「ワンオペ育児」という言葉、聞いた事がありますか? 両親が共にいる家庭であっても、育児や家事の負担は片方に偏るケースが専らではないでしょうか。実家から遠く離れた地で、全てを1人で切り盛りしようとしていると、ふとした衝動で緊張の糸が切れてしまいます。、

育児で特に辛さを感じるのは、どういった時でしょうか。私の場合は子供の相手に忙殺され、ふと「どうしてこんな事をしてるんだろう・・・・」と思い返した時でした。話し相手がおらず、一人でふさぎ込んでしまった時は危険です。

「ワンオペ育児」。母親たちの間で、そんな言葉が広まりつつあります。牛丼店などで従業員1人が全ての業務を切り盛りすることで問題になった「ワンオペ(ワンオペレーション)」が語源で、育児や家事を1人で担い、破綻(はたん)寸前の状況をあてはめています。背景にあるものは。

「遅くなります」。夕方、夫からメールが届く。2歳の娘がいる中国地方の主婦(31)の心はしぼむ。

不妊治療を経て出産。「待ち望んだ子だから何があっても大丈夫」と思っていたが、母乳育児でつまずいた。何をしても泣きやまない娘を布団に置き、ベランダで泣いたこともあった。

周囲に子どもは少なく、気軽に相談できる友人もいない。「娘がかわいいから頑張れる」と言う残業続きの夫に悩みを打ち明けられず、「専業主婦だから家事も育児も頑張らなきゃ」と思い詰めた。車で2時間の実家に帰ると「ここで子育てできたら」と思うこともあるが、夫も娘の顔を見るのを楽しみに働いている。「ワンオペ育児でつらい」。ブログにつづった。

(中略)

東京都品川区の女性(34)はツイッターでこの言葉を見つけ、「私のことだ」と思った。フリーランスでウェブ系の仕事をしているが、4月の出産後に生活は一変。泣く子をなだめながら、ご飯をかき込み、お風呂にもゆっくり入れない日々が続いた。

IT企業で働く夫は深夜までの残業が日常。自身もかつては同じように働き、出産2週間前まで働いただけに、気持ちはわかる。夫に気を遣って別々の部屋で寝ていると、「気付かないうちに子どもに何かあったら」と思うと気が張って眠れなくなった。土日は同僚が出勤しても夫は休みを取ってくれる。でも、生活が激変した自分との違いに不公平感が募った。

子どもをかわいいと思えず生後1カ月の時、「このままだとおかしくなる」と実家へ。専業主婦の母は「男の人はそういうもの。期待しちゃだめ」と、かみ合わない。友人にも話しづらく、ツイッターだけがはけ口だった。

(中略)

小4と5歳の息子がいる宇都宮市の編集者の女性(38)は長男が3歳の頃、夫が中国に単身赴任した。元々家事には協力的でなく、「いなくても同じ」と思っていたが、次男が生まれると限界が来た。

午後5時に退社し、学童保育と保育園を回って2人を引き取り、買い物と夕食を済ませ、お風呂に入れ、寝かしつけるともう午後10時過ぎ。子どもたちより先に寝てしまうこともあり、持ち帰った仕事があれば、午前4時に起きてした。次男が風邪をこじらせ入院しても付き添いができず、次男を抱っこして階段から落ちて尾てい骨を折った時は湿布を貼って乗り切った。

http://www.asahi.com/articles/ASJCY5TRTJCYUTIL05F.html より引用

周囲でも多い「ワンオペ育児」

お世話になっている保育所でも「ワンオペ育児」に陥っている方は少なくない様子です。身の回りだけでもご主人が東京へ単身赴任中・西日本エリア担当の営業職で平日は出張で外泊ばかり、貿易商で専ら海外にいる、残業や早出続きで会話をする時間すらない、という話を聞きました。

その背景には景気回復で仕事が忙しくなり、増員した社員の指導や教育等に追われている、就職氷河期等の影響で同世代の社員が少ないので負担がのし掛かっている、といった状況が窺えます。

