吉村市長の市長会見が行われました。そこで、市長が掲げる「教育費無償化」の具体像が見えてきました。5歳児保育所保育料は、幼稚園保育料を一つの基準として当てはめ、現行の40%台になる見通しを明らかにしました。
一方、市長が掲げる「教育の重視」に「教育の無償化」が重要なのでしょうか。また、教育格差をより拡大する方向に働かないでしょうか。
【記者】
保育所は養護と教育を分けるという話だが、養護費をいくらにするかという線引きは非常に難しいのではないか【市長】
教育費の無償化と言ってきた、保育費無償化とは言っていない。教育は大事。大阪の子供達が生き抜く力を身につけてもらいたい。犯罪率の低下・所得の増加が教育科学的に証明されている。教育は大事という強いメッセージを発する事が大事。親の所得格差が子供の教育格差にならないようにしたい幼稚園は呼び方は「保育料」だが教育として明確にある。両親の事情で預けるときは「預かり保育」として別に料金を払っている。幼稚園については教育と保育というのがきっちり別れている。
保育所は教育と養護の部分に分かれている。合わせて「保育」という呼び方をしている。2つの要素があるのは間違いない。教育費の部分を無償化したい、という強いこだわりがある。
子育て家庭を支えるという観点から保育料を減免しないといけない、例えば多子減免・所得に応じた減免を優先すべきという意見はある。家計を支えるという別の視点からの政策は必要だが、税投入の背景にある理念が重要。幼児教育の無償化は「教育」が背景にある。教育と養護は分けられる。
教育の部分は無償化。幼稚園を一つの基準として保育所に当てはめたらどうなるか、制度設計をしないといけない。教育と養護は分けるべきだと思っている。
【記者】
所得制限については?【市長】
制度設計として所得制限は設けないとしている。充実した教育を受けてもらうのが目的。所得の多少に関係なく、政治理念として実行すべき。【記者】
養護費はいくらぐらいを想定しているか、養護費部分も無償とすると33億円掛かるそうだが教育費部分のみだと幾らぐらい掛かるのか?【市長】
概ね半分弱ぐらいになると思う。40%台になるのではないかと思っている。二十数億円を想定している。【記者】
財源の作り方は?【市長】
市長重点枠予算、局が持っている予算の選択と集中を図る等、中身を練っている。全体を見る限り、財源は捻出できる。【記者】
3-4歳へ拡大する時期は?【市長】
任期中には3-4歳まで下げたい。https://www.youtube.com/watch?v=_oU5B8D7fgw?t=630
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000303148.html
この市長会見で、保育所保育料を教育と養護に分けた場合における養護費の算定方法を示唆しました。制度設計の一つの方法として、「幼稚園を一つの基準として保育所に当てはめたらどうなるか」と指摘しました。当Webの以前の投稿にて「たとえば市立幼稚園等の利用者負担額を幼稚園教育費と見なし、これを保育所保育料から控除する」という考え方と概ね同一だと考えられます。
では具体的にどうなるでしょうか。現在の保育所保育料・幼稚園保育料から推計してみます。
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