2026年度より中学校部活動の「地域移行」が本格化します。
2026年度から中学校部活動の「地域移行(地域展開)」が本格化し、休日だけでなく平日も段階的に学校外の地域クラブへ移行する「改革実行期間」が始まります。スポーツ庁は2026年度までに68%の自治体が休日移行を目指すと見ており、神戸市などが休・平日ともに完全移行する先行例となる一方、指導者不足や運営費用の問題も指摘されており、2031年までの完了を目指しつつ、自治体ごとの状況に応じた進展が予想されます。
2026年度からの主な動き
「改革実行期間」の開始:2026年度から2031年度までを「改革実行期間」とし、休日移行に加え、平日の地域クラブ活動を定着させます。
「地域展開」への名称変更:学校から切り離すイメージを払拭するため、「地域移行」から「地域展開」へと名称も変更され、学校・地域が一体となった取り組みを強調しています。先行事例の本格化:
神戸市:2026年9月より休日・平日ともに完全に地域クラブ(KOBE◆KATSU)へ移行予定。学校の枠を超えた活動や、会費制での運営が特徴です。
奈良市:2026年度から休日・平日問わず全面的に移行する方針を固めています。
目標:2026年度末までに、休日の地域移行を目指す自治体が68%に達する見込みです。背景と目的
教員の働き方改革:教員の長時間労働の解消が主な目的です。
少子化への対応:生徒数の減少で学校単位での維持が困難な状況に対応します。
多様な活動の推進:生徒が学校の枠を超えて、より多様な種目やレベルで活動できる機会を提供します。課題と懸念
指導者確保:専門的スキルを持つ指導者の確保が難しい。
運営の持続性:指導者の報酬や活動場所の確保、費用負担(会費制など)の課題。
体制未整備での移行:一部の自治体では、体制が整う前に性急に移行することで混乱を招く懸念も示されています。今後の見通し
国は「改革推進期間」(2023-2025年度)を経て、2026年度からの「改革実行期間」で平日の改革も本格化させ、2031年の目標達成を目指します。
自治体ごとの進捗状況は異なり、成功事例の共有と、地域の実情に合わせた段階的な取り組みが進められる見込みです。(GoogleAIによる概要)
各自治体で地域移行が進められています。政令市である神戸市は学校での部活動を全廃し、「神戸の地域クラブ活動」=「KOBE◆KATSU(コベカツ)」へ移行します。
大阪市は概ね従前通りの部活動を継続
一方、大阪市では目立った動きは聞こえてきません。一部の地域で民間事業者に委託するモデル事業を実施していますが、全体としては従前通りの部活動を継続しています。
部活動の地域移行事業(大阪市)
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000659661.html
大阪市には130の中学校(1606部活動、参加生徒約4万人)がある。大都市であり、人口減少が緩やかなため、早急な地域展開の必要性が少なく、当面は部活動の在り方について検証を重ねながらも、現在の活動を継続できる見通しが立っている。加えて「部活動改革」の一環で18年に整備された「部活動指導員制度」があり、登録した多くの外部指導者が教職員に代わって指導に当たっている。
つまり現時点で、地域展開のメリットとして掲げられた「生徒の活動機会の確保」「指導内容の専門性向上」「教職員の負担軽減の推進」のいずれも確保した状態で部活動を運営できている。
ただ、市内でも地域差はある。人口が増えている中央区や西区と、少子化の影響が強い此花区や大正区などでは実情が大きく異なる。このため、大阪市は地域展開にあえて大きなアクションは起こさず、部活動指導員を交えた現在の運営体制を維持・拡大・改良していくスタイルを現在は採っている。
大阪市も他の自治体と同様に、モデル事業には積極的に取り組んできた。23年度より運営を民間事業者に委託する形でモデル事業を開始。そのモデルとなる拠点は市内4つの教育ブロックにそれぞれ1拠点ずつ設置された。
「2年間のモデル事業を通じて一つの気づきを得た」と話す市教委の総括指導主事、渡辺隆明さん。気づきとは、パラリンピック正式種目の「ボッチャ」や「マンガ・イラスト」など、通常は学校の部活動にない種目の体験活動の存在が有意義であることだった。「こうした活動があるおかげで、学校の部活動には入っていなかった生徒の新たな居場所をつくれた」と渡辺さん。「生徒の選択肢にさらなる多様性を加えられる。また、本市の特徴を踏まえ事業を展開していくことが、子どもたちのさらなる活動の場や可能性の創出につながり、市として強みの一つになる」と続ける。
