どこの世界・組織にも「おかしいと感じるルール」があるでしょう。様々な方策を尽くしてもルールが変わらない場合、あなたはどうしますか?。
「思い切ってルールを破り、問題提起する」という方法と取った熊本市議がいます。生後7カ月の乳児を抱いたまま熊本市議会の本会議に臨もうとしました。
12月定例熊本市議会初日の22日、緒方夕佳市議(42)が長男(7カ月)を抱いたまま本会議に臨もうとしたため、開会が約40分遅れるなど一時混乱した。緒方市議は「子育てしながら議員活動ができるよう、問題提起したかった」としている。
緒方市議は開会数分前に長男を抱いて議場に着席。開会時刻になっても長男を退席させる様子がないため、議会事務局職員が退席させるよう求めたが、応じなかった。
このため、澤田昌作議長らに促され、議長室に移動。「子育て中の議員への対応を、今後議会で検討したい」という澤田議長の説得を受け入れ、緒方市議は長男を友人に預けて議会に出席した。
澤田議長は開会冒頭、「開会が遅れて関係各位にご迷惑をおかけした」と陳謝。議員からはやじが飛ぶなど一時、騒然とした。
議会後、緒方市議は「仕事と子育てを議会でも両立できる仕組みが必要。環境を整えてほしいと議会事務局に相談してきたが、前向きな回答がなかった」と話していた。
同市議会の規則では、子連れの出席に関する明確な規定はないが、議員以外を傍聴人とみなしており、傍聴人は議場に入ることはできないとしている。
「議会に出席しないことには発言や採決に参加できない」。22日、長男を連れて熊本市議会に出ようとした緒方夕佳市議(42)は涙ながらに語った。
緒方市議は、子ども同伴での委員会視察を2015年度に条件付きで認められた。議員の産休制度を主張し、子連れでの議会出席も昨年から議会事務局に相談していた。
議会事務局は「規定にはないが、子連れ出席は議事進行に支障が出る」と否定的。女性市議の一人も「子育て世代の政治参加を促す環境づくりには賛成するが、今回の行動は問題」と話す。(以下省略)
詳しい経緯や問題点等を、緒方市議が【音声配信】「赤ちゃん連れで議会に。その真意は?」緒方夕佳・熊本市議に荻上チキが直撃!▼2017年11月22日(水)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)で語っています。
放送内容の書き起こしからインタビュー内容を要約しました。
・議会事務局へ「乳児のいる議員活動をサポートしてほしい、いつでも授乳できるよう議場に連れて行きたい、難しければ議員用・傍聴者用として市議会に託児所を作れないか?」とお願いしていた。
・が、事務局は「個人でベビーシッターを雇ってください」という対応だった。
・子育て中の女性に議員になってもらえる為に環境整備をしたい、子育て世代の声を聞いてもらいたいと感じた。
・北欧では議員も1年半の育児休業が取れる(注:日本では取れない)、その間は代理投票・代理議員という仕組みがある。
・乳児を抱いて座ったら、事務局が「それはやめてください」、議長や委員長も「これじゃあ始められない」と。
・私は「始めていただいて大丈夫です」と申し上げたが、あちらは「赤ちゃんがいる状態では始められない」という考えだった。
・議長室に移動後、議長から「子育てと議員活動を両立していく仕組みを話し合っていこう」との話があった。
・熊本市議会は3人以上の会派でなければ議会運営委員会に入れない、私の様な1人会派だと意見を言いにくい。
様々な論点が入り交じっているでしょう。子育て中の女性議員と議会活動の関係、議員以外の入場を禁じる規則の是非、敢えて規則を破って訴える方法の是非、でしょうか。
子育て中の女性議員は大阪市でも苦しんでいます。佐々木りえ議員(維新)が漏らしています。
今日は帰宅して、ご飯を作り始めたのが20時過ぎ、娘はお腹が空いたとグズグズ、仕事の電話はじゃんじゃん、、、
私が泣いていたら、いつもと様子が違うと思ったらしく、ママ泣かないで、おいでっと、抱きしめて、ヨシヨシと慰めてくれました。まだ3歳にもなっていないのに、、、— 佐々木りえ(大阪市会議員) (@sasaki_rie) November 15, 2017
この子にこんな思いをさせてるなんて思ってもみませんでした。
市民の皆さまのため、母の声を、教育だー子育てだー病院だーって仕事をしながら、自分の家庭1つ守れていない。恥ずかしいです。私は、自分の人生がこれで本当に良いのか?私が政治家をするにあたり、誰かを不快にさせたり、— 佐々木りえ(大阪市会議員) (@sasaki_rie) November 15, 2017
悲しませてまで、このまま議員を続けていいのか、娘に、妹か弟も、考えているけど、まったく兆候もありません。
政治家に子育て、後援会のとりまとめ、夫のサポート。もう限界に近づいてきています。凄く、自分自身の無力さに本当に腹が立ちます。そして、涙が止まらない。。。— 佐々木りえ(大阪市会議員) (@sasaki_rie) November 15, 2017
こうした問題等に対しては、様々な意見があるでしょう。男性中心だった時代の名残もあれば、今でも十分な合理性がある規則や慣習もあります。
市井の民から見ると、議員は強い発言力と権限を有しています。「おかしい」と感じる事は手順を踏んで問題提起し、議会や住民の反応を待つのも取り得る方法でしょう(ただし、問題提起に対する批判が殺到するのは避けられませんが)。
男尊女卑という考え方が強いと言われる九州の地で、どの様な結論が出るのでしょうか。