大阪の話題なのに、関東エリアでしか配達されていない東京新聞で大きく特集されています。
阪南市・八尾市で既存の公立保育所・幼稚園を「こども園」へ統廃合する動きが相次いでいます。一方、大規模化・定員減・通いにくくなる事等を理由として、反対運動も生じています。
記事の趣旨は下記の通りです。
【阪南市】
・3保育所と4幼稚園を、元家電量販店の建物を利用するこども園へ統合する計画。
・定員は630人(既存施設の定員合計と同一)。
・既存施設は老朽化が進行、津波の浸水想定区域や狭隘な道路区画にある。
・全施設を建て替えると25億円、集約化すれば15億円で済む(補助金?)
・住民投票を求める署名12600筆を提出したが、市は実施を拒否。
【八尾市】
・7保育所と19幼稚園を、5つのこども園へ再編する計画。
・合計定員は現行の1782人から1055人へ減少する。
・統合により、年間運営費が年20億円から15億円へ削減される。
・片道10分弱だったのが50分掛かるケースも生じる。
・私立施設もあるが、保育料以外の実費負担部分の違いが大きい。
都心部を中心に待機児童問題が深刻化している一方、少子化によって充足率が低下している幼稚園・保育所等が増加しているのは事実です。特に公立幼稚園・保育所は忙しい親のニーズとの乖離が生じているケースが少なくなく、私立施設以上に充足率が低下している地域が珍しくありません。
こうした公立施設は少子化に合わせて統廃合する、保育時間や教育内容等を再検討して魅力溢れる施設へ生まれ変わる、住民ニーズに応えやすい民間団体へ委託・譲渡する等、様々な考え方があるでしょう。充足率が大きく低下したまま運営し続けるのは、特段の理由がない限りは難しいでしょう。
公立施設を維持し続ける為には、一定の基準を元に統廃合を行って財政支出を削減するのはやむを得ません。しかし、物事には限度があります。過度な統廃合・大規模化等は、登園時間・費用面で児童や保護者に大きな負担を掛けてしまいます。
また、自治体の意向だけで統廃合計画を推し進めてしまうと、保護者や住民等の強い反発を招いてしまいます。全ての保護者等は反対しているわけではないでしょう。賛成・条件付き賛成・反対等、様々な意見の人間がいるでしょう。
必要なのは対話と時間です。役所や議員が保護者等の意見を聞き、丁寧に説明を繰り返し、対話を行う姿勢が重要です。阪南市・八尾市では何度も説明会が行われましたが、紛糾したまま終わったそうです。
では両市はどうすべきなのでしょうか。多くの保護者の不満は「大幅に遠くなる」「定員が減るので入れなくなる」「規模が大きすぎる」という点でしょう。「統廃合への反対」に集約されます。こども園その物に対する反対意見は少ない様で、専門家が指摘しているのみです。
しかし、両市には多数の私立幼稚園・保育所もあります。私立施設もフラットな条件で選択できる様に、様々な補助制度を拡充して対応していくべきでしょう。こうした指摘は八尾市も意識している様子ですが、実費負担部分に踏み込んだ補助制度は見つかりませでした。
都市部の場合、幼稚園・保育所の多くは私立です。八尾市の場合は約7割が私立、約3割が公立だそうです。公立施設が減少し続けても、私立施設がより充実した保育・教育を行える施策が望まれます。