大阪市は市民からの意見・要望等を「市民の声」という形で紹介しています。その中には子育てに関する意見等がすくなくありません。以前にも紹介しました。

保育施設に関する多くの意見・苦情・提案等が「市民の声」に届いています

7月1日に公表された「市民の声」には、保育施設に関する多くの意見等が掲載されています。「殺到」と呼んでも良いぐらいの量です。幾つかご紹介します。

「高等森友保育園への事業停止命令」に賛否両論

ニュース等で大きく取り上げられたのは、学校法人森友学園の系列法人が運営する「高等森友学園保育園」の保育士不足・事業停止命令です。

非常に多くの意見等が「市民の声」に寄せられています。一部を抜粋して紹介します。なお、「市民の声」では「森友」という単語を出していません。が、誰が見ても「森友」だと分かってしまいます。

保育園について、事業停止命令となった場合、残された園児達は法的根拠がない状況で近隣保育園へ移されることになる。園児、保護者は犠牲者です。大阪市は当該保育園を存続させる為にどうしたらいいのかを真剣に考えるべきです。そもそも認可したのは大阪市なので、その責任はどう感じているのか。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402302.html

保育園については、大阪市も大きく関わっているのに個人単位に責任を押し付けるのはおかしいと思う。土地売却や補助金問題についても政治が絡んでいるはずです。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402301.html

保育園の問題についてですが、改善命令から事業停止命令まで一カ月もの猶予(配慮)を与えた大阪市は立派な対応でした。これだけ配慮しても改善が見られない当該保育園は再開させるべきでは無いと思います。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402299.html

保育士確保が困難となっていますが、多くの場合、法人がこのまま運営存続されるのが嫌だという方がおられるのではないでしょうか。 経営権を別の法人が引き継ぐことができないのでしょうか。負のイメージを払拭すれば保育士の方の考えも変わるかもしれません。 それに一度廃園(解体)にしてしまうと用地獲得が非常に難しくなる昨今です。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402298.html

保育園の件に対しての大阪市長の発言で、今までと違って突然、業務停止が既成事実のような発言を聞いた。早く事態を終息させようとする意図を感じる。もちろん保育園の教育方針は承知できるものではないが、園長の発言を聞くと教育に対する熱意は感じるところもある。この問題は、大阪市以外の行政機関も絡んでくる内容で国民の関心も高い。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402297.html

保育園に対する事業停止命令で、保護者からの逆風が大変でしょうが、無医村で無免許医が医療行為を行っているのと同じように、いくら無くなると困る人がいようが、条件を満たしていない者を行政が認めることが無いようにがんばって下さい。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402295.html

行き場を失いかけている保育園の園児の受け入れ先を大阪市は早急に調整していくべきです。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402293.html

保育園について、連日テレビでも取り沙汰されてますが、心配しているのは、保育士がいないからと廃業にまで追い込もうとしている事です。お子様を預けてる保護者からすると子供のなれたところに行かせたいと思うし、通勤にも支障がくるだろうし、簡単に保育園や幼稚園も見つからないし、働く方達も大変だと思います。これ以上保育園を追い込まないようにしてあげて下さい。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402290.html

淀川区の幼稚園について連日の報道ですごくイメージが悪くなっている。知り合いが通わせているが、本当に良い幼稚園であると言っている。今のままでは世論によって廃園となりかねない。ただでさえ少ない幼稚園を減らすのはいかがなものか。市長の発言を聞いたが、マスコミに媚びているように聞こえる。保育園に保育士が足りないのであれば行政で何とかして人員を確保して存続させていくべきである。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402288.html

保育園では保育士が足りないため、大阪市が認可を取下げることを検討していて、今後の運営に支障をきたすという内容のニュースをテレビで見た。この内容とは別に、大阪市では保育所を駅前につくるというニュースを見た。
大人の事情は子どもには関係がない。今の保育園に通えなくなったら、遠いところに預けないといけない子どもが出てくる。保育士を回して、このまま子どもたちが保育所に通い続けられるのであれば、一番いい方法だと思う。子どもがかわいそうな思いをするのは見ていられない。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402303.html

