レイモンド淡海保育園(大津市)に通う保育園児が散歩中に交通事故に巻き込まれた事件の続報です。
負傷者の容体は
5月10日時点では、まだ8名が入院しています。内、1名が重体、7人が大けがを負っています(他に大けが1人が退院済)。
痛ましい限りです。
3)現在の状況
<負傷者の入院先>
・大津赤十字病院 4名
・滋賀県立小児保健医療センター 1名
・滋賀医大病院 3名入 院:8名
退 院:6名<被害者状況>
死 亡:2名(男児1名、女児1名)
2歳児 男児 入園時期 2017年9月
2歳児 女児 入園時期 2017年9月
重 体:1名
大けが:8名
軽 傷:2名
また、保育士3名中2人が9日までに退院しています。
職員3名中2名が退院したが、聞き取りが困難なため状況は未だ不明。
保育士と園児が歩道のどこで待っていたか、道路を行き交う自動車の存在をどれだけ警戒していたか等、事故に遭った保育士に訊ねないと分からない事が多々あります。
一方、こうした聞き取りは辛い記憶を喚起してしまう事になり、更なる精神的ショックを引き起こす危険もあります。
保育士の様態を見つつ、警察による事情聴取や施設による聞き取りが行われていくのでしょう。
ストリートビューの映像はレイモンド淡海保育園の園児と保育士と確認
ストリートビューで保育士と園児が歩道の奥側で待機していた映像が残っていました。
10日までは複数の人間を判別できる状態でしたが、5月11日朝からはぼかしで見えなくされています。
これにつき、運営法人が「当園の保育士と園児である」とコメントしました。
6)Google ストリートビューの画像について
大津市大萱6丁目の県道交差点を写したGoogleストリートビューの画像に映し出されていた、散歩中と見られる保育園児と保育者は、レイモンド淡海保育園の園児と職員であることが確認できました。
常日頃から最大限の安全を心がけ、この道を散歩していました。事故当日も似た様子だったのでしょう。
事故現場にクッションドラムを設置
事故現場には、車の進入を防ぐ為に「クッションドラム」が設置されました。
大津市で散歩中の保育園児らの列に車が突っ込み16人が死傷した事故を受け、現場の歩道に「クッションドラム」と呼ばれる黄色の円柱形の緩衝材が設置された。
歩道にはガードレールなどの防護柵がなく、当面の安全確保のための措置。道路を管理する滋賀県が計6個を設置した。
中には液体が詰められており、車両による衝撃を緩和・吸収します。この日も交通量が非常に多いですね。
クッションドラムは、車輌が前方不注意、脇見運転、居眠り運転等で道路上の施設に衝突したり、接触した際の衝撃を緩和吸収し、人身、施設の被害を小さくします。
自動車がクッションドラムに衝突する時、その運動エネルギーをドラムの変形と内部の液体により、流動するエネルギーに変換し、衝撃を緩和減衰し、吸収します。https://www.ccbind.co.jp/product/e4da3b7fbbce2345d7772b0674a318d5.asp
本件事故の様に横断歩道部分を突っ込んでくる車に対してより有効なのは、ガードポール(車止め)の設置でしょう。
ここは交通量が激しい道路です。クッションドラムも設置し、歩行者等の安全を図っています。
安全な園外活動に苦悩する保育施設
「園外を散歩しなければ事故に遭わなかった」という指摘もあります。その通りです。
しかし、適度に園外を散歩して様々な光景に触れる事は、児童の健やかな成長に必要不可欠です。
また、近年は園庭がない保育施設が増えており、代替となる児童公園で遊ぶ為に移動する姿が珍しくありません。
「こちらがルール守っても」散歩安全確保に園苦悩 大津死傷事故
大津市の県道での園児死傷事故を受けて9日、市と滋賀県はそれぞれ、子どもの歩行ルートの安全確保を関係機関に改めて要請した。待機児童の解消を目的に市街地に保育施設が増える一方、道路へのガードレール設置などのハード対策には限界もあり、現場はジレンマを抱えている。
同市坂本1丁目の保育園「まみぃ」(定員19人、0~2歳)は、民家を利用した少人数の保育を行っている。敷地内には園庭がなく、園児たちは徒歩2分の距離にある公園にほぼ毎日通う。虫や草花と触れ合うため、数百メートル先の駅や田畑まで歩くこともある。
道中には車が離合できない狭い道や、ふたのない水路も。同園では、車が近づくと保育士が園児に「ぺったんこ」と呼び掛け、全員で道路の端に寄る合図にしている。歩くルートや付き添いの保育士の人数、列の中での配置なども事前に入念に確認するという。
加藤ひとみ施設長(59)は「道路上では、こちらがどれだけルールを守っても事故に遭う可能性がある」。とはいえ、散歩などの園外活動は子どもの成長に欠かせず、安全対策は多くの園に共通する悩みだ。
保育施設に入りたくても空きがない「待機児童」の解消を急ぐ国の方針もあって、空き家やビルの一角を活用した0~2歳児対象の小規模施設が各地で増えている。保育ニーズの高い都市部で開所が相次ぐが、土地事情から園庭を確保できない施設も少なくなく、近くの公園や広場で代替している。
大津市ではこの5年間で、こうした小規模な「地域型保育」施設の数が19から36へと増えた。市は園外活動の安全確保のため、2007年以降「保育園危機管理マニュアル」を各園に配布。大阪教育大付属池田小事件(01年)などを受けて市内の保育園長らが作成したもので、あらかじめ散歩コースや保育士の役割分担を決める事前計画書の作成などを推奨している。(以下省略)
京都新聞の記事で取り上げられている「まみぃ」は比叡山の麓、京阪電鉄松ノ馬場駅の南方約200メートルの住宅街の一角に設置されています。
保育施設を東に向かい、南北に走る道路を北上するのが散歩コースの一つとなっています。
この道路は京阪電鉄を交差する数少ない道の一つです。住宅街なので速度はゆっくりでしょうが、相当の交通量があると考えられます。
こうした道路をお散歩する際は、可能な限りの注意を払っているでしょう。しかし、仮に保育園児の列へ車が突っ込んできたら、避けようがありません。
同園は0-2歳児の保育を行う小規模保育施設です。0-1歳児は避難車(大型ベビーカー)で外出するのが専らでしょう。
しかし、2歳児クラスの園児ともなれば、歩いて外出する機会も多いでしょう。魔の2歳児の安全確保は容易ではありません。
ほんの一瞬でも目を離すと、どこかへ走って行ってしまいます。自分の子供だけならばベビーカーに乗せたり手を繋いだりとできます。
しかし、複数の園児を保育士が連れて歩くと、こうした対応は困難です。園児の様子に集中していると、往来する車や自転車への注意が疎かになってしまいます。
安全確保を最優先に、その上でどの様に園外活動を行うかは永遠の課題です。