沖縄県の保育所に通っていた頃の栗原心愛さん(朝日新聞より)
実父の栗原勇一郎被告による栗原心愛さんへの虐待行為を幇助したとして、母親の栗原なぎさ被告も起訴されました。
本日14時から初公判が開かれ、なぎさ被告は起訴内容を認めました。検察は懲役2年を求刑し、結審しました。
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(6/26追記)
なぎさ被告に懲役2年6カ月(執行猶予5年)の判決が言い渡されました。懲役2年の求刑を上回る、厳しい判決です。
ただ、勇一郎被告からのDVを考慮し、執行猶予付きの判決となりました。
千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん=当時(10)=が1月に自宅浴室で死亡した虐待事件で、父勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=の暴行を制止しなかったとして、傷害ほう助罪に問われた母なぎさ被告(32)に千葉地裁(小池健治裁判長)は26日、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
小池裁判長は、なぎさ被告が勇一郎被告による虐待を認識しながら「行政機関や警察に通報せず、放置した。指示を受け食事を与えなかった」と認定した。
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千葉県野田市で小学4年生の女の子が虐待を受けた末に死亡し、両親が起訴された事件で、このうち虐待を止めなかったなどとして、傷害ほう助の罪に問われている母親の初公判が千葉地方裁判所で開かれ、母親は起訴された内容を認めました。裁判は16日で結審し、検察は懲役2年を求刑しました。
ことし1月、千葉県野田市の小学4年生、栗原心愛さん(10)が自宅の浴室で死亡しているのが見つかった事件では、父親の勇一郎被告(41)が冷水のシャワーを顔に浴びせ続けるなどの暴行を加えて死亡させたなどとして、傷害致死などの罪で起訴されたほか、母親のなぎさ被告(32)も暴行を止めなかったなどとして、傷害ほう助の罪で起訴されました。
このうち、なぎさ被告の初公判が16日千葉地方裁判所で開かれ、被告は「間違いありません」と述べて、起訴された内容を認めました。
続いて検察が冒頭陳述で「被告は、夫の勇一郎被告による虐待をおととし9月から認識していた。児童相談所での一時保護を経て、去年夏以降、再び床に正座させたほか、けがをさせるなどしていたのに、これを止めたり問いただしたりしなかった」などと指摘しました。
また、検察官は被告の調書を読み上げる中で、去年の大みそかに家族で年越しそばを食べているとき、勇一郎被告が心愛さんに『もっとおいしそうに食えないのか』と言ったのをきっかけに、浴室に立たせるようになったことを明らかにしました。
さらに、亡くなる数日前からは食事を抜いたり、浴室に夜通し立たせたりする虐待があったことも指摘しました。
一方、なぎさ被告は被告人質問の中で、弁護士から虐待を止めようとしなかったのか聞かれると「夫にやめてと言ったが、胸ぐらをつかまれ、馬乗りになられた」などと述べました。
裁判は16日で結審し、検察は「夫に逆らえなかったことは否定できないが、母親として虐待を認識しながら放置したのは許されるべきではない」として、懲役2年を求刑しました。
判決は来月26日に言い渡されます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011918081000.html
虐待が始まった経緯が明らかになってきました。
なぎさ被告は次女を出産後、体調が優れずに入院していました。その間、勇一郎被告と心愛さんは2人だけで千葉県野田市に居住していました。
2人だけで生活を初め、虐待が始まりました。なぎさ被告が認識したのは、退院して同居した頃からでした。
勇一郎被告による虐待を、なぎさ被告は何度も止めようとしました。
しかし、逆に勇一郎被告から暴力を加えられ、止められませんでした。DVを受けていました。
捜査関係者によりますと、当時の調べに対して「夫を止められなかった。娘が暴力を振るわれおびえていると、夫が怒って浴室に連れて行ったあと死んでいた」などと供述していたということです。
一方でなぎさ被告も夫の勇一郎被告からDV=ドメスティックバイオレンスを受けていたとみられています。
勇一郎被告は心愛さんへの暴力に加えて、ことしの元日ごろ、自宅のリビングでなぎさ被告の胸倉をつかんで顔を平手でたたくなどの暴力を振るったとして暴行の罪でも追起訴されています。
また、一家は以前、沖縄県糸満市に住んでいましたが、おととしの夏、なぎさ被告の親族が「心愛さんが父親からどう喝を受けている。母親がDVを受けている」と市に相談していました。
糸満市は家庭訪問を行おうとしましたが、勇一郎被告が「千葉に行く準備があり忙しい」などと言って断り、DVについて詳しい調査が行われないまま一家は千葉県野田市に引っ越していました。
おととし11月、心愛さんが児童相談所に一時保護された際にもDVを受けている可能性が浮かび上がりました。
児童相談所が家庭環境を調べるための面談でDVについて尋ねたのに対してなぎさ被告は「ないわけではないです」と答えていました。
また、心愛さんも当時、小学校で行われたアンケートで担任の聞き取りに対し、「お母さんは味方してくれるが、お父さんは保護者だといって言うことを聞かない。沖縄ではお母さんがやられていた」と答えていたということです。
なぎさ被告が勇一郎被告にによる心愛さんへの虐待を直接制止するのは、極めて困難だったでしょう。場合によっては自分の生死すら危うくなってしまいます。
ただ、別の手段で止める事も可能でした。警察や行政機関等に助けを求める事もできたでしょう。親族経由でSOSを上げる事もできました。
執拗なDVを受けていたとしても、取りうる方法はありました。それを行わなかった事への批難は免れないでしょう。
初公判でなぎさ被告は事実関係を認めており、事実関係に争いはありません。
5月26日に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されるのではないでしょうか。
なお、勇一郎被告の公判は別の裁判員裁判にて審理されます。日程等は未だ決まっていません。