認定こども園さくら保育園(大阪府八尾市)の園長・副園長夫妻の息子が、園児への強制猥褻の疑いで逮捕されてから3カ月余りが経過しました。
・第2回保護者会で園長夫妻は園児への猥褻行為を全否定、謝罪せず
・和田敬之容疑者(保育士、さくら保育園の園長・副園長の息子)を園児への強制猥褻で起訴
・大阪府八尾市の認定こども園「さくら保育園」で働く男性保育士(園長・副園長の息子)、園児に強制猥褻で逮捕
平成31年度からさくら保育園が休園する意向を示しました。詳しい経緯は田中裕子八尾市会議員のブログに掲載されています。
八尾市内の幼保連携型認定こども園を運営する法人が休園の意向を表明し、保護者説明会が開かれました。
このままでは、来年の4月から在園児が出ていかなくてはいけない状況が生まれます(休止届けはまだ市に提出されていないそうです)。
休園原因は保育士不足か、息子をかばい続ける園長・副園長
同議員のブログ等によると、下記の様な経緯をたどっています。
・今年2月に保育士(園長・副園長の息子)による園児への強制猥褻行為が複数確認された。
・平成25年度に同様の相談が八尾市へあった。
・園側が事実確認等を拒否し、保護者は警察へ被害届を提出した。
・保育園の顧問弁護士から保護者へ「名誉毀損による訴訟提起を検討」「謝罪を要求する」といった旨の手紙が届いた。
・今年6月に保育士(和田敬之容疑者)が逮捕、後に起訴。
・7月に保護者説明会開催(この様子がMBS等で放送される)。
・保護者有志が八尾市へ意見書を提出したが、市は「司法の場で判断されるべき内容」と回答。
・9月下旬に保護者有志が「運営体制の刷新、保育士確保、行政による指導」を求める意見書を八尾市へ提出。
・10月2日の説明会で園は「休園ありき、マスコミが悪い」と主張。
・八尾市は「山本南保育園か堤保育園への集団転園を検討」と説明。
・園は来年3月末で休園し、1年後に再開したい意向。
・八尾市は本件を公の事として扱いたくない意向。
・10月23日の八尾市議会議会運営委員会、24日の本会議にて「さくら保育園の男性職員による強制猥褻事件及び児童虐待事件を契機とする休園問題」が取り上げられる予定。
この問題では、さくら保育園は一貫して事実確認を拒否しています。
逮捕されたのは園長・副園長の息子です。経営者・親・大切な園児を預かる責任者としての立場から、事実確認を行う義務があるでしょう。保育園運営者としての仕事そのものです。
しかし、園長・副園長は事実確認を司法に丸投げしています。雇用している保育士・息子が逮捕・起訴された事に対する責任感が何ら感じられず、説明会では言い訳に終始しました。
親として子どもの犯罪行為を認めたくない心情は理解できます。しかし、ここで求められるのは「保育園経営者・最高幹部」としての立場です。公私の分別が全くありません。
大切な園児を預かり、多くの保育士を雇用し、多額の公費が投入される組織の経営者としての能力・資格・見識が何らありません。
保育園は「マスコミ報道によって深刻な保育士不足に陥り、休園に追い込まれた」という旨を主張しています。しかし、こうした経営者が運営している保育園に園児は集まりません。遅かれ早かれ、園長・副園長夫妻が保育園を運営し続ける事はできなかったでしょう。
なお、さくら保育園は「1年後に園を再開したい」としているそうです。笑止千万です。
経営者等の交代が一般的、休園は例外的
保育園等の経営者一族に深刻な不祥事等が発生した場合、行政が主導して経営者・経営主体を交代させる事が一般的です。ここ数年の間に関西で生じた事例を挙げます。
・春日野園(保育園、京都市):経営者一族等は解雇&辞職、京都市OBが新理事長・新園長に
・夢工房(保育園等、兵庫県姫路市):経営者一族は解任&解雇、兵庫県OBが新理事長に
・みるく保育園(保育園、東大阪市):園長・副園長は逮捕(実刑判決)、園運営を承継する法人を公募して選定
・くれない保育所(大阪市):経営者一族は解雇&辞職、大阪市OBが新理事長に
・高等森友保育園(大阪市):保育士水増しによる事業停止命令、全園児は近隣他園へ優先転所
高等森友学園保育園の事例を除き、保育園等は継続して運営されています。経営者が代わっても園児は変わらず登園し続け、保育士等の雇用も継続した事例が大半でしょう。
仮に保育園等を休園・閉園させる場合、在園児の保育をどうやって継続するかが大きな問題となります。大きな焦点となったのが高等森友学園保育園です。
大阪市は在園児が近隣他園へ優先的に転所できる措置を公表しました。遅くとも休園9カ月後の平成30年4月までには第1希望とする保育所等へ転所できた見通しです(詳細はこちら)。
当初は同保育園を存続させ、経営者のみを交代させる選択肢もあったでしょう。しかしながら国会をも巻き込んだ大騒動が生じており、経営者との話し合いも難航していました。また、同保育園は大阪市淀川区という都市部にあり、周囲には数多くの他保育所等もあります。
園児の保育への影響を最小限に抑えられるとの判断からか、大阪市は事業停止命令・転園措置に踏み切ったと推測されます。
さくら保育園、このまま休園&1年後に再開???
一方、さくら保育園の休園は少し異なります。
保育園経営者としての能力や見識に重大な問題があるのは、さくら保育園も高等森友学園保育園も同じでしょう。
しかしながら、八尾市がさくら保育園の経営者等を交代させて新たな人物・組織が運営を承継する方式を検討した形式は見つかりません。園児の保育を重要視する観点からは、検討して然るべき方法です。
また、大阪市とは異なり、八尾市の転園先は少し遠く、選択肢も豊富ではありません。200人近い在園児が全て転園できるとは考えにくいでしょう。もしも全園児が転園できたとしても、反対にそれ以外の入所希望者が排除されかねません。
仮にこのまま休園・集団転園に至れば、八尾市全体の子育てに大きな影響を及ぼしかねません。近隣地域の保育所等に限らず、全市的に保育所へ入所しづらくなる恐れがあります。
更に子育てに対する八尾市の考え方も問われかねません。問題が生じた保育園を切り捨てるのは容易ですが、何も解決しません。八尾市として主体的に事実を究明・確認し、子どもの為に最善を尽くす考えはないのでしょうか。
10月23日・24日の八尾市議会では、非常に激しい議論が展開されると予想されます。ストリーミング配信されるのは録画のみ(数日後?)、生中継が無いのが残念です。