形式上は夫婦+子供という世帯でも夫が仕事等で忙しくて不在がちで、育児や家事の負担がほぼ全て妻に掛かってくる構図です。

どちらかの実家が近所にあれば助けになるでしょう。しかし、都市部の核家族世帯では双方の実家が遠かったり、また両親が死去・要介護等で頼れないケースが少なくなりません。

日中は仕事で疲れ、退社後は保育所等へ迎えに行き、帰宅後はうるさい子供を宥めながら夕食や就寝準備に追われ、気づいたら朝を迎えてしまうでしょう。

少しでも子供から離れられる平日はマシかもしれません。保育所等へ通わない土日は更に悲惨です。朝から夜までずっと子供の相手をしなければなりません。疲れ果ててしまい、ついつい口調が厳しくなる事もあります。

私も経験があります

私もこうした時がありました。残業は仕方ないと諦めていましたが、飲み会や接待続きで深夜まで帰ってこない、土日も付き合い等で外出が続く時は何も考えられなくなりました。

調子がおかしくなってくるのは自覚できました。ぼーっとする時間が長くなる、深く寝られない、食器を落とす、子供の登園準備で忘れ物が増える、といった症状が頻出してきました。

誰かに聞いて欲しいけど話す相手がいない、一人で溜め込んでしまうと話は悪い方向へ向かいます。子供を保育園へ迎えに行かず、携帯電話を放置してしまおうと思った事もありました。

話を聞いてもらったのは保育園でお世話になっている保育士さんでした。業務外だとは承知の上、溜まった愚痴をあれこれ聞いてもらいました。家庭内の事情を一方的に聞かされて、内心では閉口していたかもしれません。

記事で取り上げられた方は、ブログやツイッター等ではき出していました。SNS・電話・ネット・匿名掲示板・・・・・・場所はどこでも良いでしょう。重要なのは思いをぶちまけ、誰かに聞いて欲しい、そして少しでも共感して欲しいという点ではないでしょうか。

「手抜き」の重要性

そうした中、一つ気づいたのは「手抜きの重要性」でした。育児や家事を全て一定レベルで続けるのは容易ではありません。無理だと思ったら第三者(機械を含む)に委ね、最低限のレベルを維持できれば良いと割り切りました。

一時期は洗濯以外の育児・家事を徹底的に手抜きしました。食事は外食や調理済み食品ばかり、子供はアニメ番組を見させて放置、保育所への連絡帳には「しんどいので手抜きしています」と書いていました。

「夜には帰ります」と書き置きと割れた食器を残し、早朝から外出した事もありました。事態の深刻さにようやく気づいたのか、以後、飲み会等の回数を調整する様になりました。

12月は忘年会・送迎会等が多い時期です。孤独な時間が更に長くなるかもしれません。

「手伝い」じゃダメ、1人でやって欲しい

家事や育児のほぼ全てを妻が担うのは困難です。負担以上に「孤独」という精神的な重圧がのし掛かってきます。仕事をしていても、帰宅したら一人で子供の相手をしなければなりません。手が掛かる「魔の2歳児」の育児中は深刻だと思います。

食事の準備や保育園への送迎等を少し手伝う程度では、事態は解消しません。必要なのは「手伝い」ではありません。1人でやって欲しいのです。たまには妻が1人で過ごす時間がないと潰れてしまいます。

食事の準備や片付け・保育園への送迎から解放される日を作って下さい。週1回ぐらいは朝夕に保育園へ向かい、食事の準備から片付けまで夫1人で行う日があっても良いでしょう。

また、土日のどこかで子供の相手をし、妻が1人で外出できる時間を作ってあげて下さい。美容室でパーマをあて、デパート等で新商品を眺め、1人でコーヒーを飲みながらぼーっとする機会が必要です。数時間でも家事や育児から完全に解放されたいのです。

バロメーターは「夫が単独で家事や育児等を行っている時間」です。妻と一緒に家事等を行っている時間は含みません。あくまで「単独」です。

皆さんのご家庭はいかでしょうか? ご主人は1人で家事や育児ができますか?