ニュースで法人の保育園が度々映るが、テレビで見た限り保育園のバスが30~100cmほど駐車場敷地から前の道路に飛び出している。道路が市道で常時はみ出しているようであれば大阪市が指導すべきではないか。大阪市へ電話したところ担当課は、交通安全の観点から警察が所管すると言われた。しかし、市道であれば歩行者の通行妨げになり、道路の維持管理の観点から大阪市も現地を確認し対応すべきではないか。テレビを見ていると、当該法人の経営者は順法精神が極めて低いと思われる。当該法人にはいろいろな指導が入っているが、細かい事だからと言わずこの際すべてにおいて指導すべきである。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402300.html

保育園の今後の転園希望について、待機児童の保護者からは、不満の声は上がっていないと伝えられていた。
現在、待機児童で有料の一時保育も利用しています。当該園の園児が転園することによって、また待機が長くなるのではないか、来年度も入れないのではないか、と不安です。
1 当該園の建物で、別の保育施設に出来ないのか。2 保育士さんに対する子供の数を単に増やすだけでは、保育の質が下がり、子供の保育面、安全面に影響が出るので、そのような発想はやめていただきたい。
子供が楽しく安全に過ごせる場所、保護者が安心して預けられる場所が保育園で、いつも保育士さんには感謝しています。当該園についても、大阪市として、そのような安心できる場所にしてほしいと願います。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402294.html(リンク先に返答あり)

保育園の行政指導についてですが、市の対応は間違っています。その根拠として、1.現在保育園を利用してる市民に迷惑を掛ける行政でよいのか? 2.すでに預けている人には転園を含めて相談すると言ってるがとんでもないことです。3.転園できるのなら、現在待機してる人を優先的に入れるべきでは。4.では、保育士を確保できるまで、現在の市の職員での対応を継続して行けば良いのでは。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402292.html(リンク先に返答あり)

休園の是非・大阪市による指導・園児の転所につき、賛否両論が入り乱れています。市に批判的な意見であってもウェブサイトに掲載するのは、非常に望ましい考えでしょう。

私自身は大阪市の3月以降の対応は理に適っていると感じています。強制的に転所させられる園児・保護者が被る影響も、可能な範囲で最小限に留めました。

一方、2月以前に対応には大きな疑問を有しています。在園児の保護者から多くの相談が寄せられていたにも関わらず、適切な対応を行っていませんでした。

大阪市が黙認?・・・高等森友学園保育園による危険な保育・貧弱な食事・保育士不足・保護者への誹謗中傷(大阪市会より)

問題を深刻化させ、最終的には「事業停止命令による休園」に到ってしまいました。

他園でも保育士が不足していないか?

また、他の保育園でも保育士が本当に足りているのかと心配する声も届いています。

大阪市内の保育園全てに保育士が足りているかの調査をして下さい。
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402296.html

事前に連絡して出勤簿等を確認するのでは無く、抜き打ちで調査を行って実際に出勤している保育士数を数えるといった対応も必要でしょう。

森友保育園の事案以降、我が家がお世話になっている保育所では、何名の保育士が出勤しているかと数える癖が付いてしまいました。幸いな事に、基準数を大きく上回る保育士が出勤しています。

一方、保育士数が不足し、園児に対して暴言等を行った保育所もありました。保護者から深刻な相談が届いています。

大阪市認可保育所の対応の悪さ、虐待(体罰だけでなく、言葉の暴力も含む)、慢性的な保育士不足について、早急に指導頂きたい件です。
私の息子が通った保育所は大元が、法人が運営する施設ですが、そのうちの保育所に通っていました。
まず、小規模保育所なのに、先生方の人数が足りてません。
表面上、足りているように見せていますが、私の息子が2歳児クラスの時は、園児13人に対して担任が2人だったのですが、1人の担任が1ヶ月近く不在だったり、他の月も半分程しか勤務しておらず、ほとんど担任1人で保育されている様子でした。
そのため、子どもたちが1人で何でもできるように、無理な躾をしており(怒鳴り声や手が出ていたと子どもから聞いてます。)
私の息子は完全に萎縮してしまい、最終的には、先生の指示が聞けない、身辺自立ができないのは、保護者の育て方が悪いから、あるいは発達に問題があるからといった指摘が何度もありました。早生まれなので、周りの子と比べ成長が遅いのは当然のことです。(以下省略)
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402287.html

