(大阪市が管理運営する野球場(一部))
大阪市内で子育てしていて痛感するのは、子供が自由に遊べる公園が少なすぎる事です。特にボール遊びができる公園が余りに少なく、我が家の様な少し遊びたい程度の家庭は困ってしまうでしょう。
また、「ボール遊び禁止」という立て札がある公園が少なくありません。ボールが公園外へ飛び出してしまい、近隣の住居や自動車に当たってしまう被害が相次いでいる為だそうです。
反面、市内には数多くの大阪市営野球場(野球が可能なグラウンド等を含む))が設置されています。広い野球場でスポーツを楽しむ団体がある一方、野球場の隅っこに申し訳程度に設置された公園で鈴なりに遊ぶ子供をしばしば見掛けます。
小さな子供を育てている家庭としては、「広い野球場で子供を遊ばせられれば、どんなに良い事か」と感じる機会が多いです。
こうした内容を【産経新聞より】大阪市の公園が次々閉鎖、実は関電の土地だったに記載したところ、様々なコメントを頂きました。
今回の記事を見て思ったのですが、公園の敷地を確保する為として挙げた野球場の存否に関して、野球場だけ槍玉にあげるのは意見が飛躍しすぎではありませんか?
大阪市の公園併設の野球場はせいぜい50程度です。シニア・リトル含めて野球チームが多い大阪のことを考えると決して多すぎる数ではないと思います。
その競技に打ち込むために限られた設備で頑張っている子供たちもいるのです。野球を楽しむ大人やお年寄りもいるのです。このような影響力ブログという場に於いて、安易に野球場を減らせというような意見には納得がいかず、僭越ながらコメントさせていただきました。
公園内に野球場は要らない。
ごく一部の利用者のために、多数の子供が遊び場を奪われているという意見には同意できる。
野球をしたい人は、別の場所でやれば良い。
実際の所、大阪市内の野球場(特に大阪市営)の設置数や利用状況はどうなっているのでしょうか。分かる範囲で調べてみました。
大阪市内の野球場は関西トップ(恐らく全国最多)
草野球onlineのグラウンド検索機能を利用して調べてみました。なお、「野球場数」には野球専用グラウンド・多目的グラウンド等を全て含んでいます。
自治体名 | 野球場数(検索ヒット数) |
大阪市 | 67 |
堺市 | 32 |
豊中市 | 8 |
吹田市 | 6 |
摂津市 | 4 |
守口市 | 4 |
門真市 | 3 |
大東市 | 3 |
東大阪市 | 11 |
八尾市 | 8 |
松原市 | 12 |
尼崎市 | 8 |
伊丹市 | 14 |
西宮市 | 19 |
神戸市 | 9 |
京都市 | 44 |
大阪市を中心とする京阪神地域において、最も数多くの野球場を有しているのは大阪市の67箇所でした。1区あたり3箇所弱という割合です。街中で目立つわけです。
ざっと見た所、野球場専用が4割、多目的グラウンドが6割という割合でした。野球場に偏っているのではありませんでした。
ただ、大阪市は人口260万人を抱える大都市です。野球場も多くて当然かもしれません。他都市の状況を見てみます。
人口に対する野球場数が大阪市より明らかに多いのは、堺市(84万人)・松原市(12万人)・伊丹市(20万人)ですね。
伊丹市は田中将大投手(楽天→ヤンキース)・坂本勇人内野手(巨人)に代表される、数多くのプロ野球選手を輩出しています。数多くの野球場やスポーツ少年団の存在が効いているのでしょう。
「ヤンキース田中」「巨人・坂本」「アスレチックス中島」超一流プロ野球選手を次々輩出する「伊丹」の秘密
https://www.sankei.com/west/news/140217/wst1402170072-n1.html
大阪市内にある野球場数は関西で突出しています。人口比率でも最も多いグループに属していると言えそうです。
日曜日は申込殺到、土曜も多い、平日は閑散
では、野球場の使用状況はどうなっているのでしょうか。利用希望者が殺到しているのでしょうか、それとも閑古鳥が鳴いているのでしょうか。
