文部科学省は2025年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の正答率や質問調査結果等(速報値)を公表しました。
実施年度によって問題や難易度が異なるので、正答率の変動は参考程度に留まります。一方、質問調査結果の内容は衝撃的でした。
「算数・数学の授業内容がよく分かる」に「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」と回答した児童生徒が昨年より大幅に減少しました。また、平日の学校外学習時間は年々減少し続けています。
学校以外で平日に1時間以上勉強する中学3年生の割合が4年前から10ポイント以上減ったことが、文部科学省が14日に公表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果から判明した。授業内容を理解している児童生徒数も減少傾向にあり、有識者から懸念の声が上がった。
公表されたのは、学習習慣などに関する「質問紙調査」の結果速報値の一部。質問紙調査は教科の学力テストと同様、全国の小学6年、中学3年を対象に毎年実施されている。
「学校以外(塾含む)での勉強時間」を尋ねる設問で、「1時間以上」とした小6は2021年度が62・8%だったのに対して25年度は54・3%に減少。中3は21年度が75・8%だったのに対し、25年度は61・7%と14・1ポイント減少した。休日も減少傾向にあるという。
授業の理解度に関する設問では小6の算数で「授業の内容がよく分かる」に「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」とした児童は21年度が84・6%だったのに対して25年度は78・4%。中3の数学については21年度が74・7%だったのに対して25年度は70・5%だった。国語や理科も同様の傾向がみられた。(以下省略)
資料はこちらです。
https://www.nier.go.jp/25chousakekkahoukoku/factsheet/data/25kekkakouhyou_1_point.pdf
これらの回答から「学校外での学習時間が減少した結果、授業の理解度が減少した」という仮説が導けます。
学習時間が年々減少している最大かつ突出した要因は「スマホ」でしょう。NTTドコモが2023年11月に実施した調査によると、小学6年生のスマホ所有率は約65%、中学3年生は80%でした。
大阪市は更に高率です。4年前の資料(令和3年度第2回大阪市総合教育会議)によると、令和3年度における中学2年生の所有率が約90%、小学6年生が約70%でした。現在は中学生が100%に近く、小学6年生も80%を越えたと考えられます。
言うまでも無く、子供(大人も同じですが)にとってスマホは時間や集中力を奪います。有意義なアプリや調べ物等を活用できるでしょうが、それの何十倍もの時間をSNSやゲーム等に費やすのが専らです。いつ届くか分からない通知が気になり、気が散ってしまいます。
スマホの使いすぎによる成績低下は各所で指摘されています。
スマホ持つ小学校高学年、半数超に 1時間以上で「成績ダウン」
https://mainichi.jp/articles/20250409/k00/00m/040/209000c
スマホの使い過ぎで認知症に?小中高生の1日平均利用時間が5時間超え「脳の機能低下恐れ」専門家指摘
https://www.ktv.jp/news/feature/250307-sumaho/
スマホの効用もありますが、使いすぎによるデメリットは絶大です。SNSトラブル等にも巻き込まれやすくなります。
特に注意すべきなのは中学生です。閉口したのは「深夜のLINE」です。24時を過ぎても大量のLINEが届くのです。投稿している同級生は寝ていないのは勿論、受け取った他の生徒もスマホに手を伸ばしてしまいかねません。日中は眠くなりやすく、帰宅後も殆ど勉強していないでしょう。
学校の先生に「夜間はともかく、深夜の大量のLINEは異常です。強く注意喚起等を行って下さい。」と依頼したのですが、何ら変化はありませんでした。そうしたLINEを送る生徒は先生の注意等を聞かないでしょうし、保護者も然りです。最終的にはそのグループ(クラスLINE)を抜けさせました。
スマホ等を持たせる場合は適切なルールを作り、守れなかった場合は没収・処分するといった対応が不可欠です。子供がスマホを持っていなくても、親は困りません。スマホ等での連絡が必要な場所には行かせません。没収等をされて困るのは子供自身です。
子供の手元にスマホがあると、本当に学習時間が減ります。慎重に慎重を重ねた上で考えて下さい。子供用スマホ、本当に必要ですか?



