保育所等への入所申込と同時に、高校入試も徐々に佳境を迎えようとしています。

大阪府の高校入試で最もデータ量が多く、かつ信用性が高いのは、五ツ木書房(いつきしょぼう)が実施している「五ツ木模試」です。英数国理社の5教科、難易度は大阪府公立高校入試B問題相当です。我が家の子供も当時通塾していた大手塾の勧め(強制)で受験した事があります。

実施回によりますが、最も多くの中学生が受験する第6回(11月実施)では4万人程度が受験します。大阪府の中学生の半数程度に相当します。これだけ多くの中学生が受験するので、試験の結果・偏差値・志望校の合格可能性等は信頼性が高い数字が算出されます。

ネット上で「高校 偏差値」と検索すると、真っ先に表示されるのは「みんなの高校情報」です。しかし、ここで表示される偏差値はインフレ状態となっています。偏差値の算出根拠となる模試も不明です。高校受験では参考になりません。

成績上位層が通塾する馬渕教室も公開テストを実施しています。主に文理学科や準ずる公立高校への進学を目指す上位層が受験するので、そうした高校への合格可能性は信頼できます。C問題を意識した問題難易度となっています。

一方、それ以外の公立中位校(B問題出題校)や併願となる私立高校の受験ではあまり参考になりません。偏差値が低く出すぎてしまいます。

「25年度 進学先調査のまとめ」が公開

毎年、五ツ木書房は模試の結果や進学先等を分析した「進学先調査のまとめ」を公表しています。受験者にハガキを出し、受験校・合否・進学先・内申点等を記して返信して欲しいとお願いしています。我が家にもハガキが届いたので、記入して返信しました。

こうして集まった膨大なデータを基に、出願高校の合否と模擬テストの結果や併願私立高校を集約して作成しています。待ちに待った2025年入試の結果が公表されました。

その1​ 公立出願(受験者)の併願先状況(併願率)
その2​出願高校の合否と五ツ木模試成績

私立高校授業料無償化により、2025年度大阪府高校入試では私立高校への進学を希望する専願者が著しく増えました。最終的に私立高校へ進学した割合、過去最高の40.6%となりました。

私立高進学が初の4割超え…高校無償化を進める大阪府、かつては公立7割・私立3割
https://news.yahoo.co.jp/articles/984d0dfc097732278216670849a6b24b79f67e7d

保護者目線で気になるのは、私立高校無償化による入試難易度(偏差値)の変化です。2024年度と2025年度の「進学先調査のまとめ」を比較し、変化があった高校(一部)を抽出しました。

便宜上、ここで記す偏差値は「男子の合格者平均偏差値」を利用しています。

種別学校名2025年度2024年度
国立附属池田6364
附属平野5960
旧第1学区桜塚5354
茨木西4142
吹田東4849
山田5354
高槻北5051
芥川4445
豊島4445
北摂つばさ3736
旧第2学区寝屋川5960
枚方5152
長尾3938
交野4445
いちりつ5253
なみはや4546
旧第3学区清水谷5857
夕陽丘5556
阿倍野4950
阪南4647
花園4950
八尾5960
河南4849
旧第4学区登美丘5152
東中百舌鳥3941
泉大津3940
和泉5758
久米田4950
佐野5354
りんくう翔3836
国際関係に関する学科5051
枚方4950
長野4346
佐野5053
5657
いちりつ5149
その他千里(総合科学)6162
住吉(国際文化)6059
住吉(総合科学)5960
5657

思った通りといいますか、非常に多くの高校で偏差値が下落していました。多くは偏差値1の下落でしたが、東中百舌鳥高校は偏差値2も下落していました。

平均偏差値が1-2も下落すると、入学する生徒の学力は変わります。特に、辛うじて入学した成績下位層は従来より学力面で明らかに劣っているでしょう。昨年までの指導が通じない恐れもあります。

2025年度大阪府立高校入試では、半数程度の高校が定員割れとなりました。大阪府は定員内不合格を採用していません。定員割れとなって高校は、名前さえ書けば入試で合格できてしまいます。従来は入試で弾かれていた学力層の生徒も入学できてしまうのです。

同年度の入試でも殆どの進学校は従来通りの入試倍率を維持しました。しかしながら、偏差値が下がった進学校もあります。大教大附属の2校と、定員割れした寝屋川高校・八尾高校です。

理由は定かではないのですが、高校入試で国立附属高校は避けられてるように感じています。附属の小中学校から持ち上がる生徒が多く、高校から入学しても馴染めないからでしょうか。

寝屋川高校と八尾高校は定員割れした影響が現れています。平均偏差値が1下がるとなると、下位層の偏差値は3-5程度は下がった恐れがあります。大学進学先が変わってしまう水準です。

私立高校と競合したのか、国際関係に関する学科でも下落が目立ちました。特に佐野高校や長野高校は偏差値3も下落しました。設備が新しく、留学制度・教育制度・指定校推薦が充実している私立高校へ進学したい気持ちは理解できます。

公立高校は今後も募集減、私立高校は微増

先日開催された第58回大阪府公私立高等学校連絡協議会によると、2026年度入試で公立高校は募集予定数を大幅に減らしますが、私立高校は若干ながら増やします。

https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/119385/shidaitoshiryou1kara5.pdf

今後も公立高校へ進学する生徒は減少し続け、私立高校へ進学する割合が上昇すると判断したのでしょう。大阪府の公立高校は、特に中位校や国際関係に関する高校が急激に地盤沈下し始めました。

我が家の子供は公立へ進学し、学生生活を満喫しています。中学校までと比べて家庭での金銭的負担は増えましたが、学校関係の支出は想定の範囲内で収まっています(学校外の支出は大幅に上振れしてしまいましたが。)