「いじめ」はなかなか無くなりません。

ただ、発生したいじめが再発するのを防ぐ事はできます。でも、「仲直りの握手」が有益とは思えません。

ある小学校で起きたいじめ。先生は両者を一緒に呼んで、「仲直りの会」というものを開いたそうです。いじめを受けた子どもは自分の意見を言えなかったのに、最後に先生が求めたのは、両者の『握手』でした。子どもはその後、学校に通えなくなりました。

(中略)
そこには、娘が登校中に棒でたたかれそうになったり、無視されたりしたといういじめの詳細、さらに学校側や教育委員会とのやり取りが克明に記されていましたが、中でもある記述に目がとまりました。

それが、娘のいじめを知った母親が先生にその事実を告げたあと、学校側が取った対応、つまりさきほどの『仲直りの会』だったのです。

娘は、いじめた側の児童2人とともに集められ、それぞれ意見を述べるよう求められました。そこで娘が感じたことが手記にはこう記されていました。

「その時は、泣いていて、自分の意見は言えなかった。握手をしたくない気持ちがあり握手をしないように後ろに引いた手を、先生がひっぱり握手をした」

さらに、先生が発したことばも書かれていました。

「もう握手をして終わった事なので、その事は終わりにしよう」

私はこれを読んで「ちょっと信じられない」と思いました。被害者側と加害者側が同じ空間で意見を求められ、しかもその直後に「握手」して、仲直りしなさい、とは…。

それで事足りるケースもあるかもしれませんが、いじめられている子どもの身になれば、いたたまれないだろうと。事実、娘はこの握手の後も、いじめを訴え続け、学校も休みがちになりました。(以下省略)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190826/k10012048901000.html

「仲直りの会」ほど無意味なものはありません。当事者が同じ場所に集められ、仲直りの握手を強要されるのです。

加害者や加害者が何らかの不満を持っていても、「握手を拒否する」という選択肢は事実上ありません。

形式だけの握手をしても、問題は何ら解決していません。むしろ、先生にチクられ、握手を強要させられた加害者からのいじめが深刻化する恐れが強いです。

先生から一度は注意されても続くいじめは本当に恐ろしいです。バレないようにこっそりと、そして被害者が先生や保護者に訴えない様に巧妙にいじめ続けます。

徐々に被害者は追い詰められ、悲劇を迎える事も少なくありません。

必要なのはいじめの原因を特定し、それを除去し、加害者を継続的に監視し、被害者が楽しい学校生活を過ごせる様に配慮する事でしょう。

いじめの多くは加害者の攻撃性、被害者の特性(いじめられやすい性格)、そしていじめを許容する教室の雰囲気が重なり合って発生しているでしょう。

いじめの原因を特定するのは本当に大変です。「被害者を守る」という観点から、当事者や保護者から丁寧にヒアリングを行い、再発防止に努めるのが求められます。

ただ、先生は非常に忙しく、一つずつのいじめに向き合うのには大きなエネルギーを必要とするでしょう。また、学校には「事なかれ主義」や「トラブルを隠蔽する」という傾向も存在します。

様々なトラブル事例を見聞きする限り、重要なのは「証拠集め」です。子供の話などを都度メモに残し、後日に備えると有用です。そんな事をせずに済むのが理想ですが。

保育所とは異なり、学校は地域に住む全ての子供が集まる場所です。様々な家庭があり、中には意思疎通・交流するのが難しい家庭や保護者もあります。

子供には「みんな仲良くが大切だけど、仲良くなれない子とは無理せずに良い。でも、陰口を言ったり仲間はずれにしちゃダメ。」と伝えています(どこまで理解できているかは自信がありませんが)。

保護者や先生の目が行き届かず、子供同士の関係が中心となる学校はトラブルの巣です。全てに先生が介在する保育所とは大きく違います。

子供や学校とコミュニケーションを取り、トラブルの芽に早く気づくのが大切でしょう。