。厳しい数字です。

ただ、恐らくは2-4月頃に掛けて、開所が延期された保育所の入所募集が行われるでしょう。一斉入所は厳しくても、その後もチャンスがあります。

此花区は1歳児倍率が急上昇

此花区は1歳児が厳しい状況です。

申込数は昨年と同水準ですが、募集数が131人から100人へと急減しました。現時点で思い当たり理由はありません(追加調査します)。

中央区は1歳児1.68倍・3歳児2.54倍

中央区は以前から0歳児入所が容易な反面、それ以外の入所が非常に難しい状態が続いていました。

今年は改善されるどころか、より格差が酷くなりました。

0歳児倍率が0.77倍に留まったのに対し、1歳児は1.68倍、そして3歳児は2.54倍です。

1歳児は申込数が69人も増えたのが理由です。また、3歳児は申込数増・募集数減が重なりました。

西区は1歳児1.58倍・3歳児2.06倍

中央区ほどではありませんが、西区も入所しづらい状態です。

1歳児は申込が増え、倍率が1.40倍→1.58倍となりました。3歳児は申込数増・募集数減が重なっています。

西区の3歳児で懸念されるのが、来年4月以降に居場所がどこにもない児童が生じかねない事態です。

実は西区は幼稚園が非常に少ない地域です。「保育所に入れなくても、幼稚園があるから大丈夫」とはなりません。

港区は0-1歳児が心配

他区と少し異なる傾向なのが港区です。

実は0歳児入所倍率が最も高いのは港区でした。申込数は昨年と同水準ですが、募集素が15人も減少しました(理由は各区毎のページで取り上げたいです)。

強く懸念されるのは1歳児です。入所倍率は1.69倍に達しました。これは北区にも匹敵する、極めて入所しづらい水準です。

同区の1歳児募集数は恒常的に不足していました。慢性的に保育施設が不足しています。

その反面、未就学児人口が顕著に減少している地域であり、保育施設の新設に踏み切りにくい事情もあるのではないでしょうか。

大正区でも「3歳児の壁」

3歳児入所が急激に難しくなっているのは、大正区も例外ではありません。

3歳児入所倍率は0.52倍から1.03倍へと倍増しました。驚くべき変化です。申込数が24人増加、そして募集数が26人減少した為です。

昨年までの様に「3歳児は近所の保育所へ簡単に入れる」という状況ではありません。

天王寺区は1歳児1.57倍・2歳児2.33倍・3歳児2.32倍

天王寺区は平成30年度から31年度に掛けて大幅に入所しやすくなりましたが、今年はその反動が生じています。

同区では保育所の新設予定が無く、大半の年齢で募集数はやや減少しました。

一方、申込数は大幅に増えました。特に0歳児は35人・1歳児は24人・3歳児は14人も増加しました。ファミリー層の流入と幼保無償化が影響しているのでしょう。

これにより、1-3歳児は極めて高い倍率となりました。

また、以前から天王寺区は入所者の平均点数が著しく高い地域でした。フルタイム共働きでも入所できない児童が続出した区です。倍率以上に点数にご注意下さい。

浪速区は3歳児1.86倍

他区と同様、浪速区でも3歳児の動きが突出しています。

申込数は8人増、募集数は18人減、倍率は0.98倍→1.86倍へ急騰しました。

浪速区でも保育所の新設予定がありません。既設の保育所では3歳児保育需要に応じきれない構図です。

今後の予定&お願い

次回は後半部分(西淀川区~西成区)をお届けします。

今年も各区毎の申込状況等を分析し、何らかの情報を掲載していきます。今年の内容は2020申込分析、昨年の内容はH31申込分析からご覧下さい。

「○○区の情報を詳しく知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。

多少のお時間を頂く場合がありますが、ご了承下さい(特にメールへのお返事には長い時間を頂いています)

同時に、皆様に運営支援へのご協力をお願いしています。

ウェブサイト上にamazonリンク・サーチボックス等を掲載しています。ご家庭で使われる育児・生活用品・家電製品・消耗品等がありましたら、サイト上のamazonリンク等を経由して購入して頂ければ幸いです。

また、あらかじめAmazonギフト券(チャージタイプ)Amazonギフト券(Eメールタイプ)からギフト券を購入し、ご利用中のアカウントへチャージされると便利です。クレジットカードの使用履歴がamazonで埋まらずに済みます。