保育士として働く方や保育士を目指す方にとって、欠かせないのが「保育所保育指針」でしょう。冒頭(総則)には下記の記載があります。
この指針は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の規定に基づき、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものである。
各保育所は、この指針において規定される保育の内容に係る基本原則に関する事項等を踏まえ、各保育所の実情に応じて創意工夫を図り、保育所の機能及び質の向上に努めなければならない。
2018年度(平成30年度)からの適用に向け、改正案が公表されました。
気になるのは、多くの報道で国旗・国家が強調されている点です。
・国歌・国旗、保育所で「親しむ」 厚労省が指針改正案(朝日新聞)
・保育所保育指針改定案 保育所まで「国歌」 厚労省所管でも(毎日新聞)
・保育所でも国旗国歌、厚労省 新指針公表、押し付け懸念も(中日新聞)
改正案ではどの様な表現となっているでしょうか。改正案を「国旗」「国歌」で検索したところ、下記の部分のみが検索されました。
3 3歳以上児の保育に関するねらい及び内容
環境
周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。内容
12 保育所内外の行事において国旗に親しむ。内容の取扱い
4 文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて、社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。
国旗については「親しむ」とされています。3歳児以上となれば、様々な旗(国旗を含む)に興味を覚えてくるでしょう。
改正案には「日の丸」という言葉は出てきません。日の丸を含む、様々な国の国旗に親しむという趣旨だと感じました。運動会での万国旗をイメージすると良いかもしれません。
一方、国歌は「我が国の伝統的な行事、国歌・・・・」と表現されています。これは外国の国歌は含まず、日本の国歌(君が代)に限った意味でしょう。
ただ、国歌を強調しているとは読み取れません。行事・唱歌・わらべうた・伝統的な遊びと並列に示されています。様々な文化や伝統に触れる中において、その一部で「君が代」に親しんで欲しいという趣旨ではないでしょうか。
改正案の是非については様々な意見があると思うので、ここでは触れません。考えのある方・保育士・保育士を目指す方々は是非、下記から現物をご覧下さい。「百聞は一見にしかず」です。
改正案は電子政府の総合窓口-パブリックコメントに掲載されています。非常に探しにくい、かつ強制的にダウンロードされてしまいます。視認性の観点から、PDFを当ウェブサイトに掲載します。
「保育所保育指針の全部を改正する件」に関する御意見募集について
改正案そのものは、下記から直接ご覧頂けます。