「何よりもまず生徒たちの環境の確保、発展を第一に考えている。教師の負担軽減も考えつつ、生徒にとっても先生にとってもより良いものを見つけていきたい」と話していた。
我が家がお世話になっている中学校でも、昔ながらの部活動を行っています。原則として活動日は平日4日間と土日のどちらか(週5日)、活動時間は1日2時間程度、定期テスト1週間前等は休みとなっています(公式戦前等は例外あり)。
以前はより活動日や活動時間が長かったそうですが、大阪市立桜宮高校での自殺事件の教訓から大幅に短縮したそうです。大阪市部活動指針に詳しく記されています。
上記指針が部活動に関するガイドラインとなっています。仮に部活動で何らかの問題が生じても、指針を基に学校側と話し合い等ができます。
部活動指導員は好評
最近は部活動指導員を導入する部活動が顕著に増加しています。指導する部活動に係る専門的な知識・技能を有する学校外の人間が指導等に従事する制度です。数年前は一部の部活動のみで導入されていましたが、今や大半の部活動で指導員が関わっています。
子供が属している部活動にも指導員がいます。現役の大学生だそうです。週3日程度は指導に来校しているらしく、子供は「分かりやすくて良い」と歓迎しています。
指導員には優秀な人材が集まっている様子です。大阪市としては破格の待遇を準備しました。時給2,597円です。
教員の負担が大幅に軽減されたそうです。顧問の先生もいますが、平日の指導は指導員に任せている日が多いです。代わりに職員室等で教員としての事務処理等を行い、部活動が終了する時間帯に顔を出しているそうです。
土日等は学校外で練習試合や大会に参加する日もあります。顧問の先生が引率し、部活動指導員も加わって試合前の指導や応援等を行う事もありました。
学校には様々な部活動があります。顧問の先生がその活動の経験者という訳ではありません。未経験者が指導するよりも、経験があって現に活動している指導員が指導した方が効果的なのは当然です。子供の上達も早いです。
ただ、大阪市の部活動にも課題はあります。先に紹介した大阪日日新聞の記事にもある通り、生徒数の減少によって活動できる部活動の数が減少しています。お世話になっている学校でもここ数年でいくつかの部活動がなくなりました。
「活動したい部活動が学校にない」という課題もあります。学校選択制を利用して隣接する学区の中学校へ進学した生徒もいれば、学校外のクラブ(「外部活」と呼ばれています)に参加している生徒もいます。後者では本格的な指導を受け、スポーツ推薦等で進学する生徒もいます。
地域移行の課題に直面している他自治体の様子を見聞きしていると、概ね従前通りの活動を継続する大阪市は恵まれていると感じています。親としては部活動が学校で完結し、大阪市や学校の管理下にあるのが心強いです。
費用面でもありがたいです。学校での部活動では月謝等は不要です。必要な道具類を自己負担で購入するだけで済みます。決して安い物ではありませんが、一度購入すれば長く使えます。
神戸市の地域クラブの会費が高い!
神戸の地域クラブ活動「コベカツ」で驚いたのは、活動日の短さと月謝の高さです。とある中学校で活動するクラブ一覧を例に挙げます。
会費は月額3,000円~8,000円となっています(地域ボランティアを除く)。スポーツクラブ等と比べると安い金額ですが、月謝が掛からなかった学校の部活動と比べると高く感じてしまいます。会費以外の実費負担も発生するでしょう。
活動頻度も高くありません。週3日~週5日が多く、中には月1回(会費は年5万円)というクラブもあります。
勉強等で忙しい中学生にとって、これぐらいの頻度が理想的なのかもしれません。ただ、部活動の頻度が下がった事によって生じた時間を有意義な活動に用いるかは人それぞれでしょう。少なくない中学生は動画やSNS等に没頭しかねません。
地域クラブは責任の所在も不明確です。これまでは先生や学校長等に相談していたのですが、地域移行後は異なるでしょう。学校・地域クラブ・教育委員会の間でたらい回しにされないかが不安です。
批判される事も多い大阪市の教育行政ですが、小学校の「いきいき」や中学校の部活動の継続等、授業外における学校での活動時間・場所を創出するという面では非常に優れていると感じています。
課題は学習指導ですね。様々な取り組みは伝わってきますが、目に見える効果が上がっていません。
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