大阪市ウェブサイトに掲載されている「市民の声」には様々な意見や相談が掲載されています。
4人の子育て中の方が多子世帯の苦しさをぶつけています。
保育園の点数制度について
保育園の点数のつけ方に疑問。なぜ子供の数はあまり考慮されないのか。
現在4人の子育て中で、小学校低学年が2人。4歳児を幼稚園に通わせ、1歳児を保育園に預け働いています。3人目が2歳児の時に4人目を妊娠。既に入園準備をしていたのでそのまま幼稚園に通わせたのですが、やはり子供が多い分これから経済的にも厳しくなるだろうと思い仕事復帰しました。
子供自身に友達が沢山できていたのであと2年は別々で頑張ろうと毎日延長保育を利用し働いています。
しかし毎日三ヶ所のお迎えがあり退社から帰宅まで直接だと15分ほどの距離ですが軽く1時間はかかってしまいます。預かってもらえる時間は決まっている上、帰宅後の家事育児が満載なのでやはりその分早く職場をでなければいけません。
長時間働くことはできないので高い点数はつかず、かといって子供の数で加点もなく、上記の理由で子供の環境変化を考えたので同時申込の加点もなく、結果近くの希望園には入れず少し離れた小規模園に決まりお迎えに時間がかかるという悪循環。
4人いても未就学の幼児の人数だけで保育料は決まるし、幼稚園の延長保育料金も無償化とは別なので結構かかるし、お金を稼ぎたいが働く時間は限られるし、でも子供が大きくなるにつれどんどん食費など出費がかさむし。
別々に通わせているのは私達の勝手かもしれないけど子供の事を考えてのこと。どう考えてもひとりっ子よりお金かかります。
家事ひとつひとつに手間も時間もかかります。洗濯も一回では終わりません。料理も倍くらい作ります。お風呂も4倍で時間かかるし、ひとつひとつの動きに時間がかかります。
夫はいるが深夜まで仕事で全部一人でしています。ほぼワンオペです。それでもシングル加点はあっても、子供の人数は加点になりません。とても子沢山に優しくないなぁと感じています。
1番下は3歳児からも保育園を考えているが近くの園に入れるかとても不安です。
そういういろいろな事情をもっと汲んだ考え方、制度にならないかなぁと切に願っています。
私が必要としている今、すぐに変わることは難しいかもしれないけどこの先もっと子供を産みたいと思える世の中になっていってほしいです。
https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000480250.html
4人の子育ては本当に大変でしょう。より少ない人数を育てている我が家でもギリギリ、4人は全く想像できない世界です。
実はこの方、子育てを巡る制度で最も割りを食っている世帯の一つかもしれません。
多子世帯を余り考慮しない保育利用調整制度
4人の子育てをしていると、働ける時間は短くならざるをえません。仮に毎日18時まで就労していたら、外部の手助けを借りない限りは育児や家事が回らないでしょう。
大阪市の保育所等利用調整では、就労時間に応じて100点~60点の点数が付与されます。
保育利用調整基準
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000314/314970/bepyo011001.pdf
就労時間が短いと基本点数が低くなり、保育所等へ入所しにくい仕組みです。
一方、利用調整では育てている子供の状況を点数化している部分もあります。例えばきょうだいが通っている保育施設への申込や双子の同時申込です(調整指数表)。大幅に加点されます。
また、他の児童と同点になった場合には、養育している小学生以下のこどもの人数が多い世帯ほど優先されます(順位表4)。
多子世帯を全く考慮していないわけではありませんが、就労時間が実質的に限られる多子世帯が入所しづらい状況と言えるでしょう。
結果的に希望した保育所へ入所できず、少し離れた小規模保育へ通っています。
3歳児からの保育所転所が可能か
現在は小規模保育施設の1歳児クラスへ通っており、1年半後には卒園を迎えます。それに伴って保育所等の3歳児クラスへ転所したいと考えているそうです。
小規模保育施設の卒園と同時に保育所等へ転所する場合には「6点」が加点されます。しかし、就労時間が限られていると基本点数が低くなってしまい、転所するのは容易ではないでしょう。
多くの保育所等では、3歳児クラスの募集数は数名程度です。2歳児クラスからの持ち上がりが多数を占める為です。募集数が多い保育所等は、公立保育所や新設保育所等に限られています。
もしも保育所等へ転所できない場合は他の手段を選ばざるを得ません。幼稚園の預かり保育や企業主導型保育の利用が考えられます。
ただ、預かり時間や施設の充実さ等、保育所に劣る部分も少なくありません。難しい選択を迫られます。
子どもが4人いても無償にならない保育料
子供が4人いても、保育料が全面的に無償化されるわけではありません。
幼稚園に登園している第3子は大阪市独自の教育費無償化や全国一律の幼児教育・保育無償化により、従来から幼稚園保育料は無償だったと考えられます。
一方、小規模保育に登園している第4子は無償化対象ではないと考えられます(住民税非課税世帯を除く)。
保育施設には多子減免制度がありますが、基準となるのは「年長児以下の子供の数」です。
年長順で1 人目にあたる子どもの保育料には保育料金額表の表中の上段の金額が、2 人目の子どもの保育料は下段の()内の金額が適用され、3 人目以降の子どもの保育料は無料となります。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000185265.html
これに当てはめると「2人目の子ども」となるので、保育料は基準額の半額が適用されます。「年が離れたきょうだいは損」です。
また、給食費・道具代・遠足費等の実費負担部分は、原則として全額を負担します。子ども4人分の実費負担は重いでしょう。
幼稚園の延長保育料金も無償化
幼稚園の延長保育(預かり保育)に要する料金は、月額11,300円までが無償化対象とされます。
幼稚園、認定こども園の預かり保育料(保育の必要性があると認定を受けた場合)
日額上限450円(月額上限11,300円)支払った預かり保育料に対して給付
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000474690.html
無償化対象となるには、各幼稚園が申請手続を行う必要があります。
しかしながら、「預かり保育は希望者が多く、利用できない人もいる。利用者だけ無料では不公平になる」という理由で申請しない幼稚園が少なくないそうです。
現に神戸市では幼稚園の預かり保育の希望者が急増し、定員を上回る日が続いているそうです。
幼稚園の預かり保育希望急増 幼保無償化スタート
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012752375.shtml
無償化という制度ができても、利用出来なければ画餅です。利用出来ている方との不公平感ばかりが募ります。
多子世帯は本当に大変です
同じ保育所や小学校に通っている方の様子を見ているだけでも、多子世帯は本当に大変だと感じます。
子どもの数が増えるに従って逓減する費用もあります。
が、居住スペースの増加・きょうだい喧嘩の仲裁・家事育児に要する時間の極大化・送迎場所の追加等、手間暇やコストが2次関数的に増加していくのでしょう。
多くの子育て世帯が「子ども2人」となっているのは、子育てできる現実的な人数を注意深く確認している側面もあるかもしれません。
その反面、多子世帯への支援は十分とは言い難いでしょう。年齢を問わずに第3子の保育料を無償化している自治体もありますが、一部に限られます。
少子化が進むのも納得できます。