平成26年10月1日における大阪市の保育所入所待機児童数が公開されています。
前年同期と比較して、待機児童・入所保留児童は共に減少しています。

平成26年10月1日現在における保育所入所待機児童数は、本年4月1日に比べて153人増加、前年度の同時期に比べて69人減少し、377人となりました。入所保留児童数については、昨年の同時期より533人減少し、4,824人となりました。

一方、保育所在籍児童数は昨年度の同時期と比べて738人増加し、47,194人となりました。

(以下省略)
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000292810.html

様々な考慮要素が含まれる待機児童数と比較し、入所を申し込んだにも関わらず入所できなかった入所保留児童数は保護者感覚により近いものがあります。
そこで、各区毎の入所保留児童数を昨年同期と比較しつつ、2月に発表される今年4月の一斉入所の状況を少し考えてみます。

入所保留児童数就学前児童数保留児童/全児童
H25/10H26/10前年比H25/4H26/4前年比H26
北区308211-974,8135,0652524.2%
都島区347176-1715,1655,178133.4%
福島区298210-883,8583,895375.4%
此花区217257403,5763,570-67.2%
中央区193263703,8134,0912786.4%
西区284277-74,6794,8771985.7%
港区149147-23,8823,721-1614.0%
大正区10256-462,9262,806-1202.0%
天王寺区122166443,8444,0021584.1%
浪速区16790-772,2112,306953.9%
西淀川区203196-75,1354,984-1513.9%
淀川区383422398,1698,112-575.2%
東淀川区440307-1338,4778,277-2003.7%
東成区11287-253,7653,705-602.3%
生野区11498-165,3305,229-1011.9%
旭区14814804,0323,973-593.7%
城東区25326078,8178,493-3243.1%
鶴見区277239-387,5877,567-203.2%
阿倍野区213230175,0535,2521994.4%
住之江区286239-475,8665,648-2184.2%
住吉区239266277,4717,396-753.6%
東住吉区103160575,8335,83302.7%
平野区244227-1710,3179,939-3782.3%
西成区15592-633,4803,398-822.7%
53574824-533128,099127,317-7823.8%

大半の区では入所保留児童数がH25/10よりも大きく減少しています。
特に都島区・東淀川区では100人以上の大幅減となっています。
都島区では積極的な保育所の新設が効果を挙げ、東淀川区では保育ママの新設(保育所入所申込の一部取下げ)に就学前児童数の大幅減少が重なった為だと考えられます。

一方、此花区・中央区・天王寺区・淀川区・阿倍野区・住吉区・東住吉区では入所保留児童数が前年同月より10人以上も増加しています。

就学前児童数に占める入所保留児童数の割合(入所保留率)が市内で最も高いのは此花区です。
平成26年10月において7.2%となっています。
就学前児童数は前年比ほぼ横ばいでしたが、入所保留児童数が40人増加しています。

H26一斉入所結果において、此花区の新入所者平均点は前年より4.68点上昇していました(詳細はこちら)。
入所保留率が上昇したのは、この延長線にあるのでしょう。
特にユニバーサルシティ駅・安治川口駅・西九条駅・伝法駅周辺で入所保留児童が多く発生していると推測されます。
以前から繰り返し指摘していますが、ユニバーサルシティ駅周辺にはこぐま此花保育園しかなく、ホットスポット的に保育所へ極めて入所しにくい地域となっています。

入所保留率が次に高いのは中央区・西区です。
両区とも子育て世帯の転入が盛んで、就学前児童数は大幅に上昇しています。
入所保留児童数は西区は横ばい、中央区は70人の大幅増となっています。
西区は保育所の新設を積極的に進めた結果、何とか前年同値となったと言えるでしょう。
新設が予定通りに進まなかった中央区は大幅増という結果となっています。

入所保留率以上に入所しにくいと考えられるのは、天王寺区・阿倍野区です。
両区とも就学前児童・入所保留児童が共に増加しています。
ただ、阿倍野区はあい保育園昭和町が11月に開所しており、調査時と比較して入所保留児童数は大きく減少しているでしょう。

淀川区は再開発が盛んな三国・宮原地区に多くの未就学児が転入して入所保留となっている一方、それ以外の地域では転出が相次いでいると推測されます。
来年4月に西宮原に保育所が新設されますが、それ以上に未就学児童の転入が発生するのではないでしょうか。

住吉区・東住吉区では保育所が新設されていません(一部保育所では増築あり)。
小規模保育施設・保育ママで保育需要に応じる計画でしょう。

入所保留率は依然として高いながらも入所保留児童数が大きく減少したのは福島区です。
保育所の新設・増築が効果を挙げていると考えられます。
今年4月にはあい保育園玉川、10月には吉野2丁目に新たな保育所が開園します。
福島区の入所保留児童数は今後、更に減少していくと考えられます。

これらからH27一斉入所(今年4月入所)を推測してみます。

(1)中央区・西区・天王寺区はやはり厳しい
市内中心部の3区で保育所へ入所するのは、依然として厳しいままです。
就学前児童数の増加傾向は顕著であり、入所保留児童数が低下する予兆は見えません。
何れの区でも保育所新設が進められていますが、恐らくは追いつかないでしょう。

(2)都島区・福島区では保育所新設の効果が出ている
積極的に新設を進めていて、入所保留児童数は大幅に減少しています。
就学前児童数はほぼ横ばいとなっており、入所保留児童数は一定程度まで減少するのではないでしょうか。
市内中心部に住むのであれば、保育所入所という観点からはこの2区がオススメです。

(3)此花区(特にユニバーサルティ駅)は要注意
海・川によって地域が分断されている為、特定の保育所のみを第1希望として申込みせざるを得ず、実質的に第2希望以下の保育所が選びにくい状態です。
ユニバーサルティ駅周辺から安治川を超えて朝潮橋駅周辺へ渡れるルートがあれば良いのですが。
桜島駅-天保山公園の渡し船があるにはあるのですが・・・・。

(4)住吉区・東住吉区は前年より入所しにくくなりそう
入所保留児童の殆どはH27一斉入所申込を行っているでしょう。
両区とも私立幼稚園が少なくなく、保護者のニーズとのミスマッチが増大していると推測されます。

余談となりますが、各区毎の就学前児童数の増減の違いがハッキリしています。
増加しているのは北・都島・福島・中央・西・天王寺・浪速・阿倍野のみと、見事に市内中心部ばかりとなりました。
大阪市内という狭いエリアにおいても、就学前児童が集中する地域とそうでない地域に二極化しています。