子供の感染経路について、日本小児科学会は「子供の感染経路の8割弱は家族、大半は両親」等とされるデータを公表しています。

小児のコロナ感染、8割が家庭内で 父親からが最も多く 日本小児科学会

 同学会の会員の小児科医が関わったケースで、8日時点で国内の小児患者7・6%にあたる472人についてまとめた。対象は検査で新型コロナウイルスが陽性と判明した0歳から20歳未満の小児。登録された症例の9割超が14歳以下となっている。

 感染経路が判明した423人のうち、家庭内での感染が329人で78%を占めた。そのうち父親からの感染が144人と最も多かった。幼稚園や保育園は31人、学校関係は22人だった。全国一斉の休校措置が解除されたあとも家庭内での感染の割合に変化はなく「休校による感染予防効果には限界がある」としている。

https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/040/323000c

元となったデータは日本小児科学会ウェブサイトに掲載されています。

「データベースを用いた国内発症小児Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」に基づく早期公開情報
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=350

直近のデータによると、小児患者(約9割が14歳以下)の内、約77%の感染経路は家族とされています。内訳は約44%が父親、約29%が母親、両親が約7%でした。

これいよると、小児患者の感染経路の約55%が両親でした。残りは両親以外の同居家族、幼稚園・保育所・学校・塾関係と続きます。

14歳以下の子供は行動範囲が狭く、日常的に接する人間は限定されています。

長時間に渡って大勢の人間と過ごす学校等よりも、家庭での危険が大きい事は周知されるべきでしょう。

これは大阪市内における児童生徒の感染事例からも推測できます。学校内感染が疑われる事例は少なく、大半は同居家族等から感染しています。

学校内は徹底した感染予防策を行っている一方、家庭内での対策を行うのは非常に難しいのが実情です。

子供を新型コロナウイルスから防ぐには、「両親の感染を防ぐ」のが最も重要であると推測できます。

判断が割れる修学旅行

現在、多くの幼稚園・保育所・学校等では行事を中止・縮小しています。お世話になっている保育所や小学校でも、多くの行事が中止・縮小されています。

その中でも例外的にほぼ例年通りの内容で決行する予定の行事があると、6年生の保護者から聞きました。「小学校の修学旅行」です。

行き先や宿泊先等は昨年と同じ(東京ではありません)、ただ移動中は常にマスクを着用、食事は向かい合わせを避けて話さない、宿泊部屋は大部屋から小部屋に、訪問先は小グループ毎で移動して時間をずらす、実施2週間前から同居家族も含めて徹底した健康管理を行う等、といった工夫を行うそうです。

こうした対策は「国内修学旅行の手引き」を参考にしたのでしょう。

旅行関連業における新型コロナウイルス対応ガイドラインに基づく 国内修学旅行の手引き(第3版)
https://www.jata-net.or.jp/virus/pdf/2020_domesticschoolexcursionguide.pdf

大阪市の松井市長は「子どもたちが成長するなか、人格を作るための思い出になる大きな行事。小学校では友だちと旅行をする機会はなかなかない。行かせてあげたい」としています。

また、千葉市の熊谷市長は「GoToトラベルを実施しておいて、なぜ子供たちだけが人生で一度きりの機会を奪われなければならないのでしょうか」「コロナ禍で一番残念なのは大人が我慢せず、子供に我慢させている点です。」と指摘しています。

同市は修学旅行の実施状況を公表しています。10月13日時点で半数強の学校が実施済み、残りも実施予定だそうです。


https://www.city.chiba.jp/somu/shichokoshitsu/hisho/hodo/documents/201013-1.pdf

これを見る限り、ほぼ全ての学校が「バス移動」を選択しています(昨年度の移動手段は不明)。

また、約6割強の中学校の修学旅行先は県内でした(同じく昨年度は不明)。この割合は率直に高く感じました。一部には旅行先を県外から県内へ変更した学校もあるのでしょう。

修学旅行における感染リスクは「学校外の第三者との密な接触」「食事」「入浴」「宿泊」でしょう。

これらはバス移動・向かい合わせを避けた食事・少人数ないし個人での入浴・小部屋や個室での宿泊等により、こうしたリスクは大きく軽減できます(ゼロではない)。

「都市部への旅行を避ける」といった傾向も感じられます。関西だと首都圏から近畿各地や中国地方へ変更した話を聞きます。

修学旅行を実施するか否かは、自治体や学校単位で判断が分かれています。

ただ、修学旅行は翌年度へ先延ばしにできません。幼稚園や保育所での卒園遠足も同じです。

こうした事情や教育的観点を踏まえ、子供の気持ちに寄り添って判断するのが重要ではないでしょうか。

数日前にテレビニュースで修学旅行の可否が特集された際、子供は「修学旅行よりもお家でゲームがしたい」と呟いていました。面目ありません。