以前から阪南市が計画している600人規模の「総合こども館(認定こども園)」についてお伝えしています。

【阪南市・巨大こども園】住民投票を市は拒否・・・背景には老朽化・交付金が
【ニュース】大規模公立こども園と反対運動・・・・阪南市・八尾市
【阪南市・巨大こども園】反対・再検討を主張した新人が当選、現職市長は落選

この計画の反対・再検討を主張する新人が市長へ当選し、市議会の所信表明にて白紙撤回する考えを表明しました。

阪南市長“こども園白紙”表明
12月05日 11時41分

大阪・阪南市の水野謙二市長は、当選後、初めてとなる定例市議会で所信表明を行い、市内の幼稚園と保育所を1つのこども園に集約するこれまでの計画を、白紙撤回する考えを改めて示しました。
10月の阪南市長選挙で初当選した水野謙二市長は、5日開会した定例市議会の本会議で所信表明を行い、市が進めてきた、7つの幼稚園と保育所を1つの認定こども園に集約する計画について、「住民によるまちづくりを崩してしまう」と述べ、白紙撤回する考えを改めて示しました。
そのうえで、「早期に市民参画のもとで方針をまとめ、安心・安全な環境のもとで幼児教育や保育ができるよう取り組んでいきたい」と述べました。
今回の定例市議会では、来年度にかけて現在の幼稚園と保育所の耐震診断を行うための費用、1740万円を盛り込んだ補正予算案が提案されることになっています。
こども園の問題を巡って、阪南市は、今月2日、幼稚園と保育所のあり方や、こども園の建設予定地だった建物の活用方法について検討するプロジェクトチームを、庁内に立ち上げています。

http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20161205/4621951.html

所信表明は阪南市ウェブサイトに掲載されています。明確に「白紙撤回する」と述べています。関連部分を引用します。

次に、本市が直面している最大の懸案事項である今後の幼稚園・保育所のあり方については、一極集中による「総合こども館」計画は白紙撤回いたします。

一極集中は他方を排除する考え方であり、子どもたちの健康や成長、また親たちのくらしを脅かし、更には地域の子どもたちを地域で守るという住民によるまちづくり活動をも崩してしまいます。子どもたちは、未来の国を担う宝物です。地域子育て拠点の観点から、公立幼稚園・保育所の再配備を進めるべく、庁内の体制整備を行い、早期に市民参画の下、方針をまとめ、一日も早く安心・安全な環境の下、幼児教育・保育ができるよう取り組んでまいります。

http://www.city.hannan.lg.jp/mayor/1480991390871.html

白紙撤回に伴い、当面は既存施設を継続使用する方針だとされています。来年度から2年間の予定で既存施設の耐震診断を予定しています。

阪南市 保育所、幼稚園耐震診断年度内決定
2016/12/5 大阪

阪南市は、(仮称)市立総合こども館計画の撤回に伴い、既存市立幼稚園と保育所計6施設の継続使用のための耐震診断を来年度から2カ年で計画している。

http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/161130700022.html

とはいえ多くの施設が老朽化しているのは事実です。また、津波浸水想定区域内にある施設・入園児が著しく減少している施設もあります。改めて建替・統廃合等を再検討していくのではないでしょうか。

方針を固める前に、子育て世帯の声を聞いて欲しい

幼児教育・保育施設の整備方法や方針に明確な回答はないでしょう。未就学児人口数等に基づき、財政面・人員面等の制約も鑑み、各地の実情を踏まえた上で合理的に進めていくのが最大公約数的な考え方ではないでしょうか。

阪南市の場合、未就学児の保護者・地域住民・これから出産を予定している世帯等の声を聞かず、家電量販店の居抜き・補助金の活用ありきで、一方的に計画を推進したのが大きな間違いだったのでしょう。

子育て施設の再編を予定している自治体は少なくありません。一部の自治体では住民が反発し、署名活動・陳情書の提出等を行っています。

子育てや地域の実情を知っている子育て世帯等の声を無視して進めても、どこかで不具合が生じるのは目に見えています。一定の方針を固める前の段階で大まかな考え方を公表し、幅広く意見等を募るべきだったと感じます。

行政内部での方針がほぼ固まった段階で「説明会」「パブリックコメント」等を実施しても遅すぎます。もっと早い段階で現状・考え方・財政制約等を公表し、「住民と共に考えていく」のが重要でしょう。

ここで言う住民とは町内会ではありません。多くの町内会では主要メンバーは高齢者が多く、子育て世帯は参加・発言しにくい雰囲気があるのではないでしょうか。また、町内会に加わっていない賃貸マンション等の住民も少なくありません。

マスコミ報道で知る前に、行政から住民へ直接伝えるのが望ましいです。繰り返しになりますが、町内会関係者に伝えても子育て世帯には伝わりません。

また、住民もバカではありません。地域事情に精通した人間・専門知識を有した人間・子育てで苦しんでいる当事者もいます。共に考え、より良い計画を作り上げていくのが求められるのではないでしょうか。