相談に対し、大阪市が当該施設の保育所長に状況確認を行ったそうです。保育所長は保護者の指摘を全面的に否定しています。

 聴取によりますと、一時期クラス担任のうちの1人が自己都合により退職し、欠員が生じましたが、その期間については予備の保育士が保育にあたり、保護者向けには写真等を掲載してお知らせもさせていただいたと報告を受けております。また、採用募集を速やかに行い1か月後に補充もおこなっており、保育の基準を満たして保育を実施していたと認識しております。
次に、「保育中の怒鳴り声や行き過ぎた躾について」というご意見につきましては、本市の職員による巡回におきましてはそのような事実は確認しておりませんし、所長もそういった事実は確認しておりません。しかしながら、所長として、そのような保護者の思いに気づけなかったことについては反省されており、保護者の方々の不安や苦情についてきちんと対応し職員へ指示を行うことにより、保育の向上につなげていきたいとのことでした。

保護者と保育所長、どちらに主張が事実に即しているかは判断できません。仮に保育所が保護者からの相談や苦情に適切に対応しなければ、問題は放置されて長期化する可能性が高いでしょう。改善は期待できません。

であれば、この保護者の様に大阪市へ相談し、状況確認や監査を促すのがベターな方法です。子供を守るのに当然の行動です。

区役所への苦情も

問題が指摘されるのは保育所だけではありません。此花区役所の福祉課が「あまりにいい加減だ」という声も届いています。

 此花区の保健福祉課はいい加減すぎます。
保育所に入るため、書類を取りに行き、書いてきて下さいと言われた書類を記入し、提出しに行きました。後日保健福祉課から電話があり、提出してもらった書類は必要ないとのこと。おかしいと思い、本当にいらないのですか?と聞くと、いりません、と言われました。
そして保育園にも入園し、1ヶ月ほどたった今になって、保育園の方から、書類を提出しないといけないので、明日必ず此花区役所に行ってくださいと此花区役所の方が言ってます、と言われました。
此花区役所の職員が書類はいらないですと言っておいて、急に明日来いと。わざわざ提出したにもかかわらず。職員は座ってぼーっと待っているだけでいいのでしょうが、こちらはもう一度書類を記入し、職場にももう一度勤務証明をもらわなければなりません。
なぜそれがわからないのでしょうか?
なぜはじめからちゃんと調べてくれないのでしょうか。めんどくさいからでしょうか?
直接此花区の保健福祉課の女性職員にも電話で上記のことを伝えましたが、全く悪びれる様子もありませんでした。適当に仕事しようが何しようがどうでもいいですが、こちらに迷惑かけるのは本当にやめて頂きたいです。保育園にも迷惑かかっていますので。

http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000402282.html(リンク先に返答あり)

此花区役所からの返答によると、申し込んだ保育所は他自治体にある企業内保育所でだったそうです。イレギュラーケースだったので、担当者が必要書類を誤認したのではないでしょうか。

こうしたミスの背景には、保育施設が多様化して手続きが複雑化している現状が関係しています。また、区役所の保育課担当者は頻繁に異動します。必要な手続きが頭に入っていなかったのでしょう。

申込者が特に怒っているのは「担当者の態度」です。ミスを素直に認めて真摯に対応していれば、こうした苦情が市民の声へ届く事もなかったでしょう。

パブコメも実施中

「市民の声」以外で、大阪市が市民からの意見を募集している物もあります。典型的なのは「パブリックコメント(意見聴取手続)」です。

目下の話題は『「(仮称)大阪市大規模マンションの建設における保育施設等の整備に係る事前届出等に関する条例(案)」の骨子』に関するパブコメです。

「大規模マンション建設における保育施設等の整備協議等に関する条例案の骨子」についてパブコメが実施されます

大阪市中心部には大規模なタワーマンションが急増しており、保育施設・小中学校が急激に不足・狭隘化しています。

事業者の協力も得ながらこうした施設を拡充する一方、大阪市の都市政策・開発政策自体も見直す必要があると感じています。

何も声を上げなければ「現状追認」と見做されてしまいます。意見・相談・苦情・要望等は積極的に送りましょう。