大阪市の小学3年生~6年生を対象とした、「大阪市小学校学力経年調査」が実施されます。昨年度までは毎年1月に実施されていましたが、今年度は平成30年12月5日(今週水曜日)から実施されます。
小学校学力経年調査に基づく学習支援事業を実施します
大阪市小学校学力経年調査
児童一人一人の学習理解度及び学習状況等の把握・分析
児童一人一人の課題に応じたきめ細かな指導の充実、各学校の課題に応じた教育施策の充実等【調査対象】小学校3・4・5・6学年
【調査内容】教科に関する調査(国語・社会・算数・理科)及び 学習・生活状況等に関する調査
【調査実施時期】平成30年12月5日~7日平成25年度「全国学力・学習状況調査」の結果では、大阪市の平均正答率は、小中学校の国語、算数・数学全てにおいて全国の平均正答率より低位であり、学力向上は本市の喫緊の課題である。そこで、各学校に対して、学習指導の指導の充実に向けた多面的な支援を行い、学力向上をめざすこととした。
とりわけ、義務教育段階(小学校)で、身に付けておかなければならない力を確実に定着できるようにするため、統一した問題により、児童一人一人の学習状況を客観的・経年的に把握・分析し、児童一人一人の課題に応じた支援、学校の課題に応じた支援を充実させることとした。
これは大阪市の小学生のみを対象とした、学力テストの一種です。名前の通り、「経年調査」を目的として実施されます。児童1人1人の学力の推移を毎年調査し、各人に応じた支援等を充実させるものです。
過去問は非公表? 平均点は70点台、中央値は80点前後か
過去問等は公開されているのでしょうか。調べた限り、過去の出題内容・出題例等は公開されていませんでした。様々な話を聞く限り、問題の難易度は全国学力テストと同程度か若干難しい程度ではないでしょうか。
ただ、大阪市教育委員会から各学校に対し、経年調査に関連した「学習教材データ」が配信されています。恐らくは2学期以降に学校から配布されたプリントに含まれているでしょう。
こうしたプリント類を学校や自宅でしっかり学習していれば基本的な学力が身につき、経年調査の結果を見ても慌てないで済むでしょう。
過去の調査結果は公表されています。
これによると、平均点は概ね70点台です。二極化している学力を踏まえると、半数程度の子供は80~100点、残りは79点~50点前後に分散していると推測されます。中央値は80点前後でしょう。
経年調査の結果を教員評価に利用
今年の学力経年調査は例年以上に注目されています。全国学力テストで大阪市の点数が2年連続で全国最下位に沈んだ話は多くの方がご存じでしょう。
これに危機感を有した大阪市の吉村市長が、「教員評価基準の一つとした、学力経年調査の結果を利用する」と表明しました。
先生のボーナス、子どもの成績次第?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181115/k10011709961000.html
この方針には賛否両論が巻き起こっています。
児童が適切な知識・学力を身につけるのは必要不可欠ですが、手段として「教員評価に学力経年調査を利用する」を利用するのは果たして適当なのでしょうか。
二極化する学力と家庭
多くの先生から共通して聞く話は「学力の二極化」です。
学力の二極化は既に広く知られた話でしょう。勉強が得意な児童と苦手な児童に真っ二つに分かれ、中間がいない状態です。授業の進め方が難しいという声が漏れ聞こえてきます。先生の忙しさも拍車を掛けています。
学習指導員の配置や習熟度別授業の導入によって対応していますが、二極化状態は学年を経る毎に広がっている様子です。
その背景の一つとして、「家庭の二極化」もあるでしょう。世帯年収や両親の学歴が子供の学力に大きく影響しているのは有名な話です。
大阪市の小中学校は、全国学力テストの結果をウェブサイトに公表しています。
この結果を国勢調査等に重ね合わせる事により、各学校毎の学力と学区の世帯年収・学歴(保護者に限定した数字ではない点に注意)が強く相関していると言う結果が現れました。
【重要】大阪市立小学校データベースを大幅更新!(H29学力テスト・通学区域・大卒率・世帯収入等) 低迷する学力と世帯収入
十分な世帯年収があれば、基本的な学力を身につける為に学習塾等へ通わせられるでしょう。両親が一定以上の学歴を有していれば、過去の学習経験を利用して勉強を教えらるでしょう。
しかし、双方が欠けている家庭では、十分な学力を身につけさせる方法が大きく制限されてしまいます。
忙し過ぎて十分に指導できない先生、塾通いしづらい世帯年収、勉強を教えられない両親、学力を向上させる要素が大きく欠けています。
低迷する大阪市の学力、課題は山積です。