大阪市は公共施設の利用にオーパスシステムを採用しています。申込みには利用者登録が必要ですが、予約・空き状況は登録不要で確認できます。
ここから利用目的で絞り込み→少年軟式野球とし、9月1日~7日の予約状況を見てみました。
日曜日は殆ど全ての野球場・時間帯が予約で埋まっています。空きがあるのは一部の施設のみ、それも朝一番や夜一番が主です。土曜日も予約が多いですが、日曜日ほど埋まっていません。
反面、平日は施設毎の違いが際立っています。
左専道運動場・下福島運動場第2グラウンド・寺田町野球場・大阪城野球場の様にほぼ予約で埋まっている野球場がある一方、殆ど空いている・半分ほど空いている施設が多数あります。
土日は多くの利用者で賑わう反面、平日は閑古鳥が鳴いている野球場が少なくなさそうです。
こうした現状を鑑みると、数多ある大阪市内の野球場であっても土日の申込みには追いついていません。こうした状態で野球場を廃止(もしくは規模縮小)すると、利用者から強い反発の声があがるでしょう(ボール被害を受けている近隣住民からは歓迎されるかもしれません)。
しかしながら、平日は申込みが少ないのは事実です。多くの野球場は有効に活用されていないと推測されます。平日に限ると「過剰」と言わざるを得ません(ホール等、他の公共施設も同じですが)。
閑散時間帯に子供達が遊べないのか?
では、利用されていない時間帯・申込みが少ない時間帯の野球場を子どもたちが自由に使えないのでしょうか。私は遊んでいる姿を見た事がありません。野球場で見掛けるのは、野球やサッカー等のスポーツを楽しむ団体ばかりです。
例えば一部のグラウンドは近隣の保育施設の幼児達が遊んでいるそうです。スポーツ団体等と同じく予約しているのかもしれません。
与力町グラウンドについてですが、土日は野球等で使用していますが、平日の昼間は近隣の保育施設(幼稚園含む)の子どもたちがよく遊んでいます。広いグラウンドで元気に走り回っている姿を見ます。
東天満公園にもよく行きますが、あまり保育施設の児童は見かけません。
近隣の保育園に見学に行った際も、与力町グラウンドをよく利用するとお伺いしました。
とは言え、近所の子どもたちが遊ぶのに時間を決めて予約して・・・・というプロセスを経るのは非現実的です。しかし、利用されていない時間帯が多い空間が、子どもたちの目の前にあります。
であれば、「平日の申込みが少ない野球場につき、設定された曜日・時間は子供達が自由に遊べる空間にする」という扱いはできないのでしょうか。
たとえば週2回(火曜・木曜)・15時~17時です。団体申込者の利用を過度に制限する事にはなりません。
この時間帯の申込者が少ない地域であれば、平日の同一時間帯は常に子供達へ開放する事も考えられます。広い空間で自由に遊べる子供達はさぞ喜ぶでしょう。希望者がいない時間帯を随時開放する方法もありますが、曜日・時間が流動的なので難しいかもしれません。
1人あたりの公園面積は政令市ワースト
そもそも論として、大阪市は公園が非常に少ない街です。1人あたりの面積は政令市で最下位です(東京特別区を除く)。
http://www.mlit.go.jp/crd/park/joho/database/t_kouen/pdf/04_h28.pdfより作成
狭い大阪市で数少ない公園に多くの利用者が集中している構図です。
そうなると、大きな面積を有する数多くの野球場が気になってしまいます。「あの野球場で子供が自由に遊べたら良いのに!遊具があればもっと良いのに!」と。
限られた面積・公園をどの様に利用するかは難しい問題です。しかし、子供が遊べる場所が少なすぎるのは事実です。
少しずつであっても、子供達が自由に遊べる環境・制度を整えていくのが大人の仕事ではないでしょうか。
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