大阪市の保育所等利用待機児童数(平成30年10月1日現在)が公表されました。昨年の同時期と比べ、待機児童・保留児童が共に減少しています。保育所等の拡充が効果を上げています。
大阪市における平成30年10月1日現在の保育所等利用待機児童数は、厚生労働省が新たに定めた基準により集計した結果、本年4月1日に比べて325人増加、昨年の同時期に比べて945人減少し、390人となりました。なお昨年度までの基準で集計した場合は、本年4月1日に比べて27人増加、昨年の同時期に比べて370人減少し、63人となりました。利用保留児童数については、昨年の同時期より506人減少し、4,788人となりました。
また、保育所等在籍児童数は、昨年の同時期に比べて1,961人増加し、53,120人となりました。
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000455636.html(リンク先に詳細資料あり)
詳細な資料は上記リンク先、及び下記PDFファイルに掲載されています(同じ資料です)。
保育所等の在籍児童数が昨年同時期より1,961人増加した事に伴い、待機児童・保留児童数が減少しています。効果的な待機児童対策は「保育需要に見合った保育施設の拡充」であり、ここ数年の大阪市の動きはこれに沿ったものです。
敢えて要望するのであれば、今後は多くの保護者が入所を希望している「6年保育を行う保育所・こども園」の充実を図って欲しいです。
淀川区・東淀川区は深刻な待機児童数
一方、一部の区では待機児童問題が深刻化しています。区別の数字を見てみましょう。
この表からは、待機児童数・保留児童数の人数、及び前年同時期からの増減が読み取れます。
待機児童数・保留児童数が飛び抜けて多いのは、淀川区と東淀川区です。待機児童は大阪市全体の約7割を占めています。
両区に共通して指摘できるのは、「保育所の新設不足」です。
各区では来春に各1保育所が新たに開所する予定です。しかし、両区の未就学児人口は非常に多く、保育需要の高まりに見合う保育所が整備されていません。
待機児童が発生しているエリアが偏っているのも特徴的です。各保育所の第1希望数を見る限り、淀川区は新高・三国・宮原エリア、東淀川区は上新庄駅周辺に待機児童が集中しています。
淀川区は交通の便が非常に良くて再開発が盛んなエリア、東淀川区は交通の便が区内で最も良いエリアに該当します。梅田等へ通勤する保護者が、こうしたエリアにある保育所を集中的に希望しているのでしょう。
こうした動きに淀川区・東淀川区は追従できていないと感じています。何もしていないわけではありませんが、結果として後手後手に回っているのは否めません。
利用保留児童も大量発生
また、待機児童は0人ないし微少ながら、多くの利用保留児童が生じている区もあります。前2区以外で200人を超えたのは、北区・中央区・西区・城東区・鶴見区・阿倍野区・住之江区・住吉区・平野区です。
これらには平成30年4月の一斉入所で入所できなかった児童と、5月以降に年度途中を申込みながら入所できていない児童の双方が含まれています。
ここで上げた区は、保育所等が不足している区や未就学児が非常に多い区が該当しています。殆どの保育所等は4月時点で定員を充足してしまい、年度途中に入所するのは非常に難しい状況です。
我が家がお世話になっている保育所でも「6月に入所を申し込んだが未だ入れず、下の子は認可外を利用している」「10月に入所を申し込んだが保留中、4月でも入所できるか不安」といった話を聞きます。
保育所等の設備・人員の有効活用の観点から、大半の児童が4月に一斉入所して定員を充足するのはやむを得ないでしょう。「10月一斉入所を」という声もありますが、4月から9月まで保育室や保育室を遊ばせられる余地は乏しいです。
ただ、遅くとも翌年4月の一斉入所において、既に利用保留中となっている児童が入所できる様に保育施設を整備する必要があります。
大阪市長が任期前辞職、来年4月に選挙へ
一方、大阪市が推し進める保育施設の整備に対し、逆風が吹く懸念が生じています。「大阪府知事・大阪市長の任期前辞職によるダブル選挙」です。
「大阪都構想」松井知事 吉村市長 そろって辞職し出直しの意向
2018年12月26日 15時24分
大阪府の松井知事と大阪市の吉村市長は、いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票への協力を求めている公明党と対立が深まっているのを受け、選挙で民意を問いたいとして、来年、そろって辞職し、統一地方選挙に合わせて行う知事選挙と市長選挙に、改めて立候補する意向を固めました。
大阪市を4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」をめぐり、大阪府の松井知事と大阪市の吉村市長は、来年の4月下旬までに、構想の設計図となる協定書を取りまとめたうえで、夏の参議院選挙と同じ日に住民投票を実施したい考えで、府議会と市議会で過半数の支持を得るため、公明党に協力を求めてきました。
これに対し、公明党大阪府本部の佐藤代表は、25日、参議院選挙と同じ日に住民投票を行うことに否定的な考えを示すなど、対立が深まっています。
これを受け、松井知事と吉村市長は選挙で民意を問いたいとして、来年、そろって辞職し、4月の統一地方選挙に合わせて行う知事選挙と市長選挙に、改めて立候補する意向を固めました。
松井知事は26日午後、大阪府庁で記者会見し「住民投票をもう1度やらせてもらいたいと、公約の1丁目1番地に掲げた。その公約によって支持され、今の仕事をしているので、公約を実現するためにさまざまな手段を取っていく」と述べました。
吉村市長「単独過半数取るため全力尽くす」
大阪市の吉村市長は26日午後、東京都内で記者団に対し、みずからの辞職と市長選挙への立候補を正式に表明する時期について「市民の生活に関わることなので、来年度予算の編成と区切りはしっかりとつけなければならない。その後はありとあらゆる手段を尽くす」と述べ、来年度予算案に一定のめどをつけたあとに表明する考えを示唆しました。そのうえで、「都構想を実現するために、大阪府議会と大阪市議会で大阪維新の会が単独で過半数を取るため全力を尽くす。難しい戦いだが、市民に正面から訴えて審判を仰ぐことしか方法がない」と述べました。(以下省略)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181226/k10011760191000.html
大阪市の吉村市長が進める政策については、賛否両論があるでしょう。就任当初から重点の一つと掲げていたのは「子育て世帯の支援」でした。
子育て世帯の支援政策について、賛成できる物もあればできない物もあります。とは言え、他都市や従来の大阪市の考え方と比較すると、極めて積極的に取り組んでいたと感じています。私個人としては、大いに評価しています。
しかし、こうした形で辞職・選挙が行われるのは非常に残念です。選挙では子育て政策等の是非ではなく、「大阪都構想」が焦点となってしまうでしょう。
辞職ムードが漂う2月の予算市会では重要議案が紛糾すると予想しています。3歳児の教育費無償化は難航するかもしれません。