大阪市は保育所等への入所手続が一歩早く進んでいますが、多くの自治体では申込の真っ最中です。そうした中、来年度は入所するのが更に難しる様相を呈している自治体が少なくありません。

保育所入所と待機児童、様々な事例を朝日新聞が取り上げています。

消耗戦化する「保活」 出産前から・加点戦略いまや常識

2016年11月27日05時03分

来春の保育園の入園申し込みが秋から各自治体で始まり、入園先を探す「保活」が本格化している。「保育園落ちた日本死ね!!!」との匿名ブログをきっかけに認可園に入れない「待機児童問題」がクローズアップされてから、初の保活シーズン。政府は2017年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げるが、都市部では過酷さが増している。

「こんなに厳しいなんて。3月生まれを妊娠した自分が悪いのか……」

保活を始めた大阪市天王寺区の病院職員橋本真菜さん(29)は、がくぜんとした。来年3月に出産予定で、早めに復職したいと思っている。夫と共働きなので優先されると楽観していたが、つわりが落ち着いた9月末に区役所に電話で状況を尋ねたら「認可保育園は無理。認可外に預けて待つしかない」と断言された。

認可園は保育士配置などの国基準を満たし、保育料も認可外園より安い場合が多く人気が集中する。自治体が募集する4月入園が一番入りやすいが、同区では生後6カ月以上が対象で来年4月は無理。空いていれば年度途中で入れるものの、待機児童が多い同区では期待薄だ。橋本さんは望みをかけてほかの区の園も探し始めたが、入れないまま再来年4月になると1歳児クラスへの入園となる。0歳児の持ち上がりで枠が絞られ、最も入りづらい年齢だ。

1歳より0歳、0歳より生まれる前と、保活の開始が今、早まっている。

http://digital.asahi.com/articles/ASJCM4Q1FJCMUTFL004.html より一部引用(以下同じ)

年度前半生まれと比べ、年度後半に生まれた児童は保育所等への入所が著しく難しくなっています。

大阪市の場合、原則として入所できるのは生後6ヶ月以降とされています。前半生まれの児童は4月一斉入所にて入所倍率が比較的低い0歳児クラスへ申し込めるのに対し、後半生まれは4月一斉入所で申し込めない為です。

記事で取り上げられている天王寺区は、大阪市内で最も入所するのが難しい区の一つです。0歳児入所倍率は1.14倍、それに比べて1歳児は2.14倍という厳しさです。

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復職のタイミングは2つでしょう。1つは生後半年過ぎに保育施設を利用して復職する、もう1つは育休を少し延長して満1歳1ヶ月を迎える4月に復職する方法です。

前者の場合であれば、復職と同時期に保育所等への入所申込を行うでしょう。しかし、天王寺区の0歳児クラスは殆どが4月で埋まってしまいます。僅かな空きも5月・6月頃にはほぼ全て埋まってしまいます。復職する9-10月に空きが残っている可能性はほぼありません。

となると、認可外保育施設を利用して復職する方法が考えられます。しかし、天王寺区の様に保育所等への入所が難しい地域では、認可外保育施設への入所すら難しいケースが専らです。入所したい時期に空きがある可能性は低いでしょう。

一部の施設では入所予約という形式で受付を行うケースもあるそうです。ただ、一定額の入所金が必要となり、月々の保育料と合わせて家計を圧迫します。

もう一つの選択は1歳を過ぎた4月に復職する方法です。入所申込さえしておけば、育休延長は可能でしょう。しかし、1歳児クラスへの入所は至難の業です。

上で触れたとおり、同区の1歳児入所倍率は2.14倍です。入所申込者の内、半数以上は入所できません。1歳児クラスへ入所した児童の多くは、フルタイム共働き(200点)に加えて何らかの加点(きょうだい加点7点・認可外加点5-7点等)を有しているケースが少なくありません。

復職と同時に申し込むのであれば、恐らくは加点なしの200点となるでしょう。200点で1歳児クラスへ入所できる可能性は高くありません。

何れの選択肢であっても、保育所と認可外保育施設の双方を検討する必要があります。「認可保育園は無理。認可外に預けて待つしかない」という言葉は、天王寺区の厳しさを表しています。