お悩み相談
今回はちょっとした架空のお悩み相談を取り上げてみます。
育児休業からの復職と同じタイミングで、0歳児の年度途中入所が決まりました。しかし、第3希望の保育所等でした。第1希望の保育所が忘れられません。入所してすぐに転所届を出すか、第1希望にこだわって断るか迷っています。
待機児童問題が深刻だと叫ばれているこのご時世、幾つかの保育所等を希望してどこかに決まれば運が良いのかもしれません。一方、いざ入所が決まってから冷静に考えると、「実は他の保育所等の方が良かった」と思う事もあるでしょう。どうすれば良いのでしょうか?
2つの選択肢のメリットとデメリットを比較してみます。
入所し、すぐに転所届を出す?
大切な子どもが一定の認可基準を満たした保育施設で過ごせます。保育料は応能負担で定められており、特に育児休業明けは保育料が低くなるのが専らです(育児休業給付金は非課税の為)。
一方、入所後の転所は決して容易ではありません。やむを得ないと認められる場合を除き、選考における基本点数が半分とされてしまいます。やむを得ない事由がない限り、転所は事実上不可能です。
ただ、転所できない場合であっても、在籍している保育所等でそのまま保育を受けられます。
内定を断る?
第3希望の保育所等を断り、第1希望の保育所等の空きを待つという方法もあります。しかし、デメリットやリスクは大きいです。
復職時期を動かせない場合、当面は認可外保育施設を利用せざるを得ません。一般的に保育料は保育所等より高額です。特に育児休業明けは差額が大きいです(理由は上記参照)。
最も大きなリスクは「そもそも第1希望の保育所等が空くか、空いても自分が入所できるか不明」という点です。年度途中入所は原則として退所者と入れ替わりなので、いつ空くかは運任せという要素が強いです。
また、仮に空いたとしても、同じ施設を希望している他の児童との競争となります。より点数が高い児童が優先されます。待機児童問題が深刻な地域では、両親フルタイム&認可外保育施設に在籍して待っている児童が少なくありません。こうした児童は205-207点を有しています。
これに追い打ちを掛けるのが、利用内定辞退者へのペナルティ措置です。正当な理由なく利用内定を辞退する等して公正な利用調整に支障を来す行為を行った場合、同一年度内の利用申込において5点が減点されます。
これらをまとめると、「内定を断った場合、同一年度内は途中入所は極めて難しい」という結論に至ります。次年度の一斉入所募集を待たざるを得ないでしょう。ただ、認可外保育施設利用として加点されるので、相対的に入所しやすくなります。
結論は難しい、少なくとも保育料は大きな差が
どちらが良いか、一概に結論を出すのは難しいです。内定した保育所等での保育を絶対に望まない、もしくは第1希望の保育所等へどうしても入所したいのでしたら、内定を断って来年4月の入所を待つべきでしょう。
しかし、4月になっても入所できる保障は何らありません。それどころか希望する保育所等に全く入れず、認可外保育施設の利用を継続せざるを得ない可能性もあります。
一方、そこまでの思い入れがないのでしたら、内定した保育所等へ入所してしばらくお世話になるのが良いと思います。気に入れば卒園まで在籍できますし、やはり転所したいなら転所届を提出できます。
明白な違いは保育料です。育児休業給付金は所得税等が非課税の為、保育料の算定基準に含まれません。その為、算定期間が育休期間と重なると、保育料は低く算出されます。世帯所得によって違いはありますが、年間で数十万円の違いが生じるケースもあります。
こうした悩みを防ぐには
悩みが生じてしまった原因は「希望する保育所等をしっかり考えなかった」という点にあります。入所申込書を提出する前には、候補となる保育所等を必ず見学して下さい。周辺環境・保育内容・保育時間・施設等に大きな違いがあります。
注意が必要なのは地域型保育事業・認定こども園等の新たな施設種別です。多様な保育が提供される一方、保育所とは異なる制約も設けられています。2歳児までの保育を行う地域型保育事業は卒園後の預け先、こども園は3歳児以降の保育・教育内容や預かり時間に注意が必要です。
見学不足等に関しては、経営者サイド(下記発言はとある幼稚園理事長)も困っている様子がうかがえます。
例えば、今言ったような重要事項を読まずに来られる方が、去年もうちの園に30人入ったけれども、ほとんど読んでなくて、今年16人来たのですが、16人、この4月に入るのですが、その方たちに聞いても、やはり16人中6人しか重要事項を読んでないのですよ、基本的に。ほかは見たことないみたいな言い方をするのでね。
区役所の方とか、大阪市の広報では、きちんと保護者の方に重要事項を読むように周知しているとか書いてあるのだけれども、全然親はわかってないので、やはりそういう入り口のとこら辺の利用申し込みをする時点でのときに、きちんと親が自分のこどもを預けるのだから、やはりそこの園へ行って、保育も見て、ここだったら安心して預けられるなという思いを持って利用申し込みを書いてもらわないと、
何でもいいからとりあえず書いておけって、コインロッカーと違うから、そんな預け方はおかしいと私は思うので、そこら辺はきちんと大阪市が制度をつくってもらわないと、本当に悲劇はこどもと親がこうむる
重要事項とは、施設の目的、運営方針、 教育・保育の内容、職員の状況、開園日・開園日数、保護者から受領する利用者負担額の種類や理由、金額などが記された文書です。
希望する保育所等に要求したら受け取れるでしょうし、Web上で公開している保育所等(例:西区の新町保育園)もあります。申込前に必ず読むべき書類です。
小さな乳児を育児しながらの見学・書類読みは本当に大変です。しかし、大切な子どもを長期間にわたって託す施設を選ぶには、それだけの慎重さが求められます。内定してから悩むのではなく、申込前にしっかり考えてみて下さい。
コメント失礼致します。
こちらの記事で少し気になる所がありました。
認可園から認可園への転園はやむを得ない時以外、半分の点数になるとの事ですが、区に寄って違うと思います。
私は東淀川区ですが、申込書には基準点が半分になりますとかかれていたので直接問い合わせたところ、市で決まっている内容なので、書いていますが、東淀川区ではその処置はとっておりません。との回答でした。
現に1歳児から2歳児にあがるタイミングで第一希望の園に転園出来ました。そして減点の対象にもなりませんでした。
ですのでもしかすると区ごとに特殊ルールがあるかもしれません。
少し気になりコメント残しました。
コメントありがとうございます。「やむを得ない」事情の判断基準が区・担当者によって異なる可能性はあるでしょう。こうした場合は、申込前に予め区役所に問い合わせるのが一番です。